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#008 誰が正直者?

Q.8
Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの中に必ず正直者が2人います。
正直者は必ず正しいことを言いますが、正直者でない人は必ずしも正しいことを言うとは限りません。正直者は誰と誰ですか。

Aさん「BさんとCさんは正直者です」
Bさん「ぼくは正直者で、Cさんは正直者ではありません」
Cさん「ぼくとBさんは正直者ではありません」
Dさん「Aさんは正直者ではありません」

「条件整理と推理・論理」の単元では、
論理的に物事を見れるかという論理的思考力が問われます。
問題文の意味がちゃんと理解できないといけないので、国語が嫌いな生徒はこの数字の出ない問題が無条件に嫌いな子も多いです。

大人でも「うーん」となるような問題ですが、
ちゃんと文を読めば「言っていることがおかしい」という人が見えてくるはずです。

おそらくこの問題を解く能力は大人になってからフルに生かされるんじゃないでしょうか。

まず、こういった問題に慣れてくると「鼻が利く」ようになると思うんです。

誰かの話を聞いていて「なんか臭い…」と感じられるかどうか。
「誰でもすぐに稼げる」という上手い話の矛盾を見つけられるかどうか。

一切の自慢になりませんが、
私はよく怪しいセミナーに誘われます。

4年前、学生の時に知人からセミナーに誘われました。
それは「マレーシアのカジノ業者のある事業に出資すれば高額な配当がもらえる」という内容の詐欺でした。
(「DKG金尊クラブ」と検索すれば出てきます)

当時はまだ広がる前だったので、検索しても何も出てこなかったのです。
今でこそ世の中のあらゆる話に対して怪しいか怪しくないかの分別はつきますが、田舎から出てきて1,2年では知識もなく、判断が難しいものでした。

周りを見ても明らかに20代が多いんです。
後で知ったことですが、富裕層ではなく、あえてお金も知識もない20代をターゲットにしたのはやはり「騙しやすいから」だったようです。
ずっと景気の悪い時代を生きてきたからこそ、一発逆転を狙える景気の良い話は平成の希望の光でした。

実はこの詐欺セミナーを主催している代表者の方と2人でランチに行ったことがあるのですが、その人自身は確かに人間味に溢れていて魅力的だったんです。今は成功しているけど実は謙虚な苦労人。そういう人っていますよね。

羊の皮を被った狼ってああいう人をいうのかと、今となっては思いますが。

ただ、何に引っ掛かったかというと、
全く違う話をしている時にふと優しい目で

目的のためなら手段を選ばない

と言った瞬間でした。

この人の芯にはそういう価値観がある。
怪しいとまでは思わなくても、
「引っ掛かる」
その喉に刺さった小骨のようなものを取るために
資料に書いてある連絡先(海外)に電話をしました。

繋がらない。
検索しても出てこない。
刺さった小骨がどんどん痛くなる。

本社の所在地をGoogleMapで調べたら確かにビルがありました。
しかし、Googleで検索をすると別の会社名が出てきたのです。

ここで初めて「あぁ、これは…」と。

私が何でも興味深々で聞くので、
その詐欺グループのカモと思われたのか、また後日違う担当の方と2人で食事に行きました。

相手の目的は間違いなくクロージングです。
こちらも腹を決めていました。

会って30分ほど経った後、契約に持っていこうとする相手に対して私はこう切り出しました。

「実は友だちに紹介したらその友だちもやりたいって言ってて。250万円くらい投資できそうなんです。
その人はなかなか大阪には来れないので、どうしても契約書だけ見せてほしいって言ってるんですがありますか?無理言ってすみません。」

クロージングするテンションを急に冷まして「今日はまだ契約しないですよ!」と掌を返したので、用意していた次の質問。

「そういえばネットで投資契約の申し込みができるんですよね。ネットの方に契約書とか同意書のページがあると思うんですが…そのページだけでも。」

相手は一瞬の困惑の表情を見せ、
「それも、ちょっと無いですね」と言った後、
向こうも悟ったように目を逸らして苦笑いしていました。

その後私はすぐにセミナーで知り合った参加者に「これは詐欺だと思う」と伝えに行き、「確かにそれは怪しいね」と理解してくれました。

詐欺師の言葉は常に怪しいとは限りません。
見方によっては全部正しく思えてしまうし、
「この人の言うことだったらきっと正しい」と自分の脳で上手く解釈することだってあるんです。

言っている人の人柄が良いからとか、
こんなに誠実そうな人なら絶対騙さないだろうとか、
そういう「理屈じゃない部分」で正しさを判断しては、きっといつか誤ります。

その人の見た目や経歴、優しい人柄、そういうものは抜きにして
条件と言っていることに矛盾は無いか
ただそれだけを見てください。

きっと答えは見えてきますよ。



一緒に食事に行った人は、昨年逮捕されたようです。
詐欺はもちろん騙す方が悪いけど、騙される方にも非はあります。
知恵をつけて、矛盾に気づいて、しっかりと調べればすぐに分かること。

バカにだけは、バカにされない人生を。

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