遠くにエベレストが潤んで見えた
<世界一周6ヶ月目あたり・ネパール・カトマンズ>
長い夢を見ていた。
それはそれは鮮やかな夢だった。
小奇麗なお寿司屋さんのカウンター。
私の隣にはロマンスグレーの紳士、
前には熟練という感じの初老の板さん。
他に客はおらず、2人が穏やかな笑顔で私を見ている。
「なんでも、好きなものを食べていいんだよ」
「活きのいいの入ってますよ」
私は目を輝かせ、幸せに包まれた心地になる。
頬を紅潮させながら口を開く。
「サーモンと蒸しエビください」
私の声が店内にゆっくりとこだました