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わたしでねむれない

ふくろふはふくろふでわたしはわたしでねむれない  山頭火(『新編山頭火全集1』)

俳句は季語が俳句を支えてくれるが、自由律はなにが支えてくれるんだろうと時々考えることがある。

山頭火をずっと読んでいたときにそれは、わたしなのかな、とふっと思った。

自由律はこのわたしが支えてくれる。自由だがこのわたしからは逃れられない。どこまでも、起きても、眠っても、恋しても、失っても、終わっても、始まっても、わたしだ。
このわたしの果てにはわたしがいる。驚くべき、平凡なわたし。
このわたしから逃れない場所でこのわたしを理由に書いていく。それが自由律であり、詩なのかな、とも思った。だから山頭火は詩を書きたいってなんども言ったのかなとも。

ふくろうはふくろうだし、わたしはわたしだ。そしてあなたはあなただ。さいごの電話でそう伝えればよかった。星の音が凄いよ、みたいな話をしてしまった。

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