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【超ショートショート】(44)☆未来の勲章☆~シュールな夢~

クールでシュールでキュートな夢を追う、
2度目の二十歳を迎えた一人の女性がいる。

彼女の名前は、
「未來」と書いて「みき」と読む。

未來は、いたって平凡な人生を送ってきた。
サラリーマンの父に、専業主婦の母、
妹は社会人になってすぐ、
高校生時代から付き合う男性と結婚。
子供も2人、お腹にもう1人。

私は、そんな家庭で、
何不自由なく育ち、教育も受けてこられた。
そのお陰で、今の会社に入ることが出来た。

ただ、未だに独身。
恋愛経験も、
語れるほどの経験も想い出もなかった。

30歳になった頃、高校の同窓会。
そこで親友の女性から、こう言われた。

「未來は、
本当に人を好きになったことが無いのよ!
だから、
心の底から燃えるような恋が出来ないのよ!」

未來は、否定も出来ず。
恋愛アドバイスとして、
耳を傾けることにしたが、
親友の話は終始、自分が恋愛の達人ぶりを
自慢したいだけのように見えてきた。

(未來の心の声)
「人は結婚したり、恋人がいるだけで、
こんなに人を見下すのか?
どこからその自信が来るのだろうか?」


恋愛経験が少ないように見える未來だが、
実は長年愛して止まない〈推し〉が存在する。

〈推し〉との出会いは、テレビ。
ある音楽番組だった。

(テレビ・音楽番組の司会者)
「今話題のドラマ〔101通のラブレター〕
主題歌は、ただいま大ヒット中!
Cool&Appleが歌う『夢を守って』
では、早速歌っていただきましょう!」

未來は、ドラマの話は知っていたが、
親の教育方針により、
夜9時からテレビ視聴禁止。

その話題のドラマは夜9時からだった。
夏休みになり、
学校でも話題で、
自分だけがクラスの話に入れず、
一人になるからと、
夏休みの間だけ、
テレビ視聴禁止時間の変更を、
親に頼んだ。
少し悩んで、父から了承を得ることが出来た。


そんな〈推し〉との出会いの頃、
コンサートがあると、
母が友人の誘いでチケットを購入。
未來は人生初となるコンサートへ。

そのコンサートが、
未來の人生を決めてしまうほど、
衝撃的な心を燃やす恋をする。

〈推し〉との恋には、成就はない。
それでもいいと、
未來はその恋を守ることにする。

親の顔色を伺いながら、
〈推し〉を応援してきたが、
初恋から10年後、
Appleの突然の病により、
Cool&Appleの活動が無期限活動休止となる。

未來は、解散じゃないから、大丈夫と、
自分に言い書かせるが、
〈推し〉の中でもAppleを一番愛していたから、
そのショックは、あまりにも大きく、
立ち直るまでに1ヶ月もかかってしまった。


それから、
数年して、Appleが音楽活動再開を報告。
一人待つCoolは、Appleの休み中も、
ソロ活動に忙しく動いていた。

Appleが、ソロとしてステージに立つ日、
未來は会場へ向かう。

会場の最寄り駅に到着。
改札を出ると、一人の男性が声を掛けてきた。

「これ落としましたよ!」

今日の
Appleのコンサートチケットが入ったケースを、
その男性が持っている。

(未來)
「あっ!ありがとうございます。」

(男性)
「これからコンサートですか?」

(未來)
「はい!(嬉笑)」

(男性)
「僕もです!(笑)」

未來は、その男性の瞳を見つめて・・・、
Appleにそっくりなことに気づく。

(男性)
「お仕事帰りでコンサートも大変ですね?」

(未來)
「・・・・・(驚)」

(男性)
「もしもし?(笑)」

未來は、男性の声がAppleにそっくりなのに気づく。

(未來)
「あの~、A、A、Appleさん?」

男性は、左瞳をウィンクして見せる。

未來は、その瞬間、
赤面し、意識が飛んでしまう。
会話は続けているものの、
後に記憶が残っていない。


無事Apple復活コンサートを見終え帰宅。

定期入れに、
メモ用に常備している白紙の名刺に、
何か書いてあるのを発見する。
~~~~~
今日はコンサートに来てくれてありがとう。
今度、食事でもおごるから、
連絡ちょうだい!

000-0000-0000
Appleより
~~~~~

翌日、
Appleに電話してみる。

(未來・心の声)
「本当にAppleさんのかしら?
誰かの悪戯ってこともあるから
確認だけしてみよう。」

(男性・電話)
「はい!」

(未來)
「もしもし?あの~、Appleさんの電話ですか?」

(男性・電話)
「あっ違います!(笑)」

(未來)
「あっ、そうでしたか。
ありがと・・・・・、」

(男性・電話)
「あっ待って!切らないで!(笑)
ごめん、間違ってないよ!
Appleです。おはよう。
こんなに早く電話くれるなんて、
嬉しいよ未來。(笑)」

(未來)
「あっ、あっ、うふ・・・(緊張)」

この電話から、
〈推し〉を応援するファンから、
顔見知りの友人になる。


その日の仕事終わりに、
Appleに誘われ、夕飯に。
ファン思考では、初デートとなる。


未來もAppleも互いのことを、
少しの沈黙が生まれないように、
話続けた。


この初デートの食事から、
未來には、新たな夢が生まれる。

すべては〈推し〉のため、
愛する〈Apple様〉のため。

これからの毎日を、
大袈裟だがAppleに捧げる気概で、
花嫁修業を始めるのだ。

未來は、
勉強しかしなくていい、
過保護な家庭環境だった。
そのため、 
掃除、洗濯、整理整頓、片付け、料理も、
人一倍苦手だった。
母も、
「お嫁に行ってから覚えればいいのよ。」
というばかりで、何も教えてくれなかった。


未來は、
〈Apple〉のために、
私に出来ることは何かを考えた結果、
花嫁修業を思い付く。

掃除、洗濯、整理整頓、片付け、料理ができれば、
家政婦さんとしてお世話できる。
料理ができれば、健康を守ってあげられる。


〈推し〉への無償の愛は、
おそらく世間には理解しがたいものがある。
でも、未來は真剣に考え出した今の答えの愛が、
それだった。

早速、スケジュールに、
お教室探しの予定を入れ、
まるで、二十歳の女子大生のように、
キャピキャピと毎日を楽しんだ。


さて2度目の二十歳を迎えた未來。
どんな花嫁修業の毎日を送るのか?

いつかご紹介してみようか?

そして、

〈推し・Apple様〉との未来は、
どうなるのだろうか?


未來は、世の中の、
「未來の夢はシュールな夢」と笑われても、
例え、
しつけ糸の
細く切れやすい赤い糸であったとしても、
何度も結び直して、新しい糸を継ぎ足しながら、
ただ、自分が愛した〈推し・Apple〉を、
信じて愛して抱かれるように、
いまを乗り越えていきたいと。

遠くで眺めていた恋から、
近くで掴んだ愛ならば、
心に残る旅を、
ただ、
自分が愛した〈推し・Apple〉としたいだけと。


未來の新たな夢の決意は固く、
両親も、そっと応援することにした様子。
なぜなら、
両親の〈推し〉は〈未來〉だからだ。


(制作日 2021.7.17(土))
※この物語は、フィクションです。

今日は、
ASKAさんのライブCDが発売されてから2周年。

2019年7月17日発売
Live CD
『ASKA CONCERT TOUR 2019
Made in ASKA-40年のありったけ-』

このコンサートの1曲目の
『未来の勲章』を参考にお話を書いてみました。

また、最近は、
応援するモノがあると、
それを〈推し〉と表現するようですし、
そのテーマにしたドラマもあるので、
そちらも参考に、
〈推し〉を応援することで生まれる、
未来や夢、愛する自信、
そして無償の愛とは。

〈推し〉を応援する人は、
日々こんなことを考えているのではないかと、
もちろん自らも想いも参考にしています。

〈推し〉にとっての未来の勲章とは何か?
〈推し〉を
応援する者にとっての未来の勲章とは何か?

未来の勲章を獲得するために、
オリンピックアスリートには、
4年という期限がありますが、
〈推し〉を応援する者にはない。
それでも、
応援するものはなんだと思います。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

~~~~~~~

参考にした曲は
ASKA
『未来の勲章』
作詞作曲 ASKA
☆収録アルバム
『Too many people』
(2017.2.22発売)
★『ASKA CONCERT TOUR 2019
Made in ASKA~40周年のありったけ~』
Live CD(2019.7.17発売)
★『Made in ASKA』ライブ映像より★
★『未来の勲章』★
https://m.youtube.com/watch?v=ivhSoYmGmVQ

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