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元作詞家の恩師たち「Being/学校 ⑤」

毎回約二時間の集中授業

使い込んだテキスト本~松本隆氏との再会

 Beingでの授業、今思えば私ごときによくも都度長い時間を割いて頂いたものかと感謝しかありません。当時の小松氏はかなり御多忙であったはずですが、予定を調整しつつとは言え週二~三回は伺っておりました。
 氏は常にギターを携え私には幾つかのテキストがありました。その中で一番使い込んだものが作詞家・松本隆氏の過去作品集でした。検索すると今でも見られました。

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左の二冊、自身でも購入し使い込んだ証が今でも書棚にあります。最近やっと勇気も湧き時折開いて見ますが、赤ペンだらけでクタクタ、学生時代にこれ程のやる気があったらもう少し人生も違っていた?…かもしれません。

熱血家庭教師とボンクラ生徒

 まさに上記タイトルの如し、そんなスタンスから授業は始まりました。一回に詞を大凡三曲分、一行ずつ辿りながら
「一番重要なフレーズは?」
「このフレーズを言い換えるなら?」
「もう一つ verse/chorus を足すならどう書く?」
のような質問が次々に飛んで来ます。勿論最初は一つの回答に五~十分かかることもザラでした。しかし訓練とは恐ろしいもので、曲テーマの根幹を掴むコツを得てしまうと、これが次第に即座に浮かぶようになるのです。するといざ自分が書く際の構成作りがとても楽になり、あとは個々表現の工夫であるとか独自のカラーで言葉を埋めてゆきます。毎度の作詞で必ずこれに則る訳ではありませんが、私にとってはこの反復が大きな基礎作りになりました。延々とこの作業が続く途中途中、小松氏のギターで言葉とメロディーの相性を確認したり、制作に於ける氏の経験談の数々を聞かせて頂いたりもしていました。少なくとも天才とは呼べない私のようなタイプにとって、いかにそれまでがスカスカな技量に頼るものだったか、この経験が無ければもっと早くに資源の枯渇を起こしていたと実感したのです。そこに立って初めて
独自のセンスを問われる域に達したのだと思います。

繰り返すことの強み

 その昔に計算問題を繰り返したようにこういった日々が長く続きました。小松氏の貴重な時間を頂くことに気が咎めることもしばしばでしたが、どこか氏ご自身もその時間を楽しんでおられるように感じるところもありました。真の熱血音楽家と過ごす時間はとても刺激的で、併せて仕事に取り組む姿勢についても多くを学ばせて頂きました。引き続いての営業活動と同時に、授業の復習にも真剣になれた駆け出し時期の良い思い出です。お若い方たちに一つ生意気なことを申せば、若い内に走り込んで鍛え得たものは必ずや己の財、武器として未来役に立ってくれます。どんな分野に於いても繰り返し繰り返し日々の反復訓練?練習?を是非お勧めします。ご縁があれば素晴らしいメンターと共に…。

また続きを書きます。



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