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意外と知らない!子どもの睡眠問題について


以前、国立精神・神経医療研究センターの三島和夫さんのを聞きに行ったことがあります。
睡眠問題についての講話でした。
データをもとにした解決方法を教えてもらい自分の睡眠についても考える良い機会になりました。

”睡眠障害”というワードは近年ではよく耳にするもので、雑誌などでも特集されることが多く睡眠への困り感が浮かぶと思いますが、
「睡眠習慣の問題」と「睡眠障害」は分けて考えなければならない問題だそうです。

睡眠習慣の問題というのは
・睡眠不足
・夜型生活
・交代勤務
・夜勤
・社会的時差ボケ
睡眠障害というのは
・不眠症
・過眠症
・睡眠リズム障害
・睡眠時無呼吸症候群

とおおまかに分けることが出来ます。

そして、

子育て中の睡眠への困り感で多いのは
・寝床に入りたがらない
・起きたがらない
・就寝時刻が不規則であった
・遅寝から来る寝不足
・睡眠時驚愕(夜驚)症や悪夢による夜間覚醒

で特にこの㊦3つは発達障がい傾向のある養育者が抱えるケースが非常に多いようです。
養育者が子どもの睡眠への困り感から、自身がストレスを抱えたり睡眠不足をきたすケースも少なくありません。

昔から最善説のようによく言われる早寝早起き。
「早く寝かせよう!」という意識はとっても素敵なのですが、保護者が寝かせたい時間と子どもが寝付きやすい時間が違うことも多く、
無理に寝かせるとお互いにとって更にストレスを強くすることになります。

では子どもの寝付きやすい時間はどうやってわかるのか?というと
少し手間はかかるのですが
何時から何時まで寝ているか
を2週間ざっくりで構わないのでチェックしていきます。

(例)
1日目 21:00~7:00
2日目 22:00~7:30
3日目 21:30~6:00
4日目 22:30~6:30
5日目 20:00~6:00
     ・
     ・
     ・


その2週間の中で必ず眠っている時間というのがあるはずです。
この例の5日間だけでみると、遅くても22:30に寝ています。起床は早くて6:00です。まずは22:30を目途に眠りにつけるようにすることから
始めます。そして起きる時間は必ず固定します。
すると、睡眠時間が足りなくて昼寝をしてしまったり
日中もたなくて夕方寝ちゃったりという現象が起きます。


ここで「夜寝なかったからな・・・」と寝かせたままにすると夜寝られなくなります。なので寝ないようにします(笑)
三島先生いわく、


「眠いを我慢するのと、眠くないのに寝るを我慢するとしたら
圧倒的に眠いを我慢する方がラクです」

とのこと。でも子どもって寝ちゃいますよね…
ご飯食べながらでも寝る子いますよね…
すぐ即効性を求めたくなるとはとは思いますが、

日中の過ごし方へ目を向けてみましょう。

・(身体を動かす)運動が足りているか?
・日中、太陽の光を浴びているか
・しっかりご飯を食べているか
・ストレスを感じて、緊張を長く保っていないか   等

を改めて確認すると、意外と

・冬だから身体を余している
・1日室内にいて、日を浴びていなかった
・保育園の昼寝が長すぎる
・午後に全く身体を動かす時間が無かった    等

睡眠自体よりも生活に問題が潜んでいたというケースが多く
「睡眠障害=睡眠導入剤」というイメージを持つでしょうが
服薬よりも生活改善で睡眠が改善するケースが7割超だそうです。

更に具体的な治療方には
・起床から15時までに日光に浴びる
  ↳このことで夜に眠りやすくなります。
逆に
・18時以降に電灯を含めた光を浴びない
  ↳18時以降の光を浴びると眠りにくくなることが実証されています。
   その為、夜の室内の光は橙色を意識し、テレビ・スマホ等の画面から光を受ける端末も控えると効果は大きいようですよ。
大人もついつい寝室までスマホを持って行ってしまいますね。
この習慣は実質眠っていても眠りが浅くなる原因になり
睡眠不足を引き起こしかねません。
ブルーライトカットなどの対策も出来るので、まずは出来るところから
行ってみましょう。

また見落としがちなのが「ペットボトルのお茶」だそうです。
三島先生いわく、


「なぜかペットボトルのお茶はがぶがぶ飲めてしまう。
急須で入れたお茶だとそんなにたくさん飲めないんですが…。
このことでカフェイン過多になってしまい、
入眠しにくくなる人がたくさんいる。」

とのことです

最近はペットボトルのお茶を必ず冷蔵庫にいれてある家庭も多くいるようです。これを煮出しパックのものにしたり、コップに入れ替えて飲むなど
量を意識するだけで睡眠問題が無くなった人も多くいるようですよ。
比較的、麦茶に関してはノンカフェインが多いらしくお茶の種類を変えるだけでも違いが出るようです。

痛みが感じるわけでもない、
生活支障も直接感じにくい睡眠なので着目することが少ないかもしれませんが、お子さんの寝顔を見る際に興味を持ってみてはいかかでしょうか?

 
特に保育士さんは午睡に着くことがありますね。
質の良い睡眠は
①日中に記憶した内容を睡眠中に固定する
②不要になった記憶を削除する
③情緒を安定させる
(苛立ち、攻撃的な行動、緊張、こだわり・・・が生じやすくなる)
という効果があります。

ゆえに、情緒発達や学習に欠かせないものです。
煌々とした電灯の中で夜に勉強しても、きちんと質良く眠っていないと「記憶を固定」することからは遠ざかっているという矛盾を生んでいるのです…

専門家の推奨によると必要な睡眠時間は
1~2歳で15時間、
3~5歳で14時間、
6~13歳で11時間
14~17歳で10時間
と言われており、欧州では子どもは10時間以上寝るのが当たり前で
世界的に見ても日本が圧倒的に睡眠が短いそうです。

今一度、子どものというよりも
家庭の中の過ごし方というものを日本は考えなければならないのかもしれません。

お掃除係の実習を体験した保育士さん、きちんとした指導・教育を受けられずも頑張る支援者さん…など現場に困り感を持っている方へサポートすることで、子どもたちに還元されるものがあるのではと信じています。よろしくお願いします。