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ちょっと不思議なお話⑧


 今から7〜8年前の事。

 家族の用事で昼過ぎに出かける事になっていた。

 天気もよく、散歩がてら歩こうと、必要な物を入れるために買ったばかりの大きめのバッグを持って、お気に入りのワンピースを着て「行ってきまーす!」と外に出た。

 途中の神社でご挨拶をして、太陽の光を気持ちよく浴びながら歩いていた時〝何か〟を感じた。

《たぶん気のせい……あー、気持ちいいなぁ》

2、3歩歩くと身体の感覚がいつもと違うのを感じた。

《いやいや、時間も迫ってるし、なんでもない、なんでもない!!》

1歩歩いた途端、空間が変わった。


 こういう時は何かある。

こんな道の途中で立ち止まっていたらただの怪しい人だ。

でも、このような時は不思議なもので、人の気配はしない。車の音もしない。ここにわたししかいないのかと思うくらい静かだ。



 《あなたは誰?》

わたしは覚悟を決めて意識を向けた。

そして本当に驚いた!!

見なかった事にしたかった。でも、見てしまった。


《……あなたは誰?》

グレイではない、でもヒューマンタイプとも違う存在。

目がまんまるくて、光沢がある。よくイラストなどで見るグレイのようなアーモンドアイ的な感じではない。鼻の辺りがちょっと膨らんでいる。口はありそうだが、小さそう。白い肌。頭は丸い。何かが発光して見える。

エネルギーが柔らかい。なぜか子どものように感じた。

〝彼〟は頭の中に何かを送っている。でも、わたしはうまくキャッチ出来ない。

でも、何かを訴えているのはわかる。何かあったのだろうか?不時着したとか?!そんな話、日本であったらニュースに……ならないか?!


《ごめんね……うまくキャッチ出来ない》

 すると、わたしの目の前の空間が光って奥行きを感じた。見えない雲のような……何か厚みのある空間が生まれている。

なんとか伝えようとしているのだろうか?

待ち合わせの時間が気になりながら、チャンネルを合わせてみた。


あっ!

何かクリアになった。

音なき音がクリアになる。


映像とともに、メッセージが突然入ってきた。

翻訳したらこんな感じだ。

『いま……………にいます。わたしの家族(仲間)が……なんです!!助けてください」

シンプルに言ったら S ○ Sだった。

あまりにリアルな名称を言われて驚いてしまった。でも、わたしはそのような名称は聞いたことはなかった。


わかったけれど、どうしたらいいんだろう。同じサインが何度も何度も……。


《ごめんね、その場所のことはわからないんだ。それにそこの場所は名前からして、とてもここから遠いと思うの。

その場所に近いところにも信号をキャッチ出来る人がいると思うから、近くにキャッチ出来る人にサイン送れないかな?》

それでも、サインは送られ続けた。

彼の必死さが伝わってくる。


《ごめんね……》


 わたしは薄い雲がなびいている空に向かってフーッと息を吐いて落ち着かせ、少しチャンネルを変えた。

《どなたか同じサインを受け取っている方がいますか?わたしは彼のところには行けません。でも、彼の言っていることが本当ならば助けてあげたい。

彼の近くでサインをキャッチ出来る方がいたら、お願いします!!》

内に向かって念じた。彼のサインとともに。


 すると、彼の映像がうっすらとしてきて、雲のような層が薄くなってきた。

届いたのかな?

こういう時、わたしはとても慎重ですぐに鵜呑みにする方ではない。

ただ、彼のサインは今まで受け取ったことのあるエネルギーの中でも、全く違うものだった。


 どのくらい時間が経過したのだろう?

 恐る恐る時計を見ると、まだ十分に間に合う時間だった。


☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆


 突然、音が聞こえてきた。

真後ろから白いトラックが走ってきて、慌てて避けた。

空からは飛行機の音、斜めに交差する道には楽しそうに歩く親子連れが見える。


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 戻った。

 もう、彼の気配はない。

 時間の調整は完璧で、待ち合わせの時間には全く問題なかった。


☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆


 あれから数年後『超ムーの世界R』の中で並木先生が、あの宇宙人さんが言っていたような場所の話をされていた。

やっぱりあるんだ……。

あれから彼が現れた事はなかった。

この宇宙のどこかで彼と家族(お仲間)が元気にしていることを願っている。





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