踏んだり蹴ったり祝われたり

もうすぐ日付が変わる。
日付が変わったら、お誕生日だな。

と、思いながら、子どもたちと布団を並べた和室でぼんやりしていると、家が、地面ごとぐわんぐわん揺れた。なんだこれ。
おおきな円を描くような揺れ。
なにもない部屋なので、なにかが倒れてくることはないけれど、子どもたちの身体に覆いかぶさるようにして、収束を待つ。

家族が流行り病になって、わたしたちは濃厚接触者になって、さらに地震まで来るか。
不安になるとか心配をするとか、そういうの全部通り越してイライラしてしまった。
ここ数日で、自分自身の心の狭さとか、器の小ささを目の当たりにしている気がする。
子どもたちは、うう〜ん、と唸っただけで、眠りの中から出てくることはなかった。

日付が変わって、お誕生日。

最近は、ストレスのせいか、朝にすっきりと起きることができない。重力がしんどい。
スマートフォンの画面をみると、たくさんのメッセージの通知が来ていた。わお。
普段は、近所のドラッグストアからセールの案内ぐらいしか届かないので、異例の事態。
さすがお誕生日。ありがとうお誕生日。
読む前から、もう、うれしい気持ち。

ひとつずつ開いてみる。
お祝いの言葉だったり、状況を案じてくれる言葉だったり、オンラインギフトだったり、笑い飯がマリリンモンロー風にハッピーバースデーを歌う漫才の画像だったり、三児の母の全力の変顔(鬼瓦)の自撮りだったり。

お祝いのバリエーションすごいな。
閉め切った部屋で、声を出して笑った。

近くて遠いところにいる夫からは、クロネコヤマト経由で、はにわぷりんが届いた。
踊るはにわの形をした容器の中に、こんがり焼き目のついたプリンが入っている。
古墳の形をした化粧箱から出土されたはにわたちは、片手を上げたまま、ちょっとだけ、申し訳なさそうな顔をしていた。
子どもたちからは、折り紙で作ったかわいいデコレーションケーキをもらった。

予想もしていないタイミングで。
予想もしていないトラブルに見舞われて。
予定していたお誕生日とは、まったく違ったかたちの一日になってしまったけれど。

それでも、こんなハッピーな気持ちで過ごすことが出来るなんて思ってもみなかった。
わたしは、心が狭くて、胸に抱えている器もはにわぷりんの容器よりも小さくて。
落ち込みやすくて、すぐに余裕を無くして、イライラしてしまうけれど。
それでも、大事な人たちを大事にする気持ちだけは、忘れずに過ごしていこうと思う。

あっ、読んで下さったそこのあなた。
わたしへのお誕生日プレゼントのかわりに、どうか、この記事のハートマークのボタンをぽちっと押していってください。 なんてね。

最後まで読んで下さったあなたにとっても、今日が、いい日でありますように。


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