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書評、無印良品は仕組みが9割【戦略5%、実行95%】

無印良品の会長による無印のV字回復の方法を教えてくれる書籍です。図解版とのことで、分かりやすく、本質的な部分がより明確になっています。

本書によると、無印V字回復を成し遂げた方法は、徹底的な業務のマニュアル化とのことです。僕はマニュアル仕事が苦手なので、マニュアルというと「ウザっ」と思ってしまうのですが、いろいろとタメになることが書いてありました。印象に残ったことを記録しておきます。

戦略5%、実行95%

戦略一流・実行力二流よりも、戦略二流・実行力一流の会社が勝つとのこと。昨今、ビジネスモデルという言葉が流行っていますが、それを業務に落とし込み、ビジネスプロセスとして組織に焼き込み実行していく力のほうが遥かに大事とのことです。耳の痛い言葉ですね。

そういえば、むかし戦略特化のチームに所属していたことがあるんですが、そのときの上司に「あんたの言うこと、現実味がないじゃん」と言ったらムチャクチャ嫌な顔をされたことがあります。僕は現場あがりなので実行まで移せますが、彼らは資料を書くまでが仕事で、実行に移すという発想がそもそも無かったようです。

実行に移すのは他者の役割というのはそれはそれで然るべきですが、現場無視で作ったクズアイデアをぶん投げるだけぶん投げて、あとは知らんってのは、さすがに人としてどうかと思います。

反対勢力はあえて改革の中心メンバに

改革には痛みを伴います。そのとき反対意見を持つ方を、改革推進の中心メンバに据えることで自発的に取り組んでくれるようになることのことです。

普段からDXなんてのに関わっていると、こうあるべきだ的な戦略を描くことは意外と簡単にできるのですが、いざ実行フェイズに移ると反対勢力にメタメタにされます。

僕のロジカル・シンキング力が弱いというのはありますが、そもそも構造的な問題があります。推進派は「あるべき論」しか語ることが出来ません。実際に変革が実現したわけではないので、そこまでの道のりをロジカルに説明するのは非常に難しい。一方で、抵抗勢力は「〜〜だから難しい」というのを現実的かつ非常にロジカルに説明できるものです。

ハンコを無くせばみんな便利じゃん、に対して、○○と○○の法改正がまず必要になるだとか、○○の本人性確認には印鑑証明が必要でこのときはどうするのか?とか、婚姻届は今から夫婦になったという感覚が必要なので押印体験が重要だとか、ハンコ屋はこれからどうしたらいいのか?みたいな事例が100も1,000も出てきます。で、最後に「きれい事をいうだけなら誰でもできる」と締めてくるわけです。

無印良品の場合は、これを一つ一つ潰していくのではなく、反対事例をあげてくる人間をDX推進の中心人物に仕立ててまうわけですね。なるほど。きれいなコンサル資料からは出てこない発想だと思います。あくどいですね。


業務マニュアルを適切に設計し運用するためには、その前段のビジネス・プロセス・マネジメントの知識が欠かせません。本書はマニュアル特化の書籍なので本書だけを参考にするとムダなマニュアルが量産される危険があると思います。しかしながら、教科書から現実に落とす示唆がたくさんある点は素晴らしいのではないかと思います。

特に「マニュアル仕事なんてクソじゃん」などと思っている小煩い僕のような人間を説得・納得させる方法論が色々書かれているのは有益だと思います。日本企業は現場最強でそれが強みだと言われてきましたが、DXはその強い現場が仇になって進まないので。

おわり。



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