一人の男がバーのオーナーになるまで【懐古録】~カフェ&バー経営の生き残り論~ #6
チャージ料、どうするか問題
いわゆる一つの席料というヤツですよ。
普段から飲みに出歩かない人には「座っただけで料金が発生する」という理不尽極まりないカテゴリですね。
一方、
居酒屋では名前を変え、「お通し」と呼ばれるもので、頼んでもいないのに小鉢に入った何かしらの酒のお供が出てきて強制的にお金が発生していますね。
それもあって、
ネットニュースの記事や匿名掲示板ではこの「チャージ料金」や「お通し」について納得のいかない方々が不満の声を上げるというのを目にします。
いやまぁね、その気持ち
わ か り ま す
そりゃあ利用する側からしても一円でも安い方がいいでしょうし、ワタクシだってそうです。
とはいえ、バーを経営する身となった今では気にならなくなりました。
ただ、自身とて眉をひそめてしまう時があるわけですよ。
それは
設定した料金に見合ってない
これですよ。
現実的ではない例えですが、とある居酒屋でお通し料が2000円だとします。
んで、出て来たのが
小鉢に枝豆ちょこっと、終わり。
これは暴れますよね。
んで、二度と行きませんね。
たかが席代、されど席代、どういったサービスをすればお客様に納得して払っていただけるか、これが店主の腕の見せ所じゃないかと思っております。
じゃあ何故、席代を設定するのでしょう
利用する側からするとわずらわしい以外の何物でもないこの席代。
同じ小規模店でもラーメン屋や牛丼屋、そして、定食屋などではありえないこの値段設定がバーや居酒屋にはあるのでしょう。
ワタクシ個人の考えで正しいかはわかりませんが、自分なりに導き出した答えが
回 転 率
お客さんの目的が「ご飯を食べる」だと滞在時間は短くなりますね。
明け方のススキノでは牛丼チェーン店やラーメン屋でダベっていたり寝ている方も見かけますが、一般的には
食ったら帰る。
あくまで自身の見た限りの感想ですが、経営に対して論じている方々や書籍を見ると回転率云々の話は良く出てくるので大きく逸れた話をしてはいないと思うんですよね。
一方、
酒をメインとした飲食店はどうかというと回転率は悪くなります。
バー形態なんて特にそうですよ。
一杯のお酒をゆっくり、ゆっくりと楽しむ。
中にはピッチが速く、ガンガン飲まれる方もいらっしゃいますが、それは稀です。
そんな状況でテーブルチャージを設定しないとどうなるでしょう。
さてお会計となって料金が
1,000円以下。
これはたまったもんじゃありません。
特に、当店のようなカウンターが5席の店だと大打撃ですね。
仮にオープンと同時に満席になったとしても、開店から閉店まで滞在されたとします。
一日の売り上げが
5,000円未満。
その日は固定費すら出ません。
原価や光熱費、交通費を考えると、いっそのこと休みにしていた方が得という、逆転現象が起こってしまうわけです。
で、
こういった状況を回避するためにワタクシはチャージ料を設定しております。
自身の店では1,000円の席料をいただいております。
これがあることによって、さきほど挙げた例だと10,000円弱になり、経費を差っ引いても多少の利益が出るわけですね。
とはいえ取るだけじゃあダメなんです
前項で当店のチャージ料に触れましたが、ちょっと特殊なシガーバーという名目で営業しておりますが、バー形態で1,000円と設定しているのはススキノ界隈だと
高い方です。
自覚はしておりますが、こうでもしないと狭小店舗である自身の店は生き残ってゆけないので苦肉の策で導き出した設定でした。
その中で自身がご時世と逆行しまくった「シガーバー」という形態を営む上で一番に大切にしていることを武器にしようと思ったのですよ。
まずは、
店主から貰いタバコし放題
来店の際にはタバコのご用意は一切しなくて良いです。
「タバコ飲みの楽園」として店を構えているワタクシが個人的に持っているタバコならバンバン吸っていただいて結構です。
これについて一切追加料金はかかりません。
加えて、
パイプタバコも楽しく味わえる講座……というか吸い方もお伝えしておりますし、一式ご用意しております。
これについてもまた、追加料金はかかりませんよ。
更に、
食べ物の持ち込みも自由にしていただいて構いませんというスタンスを取っています。
当店は煙を売る店、燻製の機材も揃っておりますので、燻(いぶ)せる食材でしたらその場で燻製もいたしますよ。
これもまた追加(以下略)
と、
その他、当店は煙を売ることにガン振りすることにしました。
なぜならカウンターの中に入っているマスターの人間性や経験を売れない……というか、売れる経験や人間性を持っていないため、煙を売ることにガン振りしようと思ったわけですね。
そもそも煙って
経 年 劣 化 し ま せ ん し。
とまぁ、経験が一切無い素人バーテンが2015年に開業し、2年経つうちに8割以上潰れると言われている業態で7年半生き残れたというのは紛れもない事実なんですよね。
とまぁ、
長々と語ってきましたが、世間的に嫌われているチャージ料やお通しと呼ばれる席代ですが、店の規模が小さくなればなるほど大切なカテゴリかもしれませんね。
最後に
これが正解だ、というつもりもありません。
これから小規模飲食店を開業しようという方に何かの参考程度になれば良いな、そんなことを思ってます。
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