性同一性障害 当事者から見た生殖腺の切除の意義
ども、洸です。
手術無しで戸籍上の性別変更の申立を行った当時 盛岡家庭裁判所一関支部へ提出した「当事者から見た生殖腺の切除の意義」を全文ママ 開示いたします。
注意
「当事者」と記載されていますが、正しくは一当事者個人の見解であって、代表をして述べたものではありません。
申立においては 私と裁判所間でのやり取りとなるため「当事者」は すなわち 私を指します。
また 下記の文書は 裁判官宛に 性別の取扱い変更を申立するにあたって 要件とされた、いわゆる「生殖不能要件」とされる手術が 一当事者である私から見て あくまで任意に選択される治療であることを 説明し、また 特例法の 生殖不能要件に対する反論を書いたものですが、いわゆる 性別適合手術 自体を否定するものではないことを 予め述べます。
当事者から見た生殖腺の切除の意義
2023年12月26日
盛岡家庭裁判所一関支部御中
当事者から見た生殖腺の切除の意義 :
ホルモン治療を尽くしたとしても生理が止まらない方が一定数存在すること、そのように月経が唐突に起きることは、当事者にとって強度の身体的性別違和をもたらすと考えられ、このような生殖腺が体内にあること、また月経が起きえる可能性それ自体に恐怖し、抹消したいと当事者自身が考える場合に、生殖腺の切除を行うことは一定の成果があります(戸籍制度上の不都合、例えば父から子が生まれる理論等は審判に委ね、私からは何も申し上げません)。
しかしながら、私個人に上記のことを落とし込むと、少なくとも、私は治療を怠らない限り、まず生理が来ることがありませんので、生活上の支障が極めて少なく、生殖腺等の存在そのものに強度の身体的違和があるわけでもなく、わざわざ月経の可能性をゼロにするために生殖腺切除手術を行い後遺症等を生ずるリスクを負う判断をする筈がありません。また戸籍上の性別の取扱いの変更要件に含まれないながらも、審判の判断材料となる乳腺の切除手術についても、私の場合、胸がとても小さく、急を要しません。将来切除したい気持ちはあるものの、現職のキャリアを考えると、病気による入院とは異なる理由、つまり単に私のわがままによって勤務日数穴を空けることはしたくありません。
性同一性障害の当事者であるかに関わらず、何らかの持病等ある当事者(身体 • 精神 • 知的に関わらず)、投薬の治療などによって、その副作用と引き換えにしてでも、それ以上の身体の健康(ここで言うところの健康は、その当事者が健康ととらえるかどうか、によるものとします)を得るために享受する場合が往々にして存することは想像に難くないと思われるところ、性同一性障害者にのみ、戸籍上の性別の取扱いを変更するがために、投薬等の副作用とは異なる、不可逆的変化をもたらす、臓器の切除を、治療の一つと捉えながらも半ば強制的に求めることは、不当に身体の侵襲を迫っていることに他なりません。
私にとって先述の外科的手術は治療としてみれば必要のないことであり、戸籍上の性別変更のために身体の侵襲を迫られることは、あってはならず、本人に対する治療としてはその殆どを尽くしているのだから、戸籍上の性別の取扱いの変更を認めていただきたいです。
大滝 洸
補足
性同一性障害 当事者から見た生殖腺の切除の意義 は 下記のnoteにて 一般の方でも読みやすいよう まとめています。
よろしければ ご一読ください。
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