性同一性障害 手術要件を憲法違反とした最高裁判決は 何故重大なのか
ども、Hikaruです。
GID当事者からすると 性同一性障害にかかる 判例については 関心ごとの1つかもしれません。少なくとも、今の私はそうです。
当初は 下記説明します 違憲判決が出るまで、私は 日本の司法に何ら期待していませんでしたので「こんな判決出た!」 と周囲の人に教えてもらい 初めて知りました。そして 調べるうちに、” 他人事ではなくなった” のです。完全に自分事だと気づいて、ふとしたら既に申立していて、もう 走り出したら止まることができませんでした。
2023年10月25日の最高裁違憲判決が大々的に報道された理由
手術要件について違憲とする判決自体は 少し前の10月11日に 家庭裁判所レベルで出ており、その申立人が 手術無しに戸籍上の性別変更許可を受けた第1号になっていますが、何故 後から出た判決で、それも一部 高裁差戻しで今尚審議中(2024年1月22日時点)の最高裁違憲判決が大々的に報じられたのでしょうか。
2023年10月11日 手術要件を違憲とする判決について知りたい方へ
過去のnoteでご紹介しましたので ご一読ください。
最高裁判決と その他 下級裁判所の判決では その重みが異なります
特に 条文そのものを無効とする最高裁判決は その後の全ての申立において 死文化させて審議するよう下級裁判所へ求めるだけの効力を持ちます。逆に言えば 最高裁判所を除く他の下級裁判所での判決は、例え 条文そのものを無効とする違憲判決であったとしても、その申立人へのみ適用され、他の裁判所の審議に影響を与えることはありません。
ここで注意すべきは、先述の通り 最高裁にて法令等が違憲となる場合は そうなるのであって、例えば2023年7月11日にトランス女性が 女性用トイレの使用制限を受けた事例について 国の対応を違法とした事例においては、その告訴人 本人への適用に留まり、事情を考慮しながら 個別に判断することを要します。トランスジェンダーの方に トイレ使用制限を行うことを一律で違法とする判決ではないことを理解する必要があります。
2023年7月11日トランス女性が女性用トイレ使用制限を受け 国の対応を違法とした事例について知りたい方へ
最高裁が法令などを違憲と判断したのは戦後12例のみ
あまり知られていませんが 最高裁判決自体は 刑事•民事関わらず 毎年 いくつか出ています。ただ 最高裁にて法令等が憲法に違反すると判断されたケースは戦後12例しかありません。法令等を違憲とするケースは 非常に まれ であるから、大々的に報じられたのだと ここで1つ理解しておきましょう。
終審裁判所としての最高裁判所
先述の通り、最高裁判所は法令等が憲法に違反しないか 最終ジャッジを下し、違憲であれば 死文化させる はたらき を持つことから、最高裁判所は終審裁判所とも言われています。
違憲となれば 書いてあるだけ無駄な法令等になりますので 行政•立法府は 該当法令等について削除又は 改正の立案、見直しを迫られます。
立法府の判断を待たなければいけない?「国会は法律の見直しを迫られることになります。」の誤解
法令等を違憲とした場合には、その法令等を無効とする と私 口酸っぱく何度も申していますが、「立法の判断を待たなければいけない」と言う方がいます。それが ご自身にとって正しい判断なのか もう一度考えてください。
「立法されないと 申立しても認められない」と 言う方がいますが、先述の内容を 一読された方は お分かりになると思います。その理解では不十分と言えます。
もし 「立法の判断を待たなければいけない」とするなら、もし私が 非当事者で ジェンダー問題に1ミリも関心がない政治家であったなら、立法も審議もしないでしょう笑 永遠と先延ばしにして、在任期間中にできる、私自身が やりたいことを優先するでしょう。何故なら 大変失礼な話ですが GID当事者と そのアライ程度、ごく少数者しか立法しないことで不利益を被る者がいないからです。たとえ 立法を遅滞させ 当事者の方々から 反感を買って 支持を得られなくても、ジェンダー問題にそれほど関心なく 当選したのでしょうから 支持がなくても特に困らないわけです。当事者の方からすれば、それは困りますよね。
日本は 完全な均衡を取れているとは言い難いですが 民主主義に基づく 三権分立を採用した国であるため 互いの判断が 違いを牽制し合って はたらきます。国会は 起案された 法律等を 国民から選ばれた議員らにより審議し、改正•新規に施工を行います。行政はそれに基づく 条例•命令を 行い、司法は 施行された法令等について 違憲でないか ジャッジします。反対に 司法が 法令等を無効とする判断を行った場合は、国会•行政が 対応しない限り 民意を正しく反映したとは言えない、司法が好き勝手できる状態で、今回の場合で言えば GID当事者の方の意向に全面協力的な状態で 審判が行われていきます。そうすると 不利益を被る(可能性がある)のは 当事者側ではなく 他大多数の非当事者側となります。たとえジェンダー問題に興味がない 政治家であっても、この場合 法改正等 手を付けなければ次回の選挙での当選が危ぶまれますので 泣く泣く立法•審議する方向へ重い腰を上げるでしょう。これが「国会は法律の見直しを迫られることになります。」の真意であり、私のような当事者からしてみれば、ある意味 違憲判決が出てから 法改正等される 最中ほど 追い風になっている 期間は ないかもしれない と言うことが できます。実例として、この通り 私は法改正を待たずに 申立を行いました。そして続々、手術無しに戸籍上の性別を変更された方々が 実際に出てきています。この理解で概ね正しい訳です。待たなければいけない ということでは ないのです。
立法•法改正されるまでの弊害
先述の通り、立法•法改正されるまでの間こそ 当事者にとって 有利に働く場合があることを書きました。確かにそうなのですが 弊害も無くはないことを 念のため書きます。過度な期待を させるわけにはいきませんので。
立法•改正されるまでは ただ違憲無効となった法令等が無くなる訳ですが、現行の法令等との関係により 法令等が無くなるだけだと 他の法令等と噛み合わなくなったたり、司法側も 法令等だけを基に審議する訳ではないので、世論等を鑑みて 必要あれば 歯止めをかけるような 独自の判断をしていきます。立法•改正がされず 明確な基準や指針が示されない ということになりますので、極端な話 裁判官それぞれが バラバラに判断して 申立した当事者の方の中で 審判結果に不平等が発生したり 審議が長期化してしまったりする可能性が考えられるのです。
実例として 私の経験談ですが、本日(2023年1月23日時点)において「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が 改正されない状況で 私は申立していますが、たとえば 申立にあたって 必要となる診断書を 当初 医師に作成依頼をした時には「前例がないから」とか「明確な指針がないから」とか 言われ 窓口で 診断書作成を拒否されました。また なんとか申立に至っても 本来 一般の家庭裁判所の裁判官1名にて 審判が済んでしまうところ、何故か 私に対しては 本部の家庭裁判所にて 3名の裁判官にて審判したい と裁判所に言われたくらいなので、明らかに 先述の弊害を真っ向から受けています。果たして これは私にとって追い風だったのでしょうか。いずれにせよ 申立の土台に立てるだけ十分吉であるけれども、すんなり行かず凶と出る場合もある と知っていただけましたら幸いです。
先人達へ その行動に感謝を申し上げるとともに、今度は 私が恩を返していきます
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が2004年に施行され、今年(2024年)で 20年となります。違憲判決を取り付けるだけの 1判例を出すために どれだけの先人達が 立ち向かい、挫かれてきたのでしょうか。手続きが大変だとか 先ほどの話の弊害のことだとか 不満をつらつら書きましたが、先人達の 人生を賭けた 軌跡を知る限り、その労苦に比べたら 私など足下にも及びません。
私自身 早く戸籍上の性別の変更を行いたく申立していますが、私より若い世代の人達が より簡単に 申立し 審判を受けられるような 土台を作るべく 前例を作りたいという思いで 行っている のも確かです。しかし 1例目をつくった 先人達の血の滲むような努力あってこそ 私自身申立できたのは事実で、その点を考えると 私も ただ先人達の努力に肖っているだけの その他大勢に過ぎません。
先の違憲判決は 私にとって人生を変えるほど 明るいニュースでした。このニュースのおかげで より生き生きして 将来の明るい夢を 描く私でいられたと思っています。正しいことは 続ければ報われる日がやってくるんだ、と私に気づきを与えてくれた出来事でもありました。これは 自分ごとなんだ と申立への行動を後押ししてくれたことは言うまでもありません。
先人達の努力に 感謝するとともに、今後は 私がその恩を返せるように 精一杯善処します。
その1つとして、noteを書き続けています。
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