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ひろってはいけない心のおとしもの②

毎日いつもどおりに朝の出勤でデパートとビルの間の裏道を歩く。距離にすれば6,70mそこそこか。


なにか落ちてきそう…


ここのところ毎朝感じているキモチなので、その日もバスから降りて歩いて向かうときから嫌なキモチになってしまっていた。


バスから降りた人たちは、わたしを含めてみな出勤スタイルで、各々の働き場所へともくもくと無言で散らばっていく。

デパートの従業員もビルで働いているサラリーマンたちも、なにも変わらないいつもの朝だった。


そのなかで、わたし一人だけが毎朝同じ場所で一瞬うえを見上げるのだ。

わたしの前を歩く人たちのなかでそんなひとは見かけなかった。



ぁ、、

ぞわぞわぞわ…


やっぱり今日もうえをみてしまった…


デパートのうえからなにか落ちてきそうなのかな…

なぜここを通るときだけ嫌な気分になるのだろう…


ぞわぞわぞわ…    



そこから50メートルくらい先を歩くと、ビルの裏口に入ってすぐが勤める美容室だった。



そして。


とうとう。


出勤から2時間後、屋上からほんとうに落ちてきた。


その気持ち悪く感じていた場所に落ちてきたのは人だった。