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ヒナドレミのコーヒーブレイク    天国のお兄ちゃんへ

 ボクには、5つ年上のお兄ちゃんがいた。でも 今はいない。ボクのお兄ちゃんは生まれて来ることが出来なかった。だから、お兄ちゃんには名前がない。お母さんの体から出てくる前に、天国に行ってしまったんだ、まだ名前がないうちに。

 お母さんからその話をきいたボクは(お兄ちゃんに名前がないのはかわいそう)と思った。そしてボクはお兄ちゃんの名前を考えた。3日くらい悩んで、やっと決めた。お兄ちゃんの名前は『すすむ』漢字は難しくて、ボクにはまだわからないから、ひらがなの名前にした。

 名前を決めたその日から、ボクはお兄ちゃんのことを『すすむくん』と呼ぶことにした。でも、みんなの前ではお兄ちゃんと呼ぶけどね。

 ある時 ボクはお母さんに「お兄ちゃん、今ごろどこにいるのかなぁ?」ときくとお母さんは「お兄ちゃんはね、お空の星になったのよ」と言った。そしてその日の夜、ボクはお母さんと外に出た。そしてお母さんに聞いた。「どの星がお兄ちゃんなの?」するとお母さんは 一番明るく輝く星を指さして「あの 一番きれいに光っている星よ」と教えてくれた。「お兄ちゃん、一生懸命に頑張ってキラキラ光っているね。ボクたちのために光ってくれてるのかな、きれいだね」ボクは言った。

 最近ひらがなを書く練習をしているボクは、一か月前から日記をつけ始めた。キャラクターのカッコイイ日記帳だった。そしてボクは、今日書くページを開いた。

 1日に1ページを使う。今日は昨日の隣のページだ。ここでボクは(あれ?昨日は何て書いたんだっけ?)と思って、昨日 書いた日記を読み直してみた。

 10がつ8にち にちようび
きょう ぼくは おかあさんと いっしょに ぺっとしょっぷにいった。とってもかわいい いぬやねこが たくさんいた。ぼくは おかあさんに いぬがほしい っていったけど、おかあさんに だめだっていわれた。

 (そうだった、ワンちゃんとネコちゃんを見たんだっけ)思い出した。そして今日の日記を書き始めた。

 10月9にち げつようび 
きょうのよる おかあさんと そとにでて すすむくんのほしをさがした。すすむくんは ほかの どのほしよりも ひかって とってもきれいだった。

 それからのボクは、嬉しいことや悲しいことがあると、夜 外に出て、すすむくんに報告する。最近では、美夢ちゃんとお友達になったことを話した。        
                                
                                完 

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