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いいなと思ったから、「いいね」って書いた
私は、手紙が好きです。
そのどうしようもない贅沢な無駄さと、盲目なほど1人の人を思う時間と、たった一枚の紙をひとつの手で彩っていく自由さが。
書くことなんて、なんだっていいんだと思います。
ぽろぽろと出てくる思いをまとめることもなく書いていくと、気がつくと紙はいっぱいになってしまって、「もっとこんなことを書けばよかったかな」なんて思ったり。
でも、また書きたいことが出てきたら、手紙を出せばいいんです。
そのくらいゆっくりなコミュニケーション、今はあんまりありませんね。分刻みで送られてくる新しいメッセージに、ただただ機械的に打ち返すことしかできていません。
1つのメッセージの先には、1人の人がいるはずなのに。その人に向き合うのは、ほんの数秒です。
素敵な写真をみて「いいな」と思ったけど、そこには「いいね」を押すボタンしかないから。私の「いいな」は感情ではなく、数になってしまったようです。
私の「いいな」を、感情として届けたい。ついでに、最近元気にしてる?とか、今度コーヒー飲みにこうよって、言ったりしたいのです。
手紙って、丁寧に飾ってプレゼントするようなものではなく、丸裸でそのまんまの感情が現れるコミュニケーションなんじゃないかって、そう思います。
手で書いた言葉は、まるでその人が話す声で語られるように、受け取る人の心に届きます。ささやきや、ワクワクのこもった声、喜びを隠しきれない声、ちょっと寂しい声。
そんな、私がそのまんま届いてしまうコミュニケーションだからこそ、月に何人も送ることはできないでしょう。でも、1人でも2人でもいいんです。手紙を送ろうかな、と思える相手がいて、怖がらずにありのままを書けたなら。
手紙を書く時間は、とっておきのコミュニケーションの時間。誰にも急かされない、制限されない、飾る必要もないそのまんまの私がいる、時間です。
言葉で、日々に小さな実りを。そんな気持ちで文章を綴っています。