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店を始めたい人へのメッセージその22:味覚センスの鍛え方(ダイジェスト版)

店を始めたい人へのメッセージその21で、焙煎人にとって一番必要とされるスキルは

「自分の焙煎の良否を、自分で判定できる味覚センス」

と述べました。

もう少し具体的に述べると
・スペシャルティグレードやコモディティグレードなどの、そもそもの生豆の品質や欠点豆の混入の有無を判定できること。
・焙煎によるネガティブな味が出ていないかを判定できること。
同時に
・ポジティブな要素を捉えることができること。

といったところでしょうか。

いずれも焙煎人にとってなくてはならない大切なスキルです。

焙煎の経験がなくても、また焙煎トレーニングしながらでなくてもこれらのスキルを身につける方法はあります。

では、スキルを身につける方法の要点をかいつまんで述べます。

ステップ1:自分の店の格を決定する
①スペシャルティグレード(含プレミアムグレード)専門店にするのか
②主にコモディティグレードを扱うのか
③ハンドソーティングをするのかしないのか

をまず決定します。

これはとても重要な決定です。よく考えて決めてください。
開業後にここがブレるとアップグレード、ダウングレードを問わず、顧客の信頼を大きく損ねる結果となります。

ステップ2:ベンチマークとなる店を選ぶ。
自身の目標とするクオリティの商品を提供し、なおかつその味作りに共感できる店を探します。世の中から高く評価されている店であることは言うまでもありません。

ステップ3:期間を決めてその店の珈琲だけをテイスティングし続ける。
・その店のすべての商品を選り好みせず、ローテーションしながらテイスティングし続ける。この際、自身の店で提供する予定の抽出方法で淹れたものでテイスティングして下さい。
※カッピングは不向きだと思います。
そうやって、自分が目標とするクオリティの珈琲の味を自分の舌に教え込みます。
要は「生豆の品質」にも「焙煎の品質」にも瑕疵のない珈琲の味が、自分の味覚の物差しになるよう訓練するのです。
そういう意味において珈琲には正解も不正解も頑として存在すると申し上げているのです。

・挽いたときの香り、液体の香り、味、口の中から鼻に抜ける香り、舌触り、後味など、気が付いたことを記録して下さい。この作業がお客様に商品の特徴を説明するときの大きな武器になります。
表現に関してはSCAのフレーバーホイールに、まずは準拠する必要はありません。自分にとって身近な言葉で表現すれば良いと思います。お客様にとってはその方が伝わりやすいと思います。
なぜなら、フレーバーホイールに使われる表現は日本人にはあまりなじみのないものも多いからです。
ただし、同業者間でコミュニケーションを取る際にはフレーバーホイールは共通言語として必要になるので、勉強はしておいたほうが良いと思います。

・トレーニング期間があまりに短いと効果がないかも知れません。
ちなみに私は焙煎トレーニングの一環として約3年間これを続けました。

重要:トレーニング期間中にしてはならないこと

期間中、ベンチマークとした店の珈琲以下のクオリティの珈琲には口をつけてはいけません。
なぜなら味覚は良いほうにも悪い方にもブレるからです。そしてブレたことに本人が気が付かないからです。

追記:瑕疵はないという保証がない我流焙煎豆を味覚トレーニングに使うくらいなら、味覚トレーニングなどしない方がましです。瑕疵のある珈琲をいくらテイスティングしても、瑕疵を理解することはできないからです。
逆説的ではありますが、「瑕疵のない珈琲の味」を理解することでしか「瑕疵」を理解することはできません。

次回は、私自身がどのようなトレーニングを受けたのかについて具体的にお話ししたいと思います。

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