姫崎しう

「小説家になろう」で小説を書いています。(作品→https://mypage.syos…

姫崎しう

「小説家になろう」で小説を書いています。(作品→https://mypage.syosetu.com/219508/) 「クラスメイトに殺された時、僕の復讐は大体達成された」が各電子書籍ストアにて販売中です。

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なぜ姫崎しうがエッセイを書こうと思ったのか

どうしてエッセイを書こうと思ったのか、どういったものを書く気なのか 皆さま初めまして。主に「小説家になろう」にて小説を投稿している姫崎しうと申します。 2020年5月29日にスターダストノベルス様より電子書籍で「クラスメイトに殺された時、僕の復讐は大体達成された」を発売させていただくことになりましたので、小説家を名乗ってもいいのではないかなと思っています。 さて、私はこういった記事を書くのには慣れていないのですが、まずというところで何故こういった記事を書こうかと思ったのか

    • 幽霊作家㉜

       ゆめさんが言っていた通り、消印はあっさりもらうことが出来た――自作の小説を製本した記念にというのは恥ずかしかったけれど。  歩いて郵便局から帰る途中、「次はいよいよ藤野御影と対面かな」と呟いた時、ゆめさんが「その件なんですが」と話を始めた。 「作戦があるんです。萩原さんとしては好ましくないかもしれませんが、聞いて貰っていいですか?」 「藤野御影を亡き者にするとか?」 「違います!」  言って良い冗談だとは思わないけれど、これでゆめさんも話しやすくなったのではないだ

      • 幽霊作家㉛

         買い物から二日後、予定通りプリンターが届いたので印刷を開始したのだけれど、想像以上に時間がかかる。  ゆめさんの家にあった業務用のプリンターが恋しくなるが、もうあの家には入れないだろう。 「藤野御影に会うって言っていましたけど、実際にどうするか決めましたか?」 「どうしようかなぁ……」 「ノープランなんですね」 「呼び出すのは簡単だと思うんだけど、そこからどうやって、僕がゆめさんの使いだって認識してもらうかが、問題なんだよね」  あきれるゆめさん相手に、下手に取

        • 幽霊作家㉚

           製本するために必要なものは、流石に家電量販店には無かったので、途中大きい文具店によって家に帰って来た。  今回の買い物で、一番高かったのはコピー機。ゆめさんの家にあったような業務用を買おうかとも思ったのだけれど、本体が高いだけでなく、インク――トナーと言うらしい――も高価で手を出す気にはならなかった。  お金に余裕があっても、基本は貯金が減っていくだけなので、一気に減ると怖くなるのだ。  ただ小説一冊分を印刷しようとした場合、家庭用だとどれくらい時間がかかるのか、考え

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        なぜ姫崎しうがエッセイを書こうと思ったのか

          幽霊作家㉙

           季節も夏に差し掛かって来たこの頃、日差しに当たると流石に暑い。  空を見上げるまでも無く、遠くの山の真上辺りに入道雲も出来ていて、見た目としても夏らしさが出てきた。  とは言ったものの、夏と呼ぶにはまだ早く、暑さは日に日に増していくだろう。  僕の服も半袖に変わったが、ゆめさんの服装は春に出会った時のままだった。  わずかでも涼をと思い、遠回り覚悟で川沿いの道を歩いている時に、ゆめさんに尋ねてみた。 「純粋な疑問なんだけど」 「何ですか?」 「ゆめさんって、服

          幽霊作家㉙

          幽霊作家㉘

           目が覚めるとゆめさんがこちらを見ていた。昨夜ゆめさんが家にいる事を了承し、「テレビをつけたまま寝ようかと提案したのだけれど、結局僕はいつものように寝る事になった。  起きた瞬間に、誰かに覗き込まれる経験は初めてだったけれど、「おはよう」と冷静に挨拶する。 「おはようございます」 「覗き込まれていると起き上がれないんだけど」 「私幽霊ですから、ぶつかりませんよ」  ニコニコ笑うゆめさんは、昨日までと雰囲気が違う。丸みを帯びた、というのが近いだろうか。物腰が柔らかくな

          幽霊作家㉘

          幽霊作家㉗

          「まあ、僕が言っている事だから、理想論だとか妄言って事だけどね。  多くの人は潰れる事無く働いているわけだし、それで社会は回っているんだから」 「確かに萩原さんの考えは、理想論です。穿った見方をすれば、理想論を盾に、社会が思い通りにならない事をごねているだけです。  ですが、萩原さんは傷ついたんでしょうから、私の前でくらい、怒っていいじゃないですか、悲しんでもいいじゃないですか。  それとも、私がいるから、感情を見せられないんですか?」  まるで今にも僕がストレスか

          幽霊作家㉗

          幽霊作家㉖

           周りを気にしないで良いと言う事で、結局自分の家に帰ってくる。  テーブルを挟んで二人で座り、ゆめさんが何か言い出す前に、話すことにした。 「別に怒っていないわけじゃないんだよ」 「そんな風には見えませんでしたけど」 「特に『意味わからない』って言った時とか、若者全体の話に波及させた時とかはカチンときたけど、なかなか怒るのって難しいんだよ」 「どういうことですか?」  不機嫌そうに尋ねるゆめさんを見つつ、上手く話せるかと少し心配になる。 「さっき、ゆめさんはあの

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          幽霊作家㉕

          「オレなんて、今日も大きな商談をまとめて、社会に貢献してきたってのに、最近の若者ときたら。  こうなったら、オレが説教してやらんとな。どうせ、社会に出るのが怖いとか、自分にはもっと能力があるんだとか言ってるんだろう?  で、社会が悪い、政治が悪いって人のせいにして、若い奴は皆そう。  オレ達だって、社会の荒波の揉まれて来たんだから、君達も文句言わずに揉まれなきゃ。  じゃないと、オレみたいな立派な大人になれないよ」  一気にしゃべったせいか、男性が一度話を区切って、

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          幽霊作家㉔

           ゆめさんに言われていった旅行から、帰って来た次の日。  今日は何も予定はないとの事だったので、マスターの喫茶店にやって来た。  カウンター席に座り、名も知らぬいつものコーヒーを傾けつつ、マスターに語り掛ける。 「真面目な話をする時って、どう切り出していいか分からないよね」 「俺と真面目な話をしたいのか?」  からかうようなマスターの反応は、全く真面目な話をする気がないと見える。 「マスターに話すことはないんだけどね」 「俺の時はどうしてたっけか」 「ああ、マ

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          幽霊作家㉓

           僕の事を小説にしてくれるよう頼んだ後、ゆめさんに言われて良く外に出るようになった。僕について知りたいとの事だったので、良く行く店に行ったり、地元の方に行ってみたり。今日は見知らぬ町に旅行に来ている 「まさか、この期に及んで、旅行に行くとは思ってなかったな」 「一泊二日ですけどね。無駄になる可能性はありますが、どんな情報も無いよりはあった方が良いですから」 「前々から来たくても、踏ん切りがつかなかったところだから、文句も無いんだけどね」 「じゃあ、あとは好き勝手に一人

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          「じゃないと、商売あがったりだろうからね。それにしても、テーブル席に人がいるって珍しいね」 「俺がテーブルまで行く必要がなくなったからな。香穂ちゃんがいる時にはテーブル席を開放しているんだよ」 「むしろ、普段は開放してないんだね。少数とは言え、テーブル席に人がいるのを見た記憶があるんだけど」 「基本俺一人だったから、なるべくカウンターに座ってくれた方が楽だろ?  ただ、お前とか、よく話す人がカウンターに来たら、あとから来た客はテーブル席に促すけどな」  店長として自

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           何とか原稿を送ったあの日から、僕達は平穏な日々を過ごしていた。  昼間はゆめさんの手伝いをしつつ、ゆめさんの手が止まったら、気分転換に連れていく。  日が落ちる前に作業を終えて、夜の時間をテレビを見たり、話したりして過ごしてから、ベッドに横になる。  次の締め切りだが、最終巻と言う事で四か月以上もある。時間に余裕があるためか、執筆中に文句を言われることはなく、ゆっくりだが着実に文字が物語になり、二か月が経つ頃には、九割書き終わっていた。  最終巻とは言え、ほぼ一冊分

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           目が覚めて時計を見たら、いつも起きる時間よりも、一時間遅かった。二度寝だったから、体内時計が狂ったのだろうか。 「起きたんですね」  何処からともなくゆめさんがやってくる。その声は暗に今日は遅いと言っているようで、否定できなかった。  挨拶を返してから、顔を洗いに行こうとしたら、沢山の紙が玄関にぶら下がっている。  あとで片づける事にして、必要な分だけ先に外して、顔を洗う。だいぶ意識がはっきりしてきたところで、昨日までの事を思い出した。  達成感も無く、ただただ耐

          幽霊作家⑳

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           眠るのが遅くても、起きるのはだいたい同じ時間になる。早く起きる分には、目覚ましを使えばおきられるが、ずっと寝ていると言う事は殆どできない。  代わりに、寝ていた時間と状況で、体調が大きく変わってくる。  夜更かしをしてからの今日は、身体に疲れが残り、全身が重たく感じる。それでも、激務をこなすことは可能だと、この二年の間に知った。  顔でも洗いたかったが、昨日の作業で洗面台が使えない事を思い出したので、締め切りの今日くらいは我慢することにする。  朝食代わりに、焼いて

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          「萩原さんって子供なんですね」 「でも、ゴミを捨てるよりは、良いんじゃないかな?」 「おっしゃる通りです」  話がひと段落したので、滝の方を見る。初めてこの滝を見た時には、小さいながらも確かにそこに存在する迫力や、崩れかけの看板や錆びついた空き缶から来る哀愁に息をのんだものだが、今となっては感動は薄れてしまった。  代わりに今は、安心感がある。落ち着いて、いつまでも落ちる水を見ていられる。 「ゴミ拾いを終えて見る滝はどうですか?」 「いつもと一緒だね」  音も無

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