「アウトプット力」について新卒向けに講義させていただいたので、その内容をまとめてみました
こんにちは。新R25ブランド戦略室のムロハシです。
先日、弊社新卒のビジネス職向けに「アウトプット力」をテーマとした講義の依頼をいただき、アウトプットについてあれこれ考える機会がありました。
ちなみにサイバーエージェントでは現在、いわゆる営業やプランナーといった総合職を「ビジネス職」、エンジニアやデザイナーといった専門職を「テクデザ職」と分けており、デザイナー職である私がビジネス職へ講義するのは少し珍しい気がしています。
このとき自分でも発見があったのですが、良いアウトプットを出すために常にやっていた「あること」に気づきました。講義で発表させていただいた内容をもとに簡単にまとめていきたいと思います。
そもそも「良いアウトプット」とは何か
良いアウトプットって何だろう、と考えた時、つい思ってしまうのは「スライドのデザインが綺麗」「レイアウトがスッキリしていて見やすい」などといった見た目の部分に囚われてしまいがちです。
とくに最近では無料の加工アプリなどが多数存在し、誰でも簡単にデザインができる時代です。それ自体は喜ばしいことだと思っているのですが、デザインにこだわりすぎて、アウトプットそのものがイマイチなものも、たまに見かけたりします。
もちろん私はデザイナーですのでデザインも大事だと思っておりますが、アウトプットするときには、それよりも大事にしていることがあります。
それは「誰がみても瞬時に伝わるアウトプット」。
つまり、そのアウトプットが「一言で伝わるかどうか」を意識しています。
それはなぜか。
今年から社会人として働き出しているひとはそろそろ気づいているかと思いますが、アイデアを提案する相手(上司や先輩)は、大体忙しいです。ふいに話しかけたくてもあまりデスクにいないことが多い。とくに現在はリモート環境で働いていることもあり、すぐに話しかけられる状態がありません。
また偉い人ほど日中はMTG、夜は会食で埋まっていたりと、30分程度の時間を確保するだけでも一苦労だと思います。
なので、一言で伝わるアウトプットかどうかが重要になります。逆に言うと、自分が考えたアウトプットを「一言でまとめられるか」が重要です。
個人的に思うのは、イマイチなアウトプットはこの「一言でまとめる」が、うまくできない場合が多い(ややこしくてなんだかよくわからないような状態)。逆に良いアウトプットとは、この一言が「シンプルかつ魅力的」になる気がしています。
では、その「良いアウトプット」のためになにをすればいいのか。自分ならどうしていたのか、考えてみました。
良いアウトプットのためにしてること
良いアウトプットを考えたときに以下の3つの条件が思い浮かびました。
・できるだけ短い文章で、一言で言える
・目的と結論から説明して相手が理解できる
・要点が整理されており、情報がコンパクトである
仮にアイデアがあって、いきなりこの状態を満たすものにしようにも、なかなかできないかと思います。これを満たすために何が必要だろうと考えたとき、ひたすらやっていることがありました。
それは「アタマに浮かんだことをすべて吐き出す」です。
吐き出すものは、いわゆる「言語」だったり「図式」だったりなのですが、大抵のアイデアは書き出すとよくわからないものになったり、辻褄が合わなくなったりします。どんどん吐き出すことで自分のアイデアを俯瞰してみることができ、ダメな部分に気づきやすい状態がつくれます。これをとにかく繰り返して、アイデアを空っぽにします。
「アイデア空っぽの状態」を自分で気づくことはできない、と思うかもしれませんが、私は、思い浮かぶアイデアが似たり寄ったりしてきたとき「あ、引き出しがなくなったな」と思うようにしています。
この状態に陥ったときに「チャンス!」と考え、これまでの視点とは別の視点でインプットすることを意識的にしています。それは具体的にいうと、一つの課題点に対しての、別の人の意見や考えをできるだけフラットな意識でヒアリングしたり、課題にマッチしそうな記事や書籍を読み漁ったり、普段の別業務の中で、意識しながら思考を行き来したりすることです。
一度アウトプットを出し切ったと思える状態までやり、そこから別の視点だと思えるインプットをはじめてみると、良い悪いは別として、自分の中になかった別のアイデアが生まれてきます。そしてインプットをしながら、また吐き出す作業を開始します。基本的に私がアウトプットのためにしていることは、これの繰り返しでした。
これを繰り返すことで、いろんな視点での言語化や図式化ができ、とことんアウトプットに向き合えるのだと思っています。
そして、「良い」というアウトプットができるまで、ひたすら繰り返していきます。ここは終わりなき旅です。自分でも良い悪いが判断できなくなるかもしれませんが、ここのアウトプット量が最終的に「良い」につながると信じて続けています。
イメージフローとしてはこういった感じです。
デザイン的な”見せ方”のコツ
個人的な考えですが、仕事ができる人は例外なく、”見せ方”がうまいと思っています。見せ方といってもデザインがうまい、という意味ではなく、見せる部分がしっかりしているというか、自分のアウトプットの見せ場をきっちりを知っているという感じです。つまり、デキる人のアウトプットは、要件がハッキリしており、理解しやすいのです。
これをいきなり出来るようになるのはむずかしいですが、本質的に良いアウトプットができたならば、それをうまく見せるデザイン的なコツがあるので、以下はテクニックになりますが、スライドデザインにおいて僭越ながら簡単にまとめてみました。
● 1. 適切なフォントを選ぶ
スライドの印象において、見た目の印象は8~9割がフォントと言ってもいい、というくらいフォントの種類は大事です。
フォントには特徴的なフォルムをしたロゴづくりのベースにしていくような「魅せるため」のものと、新聞、雑誌、書籍など長時間読むことを前提とした「読むため」のものがあります。
見ればわかると思いますが、このフォントは「読むため」のものを選択すると良いと思います。
また重厚感、真面目さ、などを印象として出したいならば「明朝系」、手軽さ、身近さなど親近感を出したい場合は「丸ゴシック系」、フラットなクセのない印象であれば「角ゴシック系」を選ぶと良いかと思います。
● 2. 使うフォントは2種類まで
たまに、スライドで多数のフォントを利用したスライドを見かけますが、効果的に使用する場合はもちろん良いと思いますが、特に意味もなくフォントを多用しているのなら、日本語と英語の2種類くらいにしておくと良いかと思います。
● 3. 文字の強弱をしっかりとつける
強弱というと、文字の大きさを指すと思われていますが、強弱にもいろいろな方法があります。大まかには
・文字の大きさ
・文字の色
・文字の装飾
になります。
本当に重要なフレーズ、要素を丁寧にまとめ、そのスライドで1番つたえたいものをしっかり強弱をつけて表示させるだけで、伝わりやすいモノになると思います。
4. 空白部分に考える余地を与える
すこしだけ高度ですが、空白を利用して「相手に考える余地」を与える、というテクニックです。
資料には言いたい情報をどんどん詰め込んでいきたくなるのはとてもわかるのですが、自分としては数週間で考え抜いたものでも、相手にはそれを一瞬で伝えないといけない(伝わらなければ意味がない)。
そんなときは、「主役(伝えたいワンフレーズ)」と「それ以外(フレーズの補足情報)」をきちんと棲み分けをして、「それ以外」の情報を思い切って捨ててみるのはどうでしょうか。「主役」のまわりは余白を有効活用してみるといいかもしれません。
「主役」に興味をもったなら、「それ以外」にも興味がいくはず。私の場合「それ以外」の情報は、別のページまたは別のスライドにまとめておいて、使う時がきたら使う、というやり方をしています。
さいごに
すこし補足情報も追加しましたが、以上が講義の内容です。
実は講義用のスライドはデザインツール使わず、Googleスライドの機能だけで作りました。よくデザイナーはイラレやフォトショがあるから綺麗にデザインできる、と思われているのですが、ちょっとしたコツを利用すれば、それなりの見た目になるよ、というのを伝えたかったのです。これらも含めてこれから社会人生活をはじめる方々のためになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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