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#マキアヴェッリ

【読書】『わが友マキアヴェッリ』第三巻【イタリア統一しかない】

【読書】『わが友マキアヴェッリ』第三巻【イタリア統一しかない】

考えることしかない 仕事が大好きであったがゆえに有能になり、有能であったがゆえに職場から追放される。
 皮肉以外の何物でもないが、仕事がなくなってしまったがゆえに、考えることしかできなくなってしまった。
 マキアヴェッリ、四十四歳から四十六歳は、最も失意の時期で、不惑どころか戸惑ってばかりであった。
 だからこそ『君主論』が生まれるのだけれども。

フランチェスコ・ヴェットーリ

 一五一三年、フ

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【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻③【失職】

【読書】『わが友マキアヴェッリ』第二巻③【失職】

自分の国は自分で守ろう・・・・・とした 終身大統領になったソデリーニは、新税法案の理論的根拠作成をマキアヴェッリに命じる。
 新税を課さない限りフィレンツェ政府の財源は尽きていたからだ。
 だからといって新税が嫌われるのはいつの時代でも変わらない。
 したがって、誰もが納得する根拠を提示して、それで押す、しかない。
 そのマキアヴェッリの論文は、
『若干の序論と考慮すべき事情を述べながらの、資金準

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【読書】『わが友マキアヴェッリ』第一巻③

【読書】『わが友マキアヴェッリ』第一巻③

 一四九八年五月二十三日、サヴォナローラ処刑。

失職したマキアヴェッリの想いは? これからマキアヴェッリの「現役時代」の話になるのだが、その前に「失職した想い」を想像するのは、順番が逆であるようように思われるかもしれない。
 しかし、「現役時代」のマキアヴェッリは、まさに八面六臂の大活躍なのである。
 それでいて「失職」してしまうのだということを念頭に置いておかないと、マキアヴェッリの想いに寄り

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【読書】『わが友マキアヴェッリ』第一巻②【サヴォナローラで大失敗】

【読書】『わが友マキアヴェッリ』第一巻②【サヴォナローラで大失敗】

跡継ぎが失敗する ロレンツォ・イル・マニーフィコの死後、息子ピエロが後を継ぐ―――――
―――――のだが、ピエロは、父ロレンツォさえもやらなかったことを始めてしまった。
 メディチ宮殿を政庁にしてしまったのだ。「自由」「民主政」を信じるフィレンツェ市民の疑惑を買ってしまう。
 父ロレンツォの子どもたちに対する評価

 息子ピエロは、次から次へと失敗を犯す。
 失敗の連続はサヴォナローラの台頭を許す

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【読書】『わが友マキアヴェッリ』第一巻①【ロレンツォ・イル・マニーフィコ】

【読書】『わが友マキアヴェッリ』第一巻①【ロレンツォ・イル・マニーフィコ】

花の都フィレンツェ イタリアに三十近くあった小国は、ミラノ、ヴェネツィア、ローマ法王領、ナポリ、そしてフィレンツェの五大国並立時代を迎える。
 ヴェネツィアは百年も前に個人の力量に左右されない体制をつくりあげたが、フィレンツェは個人の力量に頼る体制にするしかなかった。
 なぜか?
 フィレンツェも、ヴェネツィアも、個々は優秀であったのに、なぜこうも違ってしまったのであろうか?
 いくつか仮説を立て

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