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角田光代著『三月の招待状』
角田光代さんの作品は殆ど読んでいますが、その中でもこれは何度も読み返しています。
角田さんの作品は、長編小説やかなり重い内容のものも多いのですが、『三月の招待状』は、そこそこにライトで、かつ人間模様が面白いので、気軽に手に取りやすく、繰り返し読んでも飽きないので好きです。
主な登場人物は、大学時代からの仲間女3人と男2人と、その恋人たちなど。
こういう小説を読んでいると、「私はこのキャラに近い」とかよく考えたりするけれど、角田さんの作品は、それぞれのキャラひとりひとりに、自分の似ている一部分を見たりする。
そしてみんな、自分なりに頑張りつつ、ダメなところもたくさんあって、自分と重ね合わせるところがたくさんあって、ああ、誰も憎めないなあと笑ってしまう。
この小説のテーマは、主に離婚と結婚かと。
友人の離婚式に始まって、友人の結婚式で終わる。
長く一緒にいすぎたカップルの離婚。お互いを分かりすぎる心地よさの先に、絶対に行き着く喧嘩の理由も分かりすぎる現実を見続けて15年。
本文には描かれていないのだけれど、きっと2人は元に戻るんだろうなあと思えるこの関係は、1つの理想形のような気もする。
私はそんなに長く誰かと一緒にいたことはないけれど、いつどんな場所で会っても、1ミリも気兼ねのいらない、そんな心地よさが、何者にも代え難いということはすごく分かる。
何を言えば不機嫌になるのか、どんなことでぶつかるのか、わかりきっていながら、軌道を修正しない会話も分かる。
そういったことをぜんぶまっさらにして、新たに誰かと出会い、恋愛をしてその先を見るということは、気の遠くなるような、絶対に取得できない資格試験みたいな気がしてしまう。
恋人がいながら、昔の実らない恋が忘れられず、それを忘れるために結婚を決意するという女性の気持ちも分かる。
現恋人を好きという気持ちと、昔の実らない恋に対する気持ちは、全然矛盾することなく存在して、この小説の中では、一方が確実に実らないから、現実にわかりやすい問題が起きなくていいんだよなあと思う。
もう一方も実ってしまうと、問題は複雑になってくる。
始まらなくていいステージもあるんだよなあと思う。
そこまで描かれていないけれど、永遠に始まらない切なさは、結婚をしてもたぶん消えないんだと思う。
そういう想いを抱えて生きてるひとも、たくさんいるんだろうなあと思う。
そういう自分のバランスをとるための結婚という、ある種の契約で自分を律しているという人も結構いるんじゃないかと思う。
でもそれは、結婚相手に対する不誠実さとは、私は思わなくて
その結婚はその結婚として、それ位以上でもそれ以下でもなく、その中でつくられていくかけがえのないものにできるんだと思う。
結婚は、一緒にいたいという想いの延長でありつつ、ある種の縛りであり決心でもあると思う。
「結婚をして、もう恋愛について悩む必要が無いんだと思えたことが一番良かった」という話を聞いたことがある。(たしか私のブログのコメントにあった。)
私はこの人とずっと一緒にいる(だろう)、この人は私とずっと一緒にいてくれる(だろう)
ベースにその安心感(ある種の縛り)があって、より人生が楽しくなるんだろうなという気もする。
自分の中で変化していく思いもあって、今年後半はこんなテーマでいろいろ考えてみたいなあと思う。
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23:10就寝 4:50起床 体重46.4kg ウォーキング20分 掃除30分
毎日本を1時間読むより、毎日掃除を1時間するほうが人生変わるかも知れないと最近思った。
いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。