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#13 楽しそうなおじさん

楽しそうなおじさんが、好きです。
例えば、すゑひろがりず。
横並びに座ったおじさんふたりが、ひとつのイヤホンをシェアしながら、ゲームコントローラーを握って、ああでもないこうでもないと言いながら、バイオハザードをプレイする光景は、心の底から癒やされます。
いきなりゾンビが登場したとき、ふたりそろって、10センチぐらい、ぴょん、と跳び上がっているのを見ると、日常生活の過程で心の底にたまった澱みたいなものが、シュワ〜ッと浄化していきます。
お年寄りが、よちよち歩く幼児をみて、その微笑ましさににっこりと目を細めるような、そんな気持ちに近いのかもしれません。

街角にも、楽しそうなおじさんはいます。
駅前の広場に、フードのついたブルゾンを着た背の高いおじさんと、ポケットいっぱいのベストを着ためがねのおじさんが、ふたりで立っています。
そこに、グレーの野球帽をかぶったおじさんが「わるいわるい!」と駆け寄ります。
とたんにふたりは相好を崩し、お前遅いぞ、もうだれだれは先に到着して待ってるかもしれないぞ、あいつはせっかちだからな、なんて言いながら、三人で連れ立って、わははと笑って歩いていく。
全員、シニアの年齢なのに、その姿は、部活帰りの男子学生みたい。
すごく楽しそうな雰囲気で、年齢を重ねてもそんな仲間がいる彼らのことが、ちょっぴりうらやましくなります。
仲良きことは美しきことかな。
武者小路実篤も、おじさんの友情を表現するために述べた言葉ではないとは思いますが、まあいっか。

ではでは、また明日。


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