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ベネデッタ

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17世紀イタリア。
幼い頃から聖母マリアと対話し奇蹟を起こす少女とされていたベネデッタは6歳で修道院に入る。
純粋無垢なまま成人したベネデッタは、ある日修道院に逃げ込んできた若い女性を助ける。様々な心情が絡み合い2人は秘密の関係を深めるが、同時期にベネデッタが聖痕を受け、イエスに娶られたとみなされ新しい修道院長に就任したことで周囲に波紋が広がる。
民衆には聖女と崇められ権力を手にしたベネデッタだったが、彼女に疑惑と嫉妬の目を向けた修道女の身に耐えがたい悲劇が起こる。
そして、ペスト流行にベネデッタを糾弾する教皇大使の来訪が重なり、町全体に更なる混乱と騒動が降りかかろうとしていた…。
公式サイトより

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✦作品名✦
ベネデッタ

✦監督✦
ポール・ヴァーホーベン

✦公開日✦
🇫🇷2021年7月9日
🇯🇵2023年2月17日

✦上映時間✦
132分

✦配給✦
🇫🇷パテ
🇯🇵クロックワークス

高城的2023年ダントツ1位の作品です。
鑑賞後これは凄いものを見た…!と放心するくらいに衝撃的な作品でした。

修道女がレズビアン主義で告発され裁判にかけられるという話だと聞いていてせつない気持ちになるお耽美な作品をイメージしていたのですが、ベネデッタが超元気。
とにかく元気。
欲しいものは全部手に入れる!必ずトップに立つ!と言うバイタリティ溢れる姿に感銘を受け私だってやってやる!と言うような気分にさせてくれる最強女の子映画でした。
(高城は女の子のモチベーションをあげてくれたり女の子好みの世界観の作品を勝手に女の子映画と呼んでおります。ガールズムービーとは若干ニュアンスが違う気がしていますが曖昧です。いつか定義したい。あくまで私の中での勝手なカテゴライズ。)

傍から見てるといろんな意味でええ…?と呆れちゃったり笑っちゃったりする瞬間が多々あるのですがそのすぐあとにベネデッタが強烈にカリスマを発揮して引き戻すを繰り返し、最終的に私はこの時代に生きていたらベネデッタの狂信者になっていただろうな…などと思いました。

ベネデッタ役のヴィルジニー・エフィラは若々しいつるんとした可愛らしいお顔なのですが説得力のある声質、そしてお芝居で信じずには居られない気持ちになります。

ヴィルジニー・エフィラ


ベネデッタの相手役、バルトロメア役のダフネ・パタキアは奔放な雰囲気と野性的な目がバルトロメアにぴったり。

ダフネ・パタキア

この2人が並んでいるだけでなんだかにこにこしちゃいます。
個人的な好みで言えばバルトロメアにくるくる惑わされちゃうベネデッタが見たかったな…!
いろいろ受け入れ態勢整いすぎてて展開早くて驚いたので。


この作品は初めから終わりまでノンストップベネデッタ劇場と言う趣で映画としては長めの132分間があっという間に感じられます。
ベネデッタの自信に溢れ躍動する姿に死ぬほど元気を貰えます。
ベネデッタならどんな状況でも絶対になんとかするはず!と謎の安心感が常にあります。

しかし、映画を最後まで見ても私はベネデッタが本当に信心深く神からの神託を受けた聖女なのか、ただカリスマ性のあるペテン師なのか判断がつきませんでした。

乙女の妄想のような妙に少女漫画っぽいイケメン優男のイエス・キリストの描写やキリスト教で禁忌とされている同性愛にもあまり葛藤する描写もなくておや…?と思わされつつもペテン師では説明の付かないような奇跡も起こしているし…
もしかしたら神託(思い込みの可能性有り)は本当で足りない部分はペテンで補完していたのか…?

考え出すと止まりません。

ヒロイックのようでいてピカレスクのようでもあり多面的な魅力のある見た方の感想がとても気になる映画でした。

ちなみにR18なので苦手な方はお気をつけください。
いろんな意味でキツい描写も多々ありますがベネデッタの感情の起伏が割とフラットなので見やすくはあります。

こんなに吸引力のある生命力溢れた作品を80歳を過ぎて作れるポール・ヴァーホーベンすごすぎます。
そしてこの映画のモデルになった今以上に生きづらかったであろう17世紀でもバキバキの自我を持って突き進んだベネデッタには尊敬の気持ちしかありません。

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