頑張り屋の君へ。

頑張り屋の君へ。頑張ることはないよ。

既に、自分自身を削り取り、これ以上削る箇所さえ残さず、頑張ってきた君へ。
もう、頑張ることはない。

私が今、どのような思いで生きているかを知っているかい？
20代で三度、同じ精神病を発症させ、社会に立てず、半分以上を自宅療養をして過ごすしかなかった私が。
今、再発させずに社会と繋がっているのは何故か。

社会人成り立ての20代はじめ、自覚するほどに【不器用】な自分が、【人並み】に頑張るために、【人一倍努力して一人前以下】と、自分を追い立て、立ち向かった社会生活。
何度も挫折した。

30代手前でセカンド・オピニオンにより、【再発するタイプ】と診断され、【一生涯の通院服薬】を言い渡された私が。
以前のように、【人並み】を求めたと思うかい？

私は、【私なりに頑張ればいい】、【私なりの努力の形、程度、限度で半人分】とした。

勤め先では一貫して【パート】を希望し、それ以上に勤めることはしなかった。
私なりの真面目さで、努力も加減し、抜ける力は逐一抜いた。
いつまでもうだつの上がらない社員のままでいることが、
私の、一番の希望、【健常者であること】を叶えたから。

君の、一番の望みは何だい？

精神病を患った君、患った過去がある君へ。
私から言えることは、
【頑張れ】じゃない。
【少し、考え方を変えて、頑張らないように努めること】、それが出来たら、
君はまた、社会へ、社会人として立てるかもしれない。
君が、当初、望んだ形ではないとしても。

もう一度問う。
君の、一番の望みは何だい？

当初のように、以前のように、意気盛んに張り切って、走り回って、周りと全く同じように頑張ることかい？

目測を改めて、君の物差しを改めて、君なりの尺度で、今の君の心のままに求めたら。

君は、【当たり前に生きること】を望むんじゃなかろうか？
それは、周囲と同じようにあることかい？
特別、繊細で傷付きやすく、頑張り屋の君へ。
もう、君は、他人と同じようにある必要など、どこにもない。

君の頑張りは、誰にも真似の出来ない頑張りだから。
どの、程度であってもいい。どのくらい、加減をしてもいい。君は頑張っている。
それは世界にただ一つ、君にしか出来ない頑張りだから。
他人と同じようである必要は、どこにもない。

真面目な君は、世界と自分が、並べるようでありたかったようだけど。

君は、君だけの世界を。誰も、真似のしようがない君だけの世界を生きるのだから。
他人の尺度で、君の世界は、量れない。
みんな、そうなのだから。
みんな、一つの世界の所有者で、
君も、君の世界の主なのだから。

誰も、君の世界に、君のステージに、主人公として降り立てない。君のステージは、君だけのステージだ。

だから君は、君なりの、頑張り方でいい。
もう、頑張ることはないよ。
生まれもって、頑張り屋の君が、誰よりも、君らしく、頑張っている人だから。