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映画館へ行こう!

自粛生活が徐々に明けて、街にもかなり人が戻ってきた。あんなガラ空きの電車に乗った時は、この自粛生活が長く続いたら前の生活なんて忘れちゃうのかもな、と思ったし、実際に出かけ方をどんどん忘れてしまった。

先日、久しぶりに映画館へ行った。3ヶ月ぶりだろうか。多い時はほぼ毎週映画館に行っていた私にとっては長い我慢だった。久々に行ったら座席に着いただけで泣くかも、とまで思っていたが、いざ行ってみると意外と期待したほどの感動はなかった。座席に着いた時にはもう、我慢した期間のことはすっかり忘れていた。終演して映画館から出て行く時、ああこれが日常に戻るってことなのかな、と思った。

とはいえ、やっぱり映画館はいいもんだなあ!と改めて感じられた。だって、これでまた映画館に行けなくなったらとんでもなく悲しい。私は映画館が大好きだ。この自粛期間を経て「映画館で映画を観ることの良さ」に改めて気づいたので、書いてみることにした。

映画館は逃げられない

映画館で映画を観る良さは、映画から逃げられないことだ。ひとたび席に着けば、最後までそこに座って映画を観る。こちらに体当たりしてくる大迫力の映像と座席を震わせるほどの音響を全身で受け止める。他に選択肢はない。途中で逃げることはできないのだ(膀胱が断末魔の叫びを上げない限りは)。

ところが家で映画を観るとなると、それはそれは逃げ道がたくさんある。途中でスマホをいじったり、宅配便が届いたり、雨が降って来たら洗濯物を入れたり... ホラー映画なんか観る時は、どうしても怖くて早回ししたり、PCの再生バーをなぞると出てくる小さい画面で1分後に血しぶきが飛んだりしてないか、ものすごく確認してしまう。私はよくやってしまう。ビビりだから。

映画館だとそれがない。「映画を観る」。ただそれだけだ。1分後どうなるか確認することなんてできない。こっちがビビりすぎて白目を剥こうとガタガタ震えようと涙を流して嗚咽しようと、映像と音響がお構いなしに体当たりしてくる。この逃げられない状況の中に身を置いて、何にも邪魔されず、映画の世界に没入するのが大好きだ。

映画館は静寂が聴こえる場所

映画館で観るならアクション映画が好きだ。なぜかと言えば、いちいち音がデカいからだ。デカい音で全身を包まれるのは、非日常感があってすごく気持ちがいい。ところが、最近久しぶりに映画館で観賞して、映画館は単に音がデカいだけではないと気づいた。映画館でしか聴こえないもの、それが静寂だ。

最近、全国の映画館で過去の映画がたくさんリバイバル上映されているのを知っているだろうか。(コロナの影響で新作の上映が遅れているからだ。)実はスタジオジブリの古い作品も上映されている。この恩恵を受けて私は生まれて初めて「もののけ姫」を映画館で観ることにした。

「もののけ姫」は静寂がもろに聴こえる作品だった。緊迫したシーンや神秘的なシーンで一切の無音状態になるのだが、あんな静寂は久しぶりに聴いた。この状況をとても的確表現しているツイートがあったので貼っておく。

いやほんと、これなのだ。「固唾を飲んで」の文字の如く、隣の人がごくりと喉を鳴らす音とか、かすかな鼻息とか、そういうものしか聴こえない。それ以外は何も聴こえないのだ。「音がしない」という音が聴こえる。鳥肌が立つ。ここまでの静寂は日常では作り出せない。映画館だからこそ作れるものだ。そしてその静寂を、観賞している見ず知らずの人たち全員で作り出しているという状況も、すごく好きだ。(だからこそ、上映中に携帯電話を鳴らしたり、LINE見るのとかは絶対にやめて欲しいのだ。)

映画館だから出会えた

「もののけ姫」のリバイバル上映を観て、これからもいろいろな過去の作品を映画館で上映してもらえたら嬉しいなーと強く感じた。古い映画なんて家で観ればいいじゃんと思う人もいるかもしれないが、いやいや、ぜひ一度映画館で観てほしい。家のテレビやパソコンでは、やっぱりその映画本来の良さって120%味わうことはできないと思う。たとえ60インチの4Kテレビを持っていたとしても、だ。

それに、もしリバイバル上映をしていなかったら、私はおそらく一生「もののけ姫」は観ていなかったと思う。名作だし一度は観た方がいいとは思っていたが、なんとなくめんどくさくて観ていなかった。今回、映画館で上映してたから興味を持ったし、自分が赤ん坊だった頃の作品を映画館で観れるチャンスなんて金輪際ないと思ったから、観ることができた。それも、映画館という最高の場所で。

E.T. 、ジョーズ、七人の侍など、自分が生まれる前の作品も、実はリバイバル上映で初めて観賞した。そしてやっぱり、映画館で観て本当によかった!と毎回満足して劇場を後にしたのを覚えている。この有事で楽しみにしていた新作映画(私の場合はワイスピ)が中止になったのはマジで落ち込んだけど、過去の作品を通して、時を経ても変わらない「映画そのものの素晴らしさ」に気づけたのはこの上ない救いだったと思う。

長々と書いてしまったが、小難しいことはさておき、やっぱり映画館で映画を観るのは最高!ということだ。だから、最後に映画館に行ったのはいつだったかしら?という人もぜひ。もちろん、体調管理には十分気をつけた上で。手を洗って、マスクして、体温はかって。準備は万端。さあ、映画館へ行こう!

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