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製造業は下請けから脱脚しなくていい。自社商品を活用する「BtoCtoX」3つの型

よくメディアで取り上げられる「下請けからの脱却」。バーミキュラを手がける愛知ドビーさんが有名で、一度は夢見た製造業の方もいらっしゃるのではないでしょうか?実際インターネットで「下請け 脱却」と調べると多くのビジネス記事やニュースがヒットします。
「下請けからの脱却」。たしかに夢のあるストーリーですが、僕は必ずしも下請けから脱却しなくてもいいのではないか、と思っています。
(ちなみにバーミキュラのフライパンで肉を焼くと相当美味いので皆さん買ってみて下さい。)

今回は、既存事業とバランスをとりながら、上手く自社商品開発(BtoC)に取り組まれている企業を事例に、製造業の自社商品との向き合い方についてお話しできればと思います。

コロナ禍で増えた、製造業の自社商品チャレンジ

私は株式会社マクアケで、名古屋の責任者をしている武田と申します。
2020年8月に名古屋拠点を立ち上げ、おかげさまで現在は4名で頑張っています。
主に東海4県を中心にプロジェクトを担当しているため、他の拠点と比べて製造業のお客様(マクアケでは実行者と呼びます。)とお話しする機会が多いです。

当初から製造業の実行者さまは多かったものの、新型コロナウィルスをきっかけに、自動車部品や航空機部品関連のBtoBを中心とした製造業の方からのご相談が増えました
中部地域の製造業はとても盛んで、特に愛知県は製造品出荷額で毎年ぶっちぎりの1位です。

愛知県のホームページより引用。あまりにダントツ。

MakuakeはBtoC商品のプラットフォーム、皆さん自社商品での出品です。もちろん、初めて自社商品に取り組まれる方も珍しくありませんので、途中で頓挫するケースも少なくありません。

しかし、明らかにチャレンジャーが増えている。
そこで今回は、なぜBtoCの自社商品開発を進める企業が増えているのか。なぜ難易度の高い自社商品にあえてチャレンジするのか。
これらを製造業の中心・愛知から、現時点での経験をもとに書いていきます。

この時のキーワードが、今回のタイトルにも入っているBtoCtoXです。(Xには色々な英字が入ります)
全てをご紹介していると大変でして、本日は中でも代表的な3つご紹介できればと思います。

既存事業につながるBtoCtoB

これはBtoCの自社商品に取り組む中で、本業であるBtoBの仕事につながる、の意味です。
実はこれ、三重県は四日市の中村製作所の山添社長の言葉を拝借しております。
こちらは元々、自動車やロケットの精密加工部品を製造されていましたが、SAMURA-INというプレミアムな印鑑や、best pot(ベストポット )というお米を世界一美味しく炊ける土鍋、RANGESTAR(レンジスター )という電子レンジで簡単調理できる商品など、次々と手掛けられています。
(中でもbest potで炊いた米は最強です。料理素人の私でも美味しく炊ける魔法の鍋です)

もちろん、これらの商品が売れることは目的の1つですが、面白いのは自
社商品を作ることで、別の仕事(潜水艦の部品を作ってくれ!)が舞い込んだ
ことです。展示会で非売品の自社商品を置いてある企業が多いのは、これが目的だと思われます。
(山添さんのお話については、こちらのYouTubeで詳しくご紹介しているので、是非観てみて下さい。)

本業のBtoB以外にも「うちのブランドの製造委託をさせてくれ!」とOEM受注に繋がる事例も出ています。BtoBは大口の取り引きとなるため、当初のBtoCよりインパクトが大きくなることもあります。

このように、自社商品を持つことで本業にも繋がることをここでは「BtoCtoB」と呼びます。

よく「BtoCは需要が読みづらい」「事業計画が立てづらい」「融資を受けにくい」などと言われがちですが、BtoBに良い影響があるのなら、少し検討の余地があるかもしれません。
また、コロナで自動車業界や航空機業界があおりを受けたように、BtoB事業だけなのは、何があるかわからない世の中を考えると、今後はリスクの高いことかもしれません。

 大事なことは、従来分けて考えられがちだったBtoCとBtoBの相乗効果を理解し、両輪で考えることだと思います。
BtoB技術が自社商品に活かされて品質の高い商品が作れる→その商品を見た誰かから仕事が増える→新しい分野に挑戦できる→新しい技術を活かして商品開発できる。こんな好循環は、私が夢を見過ぎでしょうか。

社内教育や育成になるBtoCtoE

続いてBtoCtoEです。これはEducationのEで、BtoCの自社商品をつくることで社内教育になる、との意味です。
これは、NCネットワーク名古屋 代表の大谷さんから教えて頂いた考え方です。

例えばこちらのプロジェクトは、人事総務課の方からお問い合わせを頂き始まったプロジェクトでした。

「若手2人に経験を積ませたい。当社としては初めてのBtoC商品だが、なんとか挑戦させたい」が実行者さんからのオリエンテーションでした。

BtoC商品の販売に限りませんが、自社商品プロジェクト実施には社内ほとんどの部署を巻き込む必要があります。
かつ、初めての取り組みであれば、既定路線上にない依頼が多数発生するので、「自ら考えて行動」する必要があります。

上記の実行者さまは見事プロジェクトで成功され、2回目プロジェクトでは私をリード頂き、上から目線で恐縮ですが明らかに「成長」されているを実感しました。

また、これはEducationではありませんが似た現象として「現場のモチベーションアップ」があります。
BtoBは構造上、エンドユーザーまでの距離が遠いです。もちろんジャパンクオリティの高品質を求められますが、以前「エンドユーザーから遠い分ものづくりへのプライドを感じられにくい」といったお話をお聞きしたことがあります。

そこでMakuakeを通じてBtoCを製造頂くことで
・「この最後の削り出しの部分が、そのまま消費者に届く」
・「自分がつくった商品が店頭に並ぶ」
・「息子につくった商品を自慢できる」
など、ものづくりへのプライド、モチベーションを高める効果があると聞きました。

BtoCには、こんな側面もあります。

企業ブランディングや採用につながるBtoCtoR

Rは、RecruitのRです。BtoC商品を販売して世の中への露出度を上げることで、採用につながります。
例えば富山県にある能作では、自社商品開発をすることで工場への来訪者や採用人数が爆増した事例があります。

BtoC商品は拡散性や露出度が高いので、世の中に会社のことを知ってもらう点で非常に効果が高いです。
Makuakeの実行者様でも、BtoC商品を作ることで地元で有名になり、新聞やテレビなどにも取り上げられ、採用につながった方もいらっしゃいます。

まとめ

このように、自社商品はそれ単体だけでなく、様々な領域に影響を与えます。自社商品だけのユニットエコノミクスで見ると、もしかしたら費用対効果悪いかもしれません。(むしろ効果が悪いことがほとんどです)
しかし、従来の事業や採用、社内人事にも良い影響与えることがあるので、それも含めた費用対効果を考えると、もしかしたら違う意思決定になるかもしれません。

マクアケでは、企業の自社商品開発や販売プロモーションをサポートしています。
最近ですと、東海プロダクトデザインアワード(こちらのnote参照)や愛知デザインビジョン(デザイナーさんと製造業をマッチングする商品開発プログラム)などを通して自社商品の新商品デビューをお手伝いさせて頂いています。

自社商品興味あるけど何をしたらいいか分からない、何を作ったらいいか分からない、といったご相談でも結構ですので、ご興味ある方はご連絡お待ちしております。

また、今日のテーマお話を東海製造業の中心人物と語りあったり、実際の自社商品開発プログラムを体験できるイベントを3/11@名古屋で開催予定です!
皆様、是非ご参加お待ちしております。

Twitterも頑張っておりますので、よろしければフォローお願い致します。


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