【新R25式】ビジョンとミッションが決まるまでの経緯をお話しします。<前編>
前回のnoteでビジョンとミッションを再定義する、ということを決めるまでをつらつらと書かせていただきました。
今回は、その続きです。
最初にやったこと
ブランディングと一言でいっても、まだまだ浅い知識しかないと考えた私は、さまざまなweb上の記事や書籍を読み漁りました。色々な人の考え方を知ることで、フラットに、自分なりの解釈を加えて、表面的ではなく、本質的にブランディングをしていきたいと考えたからです。
これについては、まだまだ自分自身知識が足りません。日々のアップデートに終わりはないと考えています。なので、時代の流れによって解釈は変わるだろうし、「ひとつの解」にとらわれないようにしようと思っています。
そんなインプットの中、気づいたのは、「ブランド/ブランディング」という言葉自体が、本当に広く色々な意味で使われている、ということ。
デザイナーをしてきた私にとっては、「ブランド」や「ブランディング」の主たる意味は、C.I(コーポレート・アイデンディディ)やV.I(ビジュアル・アイデンティティ)といった見た目から与える印象、世界観といった認識が強かったのですが、経営者やマーケター責任者の視点だと、適切な認識でサービスを提供するための手法といった意味合いが強かったように思います。
ブランディングの知識をインプットすればするほど、マーケティングとの違いに混同します。
これについては日本のブランディングデザイナーの1人者であるエイトブランディングデザインの西澤さんがDesignshipの登壇でこう言い表していました。
・マーケティング=売るゲーム
・ブランディング=伝言ゲーム
以下引用ですが、
ブランディングの本質は、商品、サービス、企業のイメージに一定の方向性を作りあげ、「他とは違う価値」を確実に伝えること。そのためには、表現の部分のみを仕事の領域とせず、ブランディングにおける経営戦略からクライアントと共創し、企業経営でデザインが必要なところを全てデザインする。より経営にコミットしたデザインによるブランディングを、これからの日本のスタンダードにしていきたい。
西澤さんは、このように語っています。
この部分は私が今後のキャリアについてまさしく意識している部分であり、注力していきたい部分でもあります。
前回、新R25の「ブランド戦略室」について少し触れましたが、主なメンバーは以下の通りです。
・代表取締役社長
・取締役COO
・取締役 新R25編集長
・事業責任者
・広報担当
・そして私ともう1人のデザイナーの2名
ご覧の通り、メンバーの半数以上は経営陣となります。
このメンバーに対して、私が最初にやったことは、
・「ブランド」と「ブランディング」という言葉の意味の定義。
全員の認識がずれてしまわないように、同じ意味でブランドやブランディングという言葉を使うために、以下のように定義をさせていただきました。
言い方を変え、すこし補足すると、
・ブランドとは、その商品やサービスが与える「らしさ」であり、「ユーザーが感じる印象」である(ブランドの持ち主はユーザーである)。
・ブランドをブレることなく伝えていく手段(企業またはサービスがユーザーに与える、すべての体験)がブランディングである。
といった意味で使っていきたいと考えました。
上記はAmebaチームの資料なのですが、まさしくこう考えていた私にとって、「伝言ゲーム」という考え方は、すごく共感できました。
伝言ゲームは人数が増えれば増えるほど、最後の人が間違った答えになってしまうというゲームなのですが、強いブランドであればあるほど、この間違いが少ない。
つまりブランディングが強い企業は、誤差のない印象をユーザーへ与え続けている、ということが言えるかと思います。
この部分を経営層に共有し、共通認識をもっていただきました。
「現状の分析」と「ビジョンとミッションが必要であること」を提案
ブランドやブランディングの共通認識をさせていただいたあと、現状の分析と、そこから導き出されるビジョンとミッションについてを提案させていただきました。
まだジョインして1〜2週間程度だった私は、まずは、まっさらな気持ちでサービスから得る「印象」をキーワードにして抽出していきました。
このキーワードは無作為に出したものですが、
・ポジティブ
・ネガティブ
・どちらでもない
の3種類に分類できました。
後日、私だけでなく、組織全員からアンケート方式でキーワードを抽出させてもらったのですが、抽出メンバーは多い方が、よりバラけて現状の印象分析に役立つかと思います。
このキーワードから以下の3つが重要であることに気づきました。
・独自性(サービスの個性。際立つポイント)
・共感性(ユーザーはどの部分に共感しているのか)
・社会性(そのサービスが社内にどのような影響が与えられるのか)
強いブランドの代表格であるスターバックスコーヒーで置き換えると以下のような感じかと思います。
ポイントなのは、「際立つポイントが共感とリンクしている点。」
よくよく考えれば気づくことなのですが、人が人を好きになるときに、(キッカケは外見もあるかと思いますが)その人の個性や性格が好きでなければ、好きであり続けることはありません。そして尊敬できる点が「社会性」に当たるのかと思います。
これを新R25で考えた時に以下のようになりました。
今考えるとかなり荒削りな分析だったと反省があるのですが、上記のように新R25の現状のブランド印象をまとめました。(割愛させていただいていますが、こちらとは別に競合を含めたプランドポジショニングマップをしています。こちらについては後編でまとめたいと思います。)
この抽出した原液から、まずは、今後の仕事に対する視点合わせとして「組織への浸透が大事」だと提案させていただき、「ビジョン」「ミッション」に言語化を提案させていただきました。
その最初の提案がこちら。
現在掲げているビジョンとミッションとは、絶妙に違うものですが、これが原型になったものです。
これらが、的外れだったらどうしようかとヒヤヒヤしていたのですが、ブランド戦略室でのMTGにて、私の説明を熱心に聞いていただき、概ね合意していただきました。
ここから本格的に、数ヶ月をかけて議論を重ねていきました。そしてサービス2周年のタイミングに合わせて、発表させていただいたのです。
どういった内容で詰めていったのか、その議論の具体的な内容は、また次回のnoteの宿題とさせていただきます。(毎回続きものになってしまってすみません)
<追記>
後半記事を公開させていだきました。
今回の提案をするにあたって参考にさせていただいたもの
本当に色々なものを見ていたのですが、その中でも、こちらの2冊の書籍を紹介したいと思います。
1冊はブランディング戦略と言えばこれ、と言っていいほど有名な著書だと思いますが、元P&Gのグローバルマーケティング責任者 ジム・ステンゲル氏のこちらの本です。
本著の中に「偉大なビジネスには、偉大な理念がある」といった言葉が序盤に出てきますが、その理念に基づいた企業のマーケティングとブランドの仕組みや効果が、事例に沿って知ることができます。
ブランドについてゼロから学ぶのであれば、2011年ごろに書かれた書籍ですが、まず読んだ方がいいと思う名著だと思います。
もう1冊は、ビジネスとアートディレクションを実践的かつ論理的に説明をしているこちらの本です。
MTVやDEAN & DELUCAなどを手がけた、NYを拠点するアートディレクターの小山田さんによる書籍です。一貫性をもった目線の大事さと、一貫性を持っているかどうかでのビジネスの強さを知ることができます。
ブランディングに興味がないひとでもわかりやすく知ることができる1冊だと思います。
今回のnoteはこの辺にて。
最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回、よろしくお願いいたします!
サポート費は日々のインプットのために利用させていただき、noteで還元していきたいと思います。