マガジンのカバー画像

現代俳句

31
ただならぬ海月ぽ光追い抜くぽ  田島健一(『ただならぬぽ』)
運営しているクリエイター

#詩

わたしでねむれない

わたしでねむれない

ふくろふはふくろふでわたしはわたしでねむれない  山頭火(『新編山頭火全集1』)

俳句は季語が俳句を支えてくれるが、自由律はなにが支えてくれるんだろうと時々考えることがある。

山頭火をずっと読んでいたときにそれは、わたしなのかな、とふっと思った。

自由律はこのわたしが支えてくれる。自由だがこのわたしからは逃れられない。どこまでも、起きても、眠っても、恋しても、失っても、終わっても、始まっても

もっとみる

僕は眠る君は起きていて

春の光ぼくは眠る君は起きてゐて  佐藤文香(『君に目があり見開かれ』)

光の中で本当に置いていかれたのは僕と君のどっちだったんだろう。

「僕は眠る、君は起きていて」

俳句という、さっと来て、さっと帰ってゆく詩の中で、
僕は君を置いていくことになる。

僕は見送られる。

たぶんまた、会えるけれど。
今は。光。