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編集スパルタ塾、自分のOSをアップデートし続けた1年間。

2022/3/22の火曜日のこと。長いようで、短かった編集スパルタ塾での1年間(全22回)が幕を閉じました。

ゲストが最優秀企画を選ぶ”ゲスト賞”をいただいたのは14回中たったの1度。それでも、1年を通しての年間MVPをいただくことができました。

1年間お世話になった感謝を込めて、編集スパルタ塾についてや年間MVPが獲れた理由を自分なりに振り返ってみようと思います。

これから編集スパルタ塾で学ぶかどうか検討しているという方や、編集/クリエイティブ領域の学びを深めたい方の参考として役立てばと思います。

編集スパルタ塾の”スパルタ”たる所以

『菅付雅信の編集スパルタ塾』は編集者の菅付雅信さんがメイン講師を務める、編集やクリエイティブの学び場です。

菅付さんは『コンポジット』『インビテーション』などの編集長を歴任されており、最近は仲條正義さん自叙伝『僕とデザイン』の編集も務めました。

菅付さんに加え、業界の第一線で活躍するゲスト(BRUTUS元編集長の西田さんや文藝春秋の新谷さん、雑誌以外からも深澤直人さんなど)から、課題へのフィードバックという形で"編集"にまつわる学びを得られます。

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豪華講師陣のもと、インプットとアウトプットの両輪で"編集"や"クリエイティブ"について深めていく場所が編集スパルタ塾です。

そして『スパルタ塾』たる所以は、その形式に表れています。

1年間で14回、ゲストからの課題に対して企画を考える機会があります。課題に対して、企画を考え・資料をつくることだけでもヘビー。

でも、せっかく考えた課題は必ずしもゲストに発表できるとは限りません。考えて時間をかけて作成したにも関わらず、です。

菅付さんに選ばれなかった企画は、発表する機会が得られず、容赦無くお蔵入りとなるというスパルタぶりなのです。

クリエイティブディレクターへの憧れ

およそ1年前。新卒で入社した会社を退職した時期でした。

当時コーチングを受けていて、営業よりもクリエイティブディレクター(以下、CD)を志したいという気持ちが大きくなっていました。

でも、どうやったらなれるのかが分からない。CDなんて電通や博報堂のクリエイティブ職で何年も修行して、ようやくなれる職業です。

デザイナーでも、コピーライターでもない人間が名乗ることなんて憚られるものでした。

そんな時期に目にしたのがこの編集スパルタ塾。クリエイティブな業界で活躍する方からフィードバックを得られるなんて。少しでもCDに近づくためならと思い、参加を決めました。

ちなみに、ほぼ参加を決めていたのですが、GOさんが主催する『THE CREATIVE ACADEMY』とどちらに参加するか迷いました。

でも、編集スパルタ塾にした決定打は、ツイートした時に過去の受講生から「編集スパルタ塾さえ受ければ、アウトプットのために嫌でもインプットし続けることになる」という趣旨のリプをいただいたことでした。

頭も心もアップデートの繰り返し

この1年を振り返って、得られたことを書いていこうと思います。

①検索では辿り着けない知識量

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菅付さんの第1回の講義から、暴力的なまでの情報量が流れ込んできます。正直、菅付さんが行う全8回の講義を受けるだけでも元は取れるので、課題が出せるか不安な方も通ってみることをオススメします。

特に何が良いのかというと、未知を知れること。しかも、それらは自分ひとりで選別するにはなかなか難しい"上質"な未知。

編集の第一線で活躍してきた菅付さんが、これまでの実体験をもとに、編集に必要だと思うエッセンスを凝縮して伝えてくださいます。

抽象的な話だけなら本でも学べるのですが、具体名まで出しながら理解を深められるのはすごく良かったです。

僕はもともとマーケ畑で、写真家やアートディレクターなどカルチャー要素は弱い人間でしたが、この1年でインプットの対象や興味関心の幅が大きく変わりました。

海外ではエレン・フォン・アンワースやファビアンバロン、エクスペリメンタル・ジェットセット。国内も上田義彦さんや武田鉄平さん、groovisionsなど。

今までの人生で見たことも聞いたこともない名前がずらり。意識することもなければ、接点すらありませんでした。

しかし、クリエイティブの歴史を遡ってみたり、菅付さんの解説とともに彼ら彼女らの作品を見ることで、何が一流とされているのか、朧げながら感じる機会になりました。

自分の頭の中の検索ワードにすら引っかからないような知識が得られたことは、間違いなく大きな資産です。

②クリエイティブな業界で生きていくスタンス

菅付けさんの初回講義でグサリと一言。「クリエイティブの業界に生きる以上、普通はいらない。特別な人であれ」と言います。

ゲスト回でも「ただの情報の羅列であって、企画になってない」とか「全然工夫がない」など。実際にいただいたフィードバックです。

こうした厳しい側面もありながら、ゲスト回では業界の第一線で活躍するゲストの”生"を知ることができます。

例えば、週刊文春で編集長だった新谷さん。強い印象を持っていたけれど、「毒が吐けるのは、クライアントへの理解があるからこそなんですよね」と、紳士的な雰囲気を漂わせて仰っていました。

他にも、芥川賞を受賞した朝吹真理子さんが「〆切がないと、なかなか完成しない」と、諦めに似た言葉を放っていたり、博報堂の嶋浩一郎さんがポロッとこぼしたお金に関するエピソードも記憶に残っています。

輝かしい部分だけでなく、その人ならではの課題感はもちろんあるし、得意不得意だって抱えています。

ゲストが各界で稀有な存在であることには違いないですが、それでも同じ人なんだということを感じることができたのは、クリエイティブの業界にグッと親しみを覚えるキッカケとなりました。

③他者との比較で自分を知れる

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ゲスト回では、みんながゲストからの同じ課題に取り組みます。同じ課題に取り組むからこそ、自分の強みも分かってきます。

仕事の場面では、熱量の高いメンバーと同じ課題を取り組むことって、ほとんどないのでは?

とっかかりが分からないような課題(例:葛西薫の次の個展のテーマとプレゼンテーションを考える)も、たくさん出るのですが、どこから着想を得るかは人によって様々。

自分ではこれしかないでしょと思っていた課題に対しても、びっくりするほど、同じ答えが出てくることはありません。

他の方のアウトプットと比較することで、相対的に自分を見つめ直すことができますし、考え方のクセや強みが浮かび上がってきます。

それは企画の内容ももちろんですが、発表のスタイルや1年間を通したコンディションの上がり下がり、変化の仕方などもまた然り。

僕が年間MVPをいただくことができたのは、ずば抜けたホームランは出せずとも、ジャンル問わず、コンスタントにヒットを出し続けられるという強みがあったから。

これから様々な領域を横断して"間"(クリエイターとクライアントの間、東京と地域の間etc.)を繋いでいきたい自分にとっては自信になることでした。

後編に続きます

本当は1記事にまとめようと思ったものの、5,000文字を超える勢いだったので、まずは前編を公開しました。

後編では、企画をする上でコツだと感じたことや、編集スパルタ塾に対する感想などを書こうと思います。

年間MVPをいただくことができた理由も自分なりに考えてみたので、ぜひご覧いただければと思います!

(2022/4/6、後編を追記しました)


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