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改めて「働く」ってどういうことかあなたは考えてますか?

今回は、採用に関わる身として、改めて働くと言うことについて考えるきっかけに出会ったのでそのことについて書き残します。

この記事で伝えたいこと

この記事で伝えたいことは、あなたなりの考えで働く意味を持つことの重要性を書いています。
求人広告のキャッチーな言葉だけに引っ張られてしまうのではなく、自分なりに働く意味を持つことで、ただ雇用されるのではなく、自分の人生を歩むことを忘れないでほしいと言うことです。

きっかけはとあるキャッチコピー

2020年10月から2022年1月末まで、私は個人事業主として、某大手運送会社と業務提携をしていただき、宅配の業務委託をしていました。
コロナ禍で、外出して気軽に買い物ができず、通販やECによる需要が伸びるとわかっていたから、2年間は誰かの役に立つ仕事をやろうと決め、自分の能力を見積もった結果、宅配業という選択をした結果です。これはこの2年間私が持っていた働く意味です。

結果的に運送業界について知識が増えました。例えば、今後自動運転化が現実となった場合、運送業界への参入障壁はどれくらいあるのか、実装できるかどうか。と言う考察は業界に触れること予測を立てることができたのは収穫でした。

そんな中、先日ニュースアプリを見ていると、気になるキャッチコピーを目にしました。

家族のために稼がないといけない方におすすめの年収500万円のトラック運転手の求人

というものでした。
「家族のために稼がないといけない・・・」

かなりターゲットを限定した、この妙に印象深いキャッチフレーズに、なんとも言えない感情に襲われたのです。

※実際の求人広告をスクショした
※画像内では年収400万前後になってることにも違和感
※東証1部上場企業の文字

モヤモヤした理由は何かを考えてみた。
まず、画像に組み込まれた数字では年収400万前後となっているが、サムネでは年収500万円になっているのも不可解に感じる。

それより「家族のために稼がないといけない」について

家族のために稼がないといけないと感じるのは、本人が使命感を持って感じることであって、募集企業側が気づかせることじゃないのではないか?企業は、顧客に対する企業理念や、会社のサービスに共感してもらうべきではないのか?という点です。
これでは「あなた、稼がないとやばいんですよね?うちにきますか?」という事になってしまう。

ブラック企業時代の話し

私は20代の頃に、FC加盟契約で飲食店を10数店舗経営するベンチャー企業で、店長として勤務していたことがあった。
果てしなくブラック企業だったのですが、その当時の上司から受けるマネジメントの中で「家族のためにやるしかないでしょ!!」という言葉をよくかけられた記憶がある。それが蘇ったのです。

家族のためなら休んでる場合じゃないよね?
昨対より売り上げあげないとだめだよね?
家族のためにボーナス欲しいよね?
アルバイトは辞めさせちゃダメだよね?
俺(社長)だって、立ち上げ当初は何ヶ月も休めなくて苦労して頑張ってこのお店を軌道に乗せたんだから、きつくてもやらなきゃダメじゃない?
甘えたこと言うんじゃないよ。
成長したいでしょ?
上に行きたいでしょ?
ブラック企業でいただいた金言集

当時、私は新婚で長女が生まれて間もない頃で、これは家族のためなんだ!と自分に言い聞かせ、無我夢中で働いていた。
もちろん、当時はそれが正解だったと思っていたし、他に選択肢があったかと言われれば、見つけられなかったとも思う。

人間の判断力と金銭感覚について

確かに、選択肢がなかったのも事実だかが、それ以上に選択肢を自分で閉じていた可能性があったかもしれない。
当時は安月給で金銭的にも困窮し、なんとか家族を養うために日々切羽詰まっていました。
店長は管理職だから残業代は出ないと言う幻のルールも適用されていたし、マイナス査定も給与に反映されていたことも影響している。
奨学金の返済にも追われていた。
要するに、他の選択肢を考える余裕を失っていただけなのです。

貧乏が頭を悪くする。

この個人事業主になった2年間は仕事をしつつ、今まで時間を使うことができなかった読書や勉強に時間を費やすことができた。
おかげで、健康に気を使うようになり、お酒もやめた。自炊するようになり体重も20kg減量した。これに関してはまた別で書きたいと思っています。
その学習生活の中で知った、様々な研究や文献を元に、これまでの「選択」する場面において、自分の思考はどうだったかを振り返ることができた。

・お金がないと言う認識が、選択意思をバグらせる
・働く意味を持っていないと搾取される

頭が悪いから貧乏になるのではなく、貧乏が頭を悪くする。という事実、多くの記事や書籍でも書かれています。ハーバード大学の実験結果などもわかりやすく解説されていて、この事実に触れてからは、当時ブラック企業にいた自分の、選択は思考力の低下からきていたものだと感じています。

この研究で興味深かったことは、お金や資産を持っている人でも、資産が減ったという事実が思考力を低下させるということ。
元々自分は貧しいと感じている人だけが、思考停止に陥るわけではないと言うことです。
このことから、誰でも「今自分はお金がない」、もしくは「裕福ではない」と感じた時に、判断力や思考力が落ちるということがわかります。

家族のために稼がなければならない方に込められた意味は

この言葉には、思考を停止させるフレーズが含まれていたということに気がつきました。それがモヤモヤに繋がったのです。
自分が働く意味を持たずに、お金がないと言う認識でいると搾取されると言うことです。

稼がなければならない=すでにお金がない

という事実を、このコピーは誘導しているのと同じです。
そして、この事実を理解した上で、実際にどんな求人が掲載されているのかが気になり、広告をクリックしてみました。

求人は出てこない上に、個人情報を入力していくことに

ここからは非常に興味深い結果になりました。
結局求人情報は出てこなかったのです。
その代わり、希望年収や郵便番号、名前と連絡先を入力する流れで、最後に出てきたのは、「担当者からご希望に合った求人をご案内するので、お電話させていただきます」という画面で終了したのです。

求人情報をゲット!!って書いてあるのに・・・
実際は、個人情報を渡して、担当から連絡がくると言う流れに

なんと言うか、広告の誘導の仕方といい、この流れはすごいなと感心してしまいました。果たして、思考力を落とされてしまった人が、この広告の流れで、求人まで辿り着けず、挙句、個人情報まで入力した結果、得られるのは本当に500万円の求人情報なのでしょうか。
担当者すなわちエージェントがつくと言うことは、紹介者ということになるので、求人サイトのように自ら求人情報にアクセスできるわけではないのです。エージェントは紹介料を支払ってくれる企業(クライアント)に、我々求職者を案内し、営業することになります。
本当に家族のために仕事を選べるでしょうか。

求人広告の嘘

昨今、WEBサイトの求人広告にてトラブルが頻発していると言います。

広告の観点から考えると、母集団を増やし最終的に顧客となるまでを数値化していくことで、広告効果を計測していくことになります。非常にざっくりと表現しましたが、これは、採用でも同じことです。多くの求職者の目に触れるところに広告を出し、候補者を確保すると言う考え方です。
広告費を支払っている側の立場で考えると、多くの募集を獲得することは非常に重要になってきます。

では逆に求職者の立場になって考えた時に重要なことは何か。
それは、自分自身がなぜ働くのかを明確に持っている、と言うことではないでしょうか。
搾取されないためには、自分の言葉で「なぜ働くか」を説明できる必要があります。
「家族のために稼がなければならない方」と言うのは、誰にでも当てはまるし、そのことを働く意味にしてしまうのは、自分はお金がありません=思考力が停止していますと言う宣言でもあり、気が付いたら自分の大切な時間や能力、やりがいを搾取されてしまう危険性があるからです。

私は、個人事業主までしかなく経営者には辿り着いていませんが、雇用する側と効用される側との間には、目には見えない分厚い壁が存在することははっきり理解できました。

志望動機はなんですか?
なぜあなた働くのですか?
目的は何ですか?
生きる意味は何ですか?

自分の人生は自分にしか歩むことはできません。
自分に与えられた役も自分が演じるしかないのです。
それを選択するのも自分であり、選択を間違えるのも自分の知識のなさや思考力の低さなのです。
キャッチコピー一つにしても、鵜の意味にせず、きちんと考えて時には疑い選択してください。


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