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アメリカ|ざっくり撮影許可申請とは?

ロサンゼルスを拠点に活動している映像制作会社
ハイボルのコーディネーターのSaiです。こんにちは♪

ハイボルのホームページはこちら!(www.highvoltageusa.com)

今回は、アメリカでの撮影に必須 “撮影許可’’に関してのお話。

まずはじめに、撮影するのに許可が必要なの?

YES!

アメリカ国内での撮影には、各地のローカルルールで定められた撮影許可が必要です。

”撮影許可証”を持っていないと、警察や警備員に撮影を中断させられてしまったり、周辺住民に苦情を入れられてしまうことも。

とーっても運良く中断されることがなかったとしても
公開された映像を見た土地の管理者にクレームを受け
莫大な映像使用料金を請求されたり…
ひいては、訴えられるなんて可能性も…

プライベートジェットの機体番号の映り込みでさえ
訴えられることもあったりするぐらい…“アメリカは訴訟大国”なのです。

撮影中も撮影後も、みんながハッピーな形で
映像制作を進める為
にも、撮影許可証が活躍します。

そこで今回は、アメリカの国立公園での撮影許可を例に
撮影許可申請のプロセスやポイントなどをご紹介したいと思います。

アメリカには62の国立公園が存在し、壮大な景観を持つロケーションがたくさんあります。ヨセミテ国立公園、グランドキャニオン、デスバレーなどが代表格ですが、セコイアキングスキャニオン・ナショナルパーク(以下、セコイア国立公園)ってご存知ですか?

アメリカで3番目に広大な国立公園で、地球上で最大の「巨木シャーマン将軍」と呼ばれる、とても大きな木があることでも有名な公園です。

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「この公園内で撮影をしたい!」
そんな時はどのようなプロセスになるのでしょうか?

まず許可申請を始める前に、注意すべきポイントがざっくり5つあります。

・ロケーションにより、場所を管轄し撮影許可を発行している組織が違う

・同じ場所でも、申請をするべき機関が、いくつも存在する場合がある

・撮影許可を得る為に、撮影保険証書(アメリカ国内保険会社発行)が必須

・撮影規模や内容によって、警察や消防によるチェックが求められ、許可費用が変わる

・申請をしてから、許可が降りるまでに通常2週間〜1ヶ月ほどの時間がかかる

この5つのポイントを考慮せずに進めてしまうと
せっかく計画してきた撮影がスムーズに進まない…
予定よりも大幅に時間がかかって撮影が始められない…
なんて事も起きるかもしれません。


①管轄情報のリサーチ 〜どこから許可をもらうのか?〜

公園内のロケ希望地は、どこの管轄でどこから許可を得る必要があるのかを調べます。

セコイア国立公園はカリフォルニア州にあります。
カリフォルニア州の撮影関連の情報を提供してくれる組織California Film Commission (カリフォルニアフィルムコミッション=以下、略してCFC)
問い合わせを入れます。

CFCに電話をすると、”セコイア・アンド・キングスキャニオン・ナショナル・パークス”という国立公園組織からの許可が必要であることを教えてくれますので、その連絡先を入手します。

ちなみに、各州や各都市には、フィルムコミッションフィルムオフィス
と呼ばれる部署があり、撮影に関連する情報を提供してくれます。
ロサンゼルス市内での撮影の場合には、Film LA 
ニューヨーク市内で撮影する場合には、NY film officeといった感じです。
小さな都市の場合は、市役所や町役場の”観光課”の中に
撮影許可担当が存在していることもあります。
まず、ここを探し当てるのも一苦労です。


②撮影許可手続きのリサーチ 〜どうやって許可をもらうのか?〜

基本的には、許可申請先の公式ウェブサイトに撮影許可の取得方法が掲載されているのですが、詳細情報を得るため、電話で直接連絡を入れます。
正式な申請方法がウェブではアップデートされないことも多いので、
私は必ず電話で確認するようにしています。

どのような申請書類の提出が必要なのか?
書類の提出から、許可取得までにかかる時間はどのくらいか?
撮影許可取得にかかる費用はどのくらいか? 
などなどのプロセスを確認します。

ちなみに、同じ撮影場所でも、数カ所からの許可が必要
と確認出来た場合は、申請必要団体各所に問い合わせを入れます。
例えば、州の許可、市の許可、敷地や建物を所有する団体の許可など
大抵の場合、それぞれから別々に申請&許可取得が必要になります。
1箇所でまとめて申請ができると楽ちんなのですが…
またドローンなどを使用する場合には追加申請になり、
オペレーターのドローン免許情報撮影飛行経路なども必要になります。
正式な許可を取らずにドローンを飛ばして警察に見つかると
すぐに警察がやってきて、処罰を受けますので
そういう場合には大人しく正直に…


③申請書&資料の作成 〜どんな書類が必要なの?〜

申請フォームに従って、連絡先、撮影場所、撮影日時、クルー人数(タレントを含む)、機材内容、撮影内容、劇用車両やパーキング有無、撮影クルーの基地とする拠点場所はどこにするのか、道路の封鎖が必要か、などなど必要事項を記入します。

セコイア国立公園の場合には、申請フォームとは別途資料で、
プロジェクト概要の説明・撮影場所のエリアマップ・各エリアの撮影内容説明・撮影スケジュールの提出があります。動植物の保護区域で撮影が禁止されている場所、季節によっては雪の影響でクローズされている場所などもあるので、土地の詳細情報をウェブサイトで調べ、担当者に連絡を取り、最新情報を集める事も大切になります。


④資料の提出&申請料金 〜申請の時に注意することは?〜

申請時にはの資料提出と同時に、撮影保険証書(アメリカベースの保険会社発行)申請料の支払いが必要になります。

申請料は撮影料金とは別で、申請をするための料金になるので
撮影許可が承認されなかったとしても返金されないことがほとんどです。

撮影料金は、撮影内容(写真か映像か、どの程度の規模かなど)によって値段が異なります。

資料提出後は、担当者へ申請が届いているか、申請の進行状況の確認なども重要!

担当者が忙しくて手が回っていなかったり…メールを見落としていたり…
バケーションの最中で留守だったり…どんなハプニングが起きるかわかりません!なので、1つ1つ確認して進めていく必要があります。

消防や警察によるチェックが必要な場合には指示に従い手続きを行います。
消防や警察の出動になった場合は、追加料金が発生します。
今回は公園のパークレンジャーの稼働が必要となりました。(後述)

ちなみに、教育機関などいろいろな施設が敷地内にある場合には
様々な部署の人たちからの承諾が必要になり、時間が長くかかることも。


⑤承諾されたら撮影料を支払う 〜“承認メール”でまだ気を抜けないワケ〜

”承認されました”というお知らせが来たら、撮影料を支払います。

が!!
”承認された”ところで、気を抜いてはいけません。
支払い完了後、はじめて許可証の発行が行われます。
支払いが終わっていたとしても、時々、撮影料の支払いと
私達の申請が連動してなかったりすることもあるので
撮影許可書が届かない場合もあります。
しっかりと毎プロセスごとに確認することが大事なポイントです。

また、承認されなかった場合の返金の有無などもに注意しておきます。


⑥許可証の受け取り 〜スムーズな撮影の為のポイント〜

近年はメールで撮影許可証明書が送られてくることがほとんどです。
受け取ったら、必ず印刷しておきましょう!

撮影中は、現場を通りかかる様々な人に止められる可能性がありますので
誰に聞かれても、許可証をいつでも提示できるよう携帯しておきます。
撮影許可証の携帯は、国立公園の場合は「義務」となってます。
撮影を中断されず、スムーズに進行する為にもとても大切なことです。

国立公園の場合は、パーク・レンジャーが撮影現場の様子を確認することが、ルールとして規定されています。

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パーク・レンジャーとは、いわゆる国立自然公園のガードマンともいえる存在。自然に恵まれた地域の環境保護・保全、動植物の研究、
公園の利用者の指導などを行っています。
そんな彼らの帽子とユニフォーム姿を見るとなぜか
♪ターンタ ターン ターンタ タンタンタン♫ が脳内再生され
冒険野郎になりたい心がうずきます。(私もあの帽子が欲しい…♡)

広大な自然公園では、野生の動物がいたり、道に迷ってしまったり
撮影クルーにも様々なハプニングが予想されます。
そのような場面でも、撮影が行われていることをパーク・レンジャーが認知してくれているので、安心して撮影を進められる、という利点もあります。

前回のわたしたちのセコイア国立公園での撮影では
美しい景色を求めて散策中に..

「ガサガサッ!」

え?いやいや…

うわぁ?もしやアレは ...

ちがいますよね?...

わあ やっぱり... やばくないっすか?

冬眠から覚めたクマの親子に遭遇!

その時、私のリュックには...バナナが…。

こんなときに持ってこなきゃよかった...

お腹すいた時に食べようと思ってたのに...

お腹を空かせたクマを刺激するのでは…

こっちへ来ないでおくれ…

じっと動きを止めハラハラドキドキ…

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めちゃくちゃ余談ですが、
カリフォルニア州の旗にはクマさんがいます
撮影で出会ったクマはあのクマさんだろうか?
サクッと調べてみたら…
勇敢さと強さの象徴として採用されたクマさんで
カリフォルニアハイイログマというヒグマの一種だそう(肉食…怖)
ですが、なんと家畜を捕食するという理由で駆除され、さらには闘牛と戦わされ、1924年にセコイア公園で確認された1匹を最後に
「現在は”絶滅”」っていうことになっていると...。
…なんていう歴史でしょうか…悲しいw
というワケで、私たちが遭遇したのは
州旗のクマとは別種の生息がたくさん確認されているアメリカグマさん。

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ちなみに撮影した映像には、初夏のセコイア国立公園で駆け回る親子のクマさんが見事に納まり、あのドキドキも今では良い思い出。

アメリカの壮大な自然の公園では、そんな動物たちとの遭遇も楽しみの一つです。もちろん、安全第一ですけどね :))

で、 話を戻すと、頼れるパークレンジャーさんが近くにいるので
なにかあっても安心・・・と。

今回はざっくりと撮影許可証に関してのお話でした。
少しでも何か参考になれば幸いです!
もっとここが知りたい!とかこのロケーションの撮影は?
など気になることがありましたらお気軽にご連絡ください♪

アメリカの国立公園に関しての記事を絶景ロケタビ!というカテゴリーに載せていますので、そちらもどうぞ読んでください♪

楽しい撮影をもっともっと自由にしたいですね〜
コロナさん、どうか早く終息しておくれ〜
その日を心から楽しみにしつつ

皆さま、どうぞ素敵な1日をお過ごしくださいませ♪

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