地域とのつながりは、むしろ日常的だった
ー今回取材させていただくのは、石田卓也さんにご紹介いただいた鳥居 久美(とりい くみ)さん。「悪縁を切り良縁を結ぶ」神社として名高い『安井金比羅宮』に嫁いでお仕事をされながら、石田さんが副代表を務める「パトラン」にもボランティアとして参加しています。今回は、ボランティア活動を通じての考え方の変化や、小さい頃から続いている地域との繋がりについてお話しを伺いました。
団体での活動が、一人で行動するときの勇気をくれた
ー活動されているボランティアについてお聞かせください。
ランニングしながら地域をパトロールする、パトラン活動に参加しています。テレビでスロージョギングが健康にいいと聞いて、最初は一人でランニングをはじめました。ストレス解消にもなるので趣味として走っていたのですが、「ランニングが社会貢献になる活動がある」という情報を知り、普段してることが誰かの役に立つならやりたいと思い、パトランに参加しました。
ー活動をはじめて、変化はありましたか?
最初は走って活動するものだと思ってましたが、ウォーキングなどもあり、まちの色々なところが目に付くようになりました。歩道で段差や穴ぼこを見つけたら『京都みっけ隊』というアプリで報告すると修繕対応してくれるのですが、自分の住んでる場所が綺麗になっていくのをゲーム感覚で楽しんでいます。
活動する前はゴミ拾いをされている方を見ても、「えらいな〜」とは思っても、自分には出来ませんでした。良いことだと思っていても、人目が気になってしまって。でも、団体として活動するようになってからは、「パトランの一員だし、だからこういう活動してる」と思えるようになり、一人でも抵抗なく出来るようになってきました。
ー団体での活動が、一人で行動するきっかけにもなったんですね。
そうですね。「ありがとう、ご苦労様」と声をかけてもらえる機会も増えて、嬉しくてやりがいになっています。逆に、学生の方が同じように袋を持ってゴミ拾いをしているのを見ると、積極的に感謝を伝えるようにもなりました。
地域との繋がりは、自分にとって特別なものではなかった
ーそれでは、神社のことをお聞かせください。
20年ほど前に神社に嫁いでから、神社の仕事をしています。形代に貼るお札のハンコを押したり、お祭りの時の御供物を作ったり。仕事と言っても、家で作業していることが多いので、家庭との境目はないですね。
ー神社での仕事は特殊だと感じますが、難しさはありませんでしたか?
神社だから特別困るということはなかったですね。企業にしても知らない環境に入っていくという意味では同じかなと思います。八坂神社で巫さんをしていたので、多少入りやすかったかもしれませんが。ちなみに巫さんになる時は、家の氏神さん*が八坂さんだったので、口を聞いてもらいました(笑)
ーそんな繋がりがあるんですね。京都で育ってないからか、初めて聞きました。
どこでもあるものだと思ってましたが、京都独特なんですかね。子どもが産まれたらお宮参りに行って、小学校に入学したら入学祭のような催しがあり、「元気に小学生なりました」と挨拶に行ってました。夏は地蔵盆が2日間あって、地蔵さんのある路地に集まって、カラオケ大会やボーリングをしていました。みんなで提灯に絵を書いて、その夜には火を灯すという感じで、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで町内の人で集まって、地域みんなでする行事って感じでしたね。
だから、小さい頃から神社や地域の人と接するのは生活の一部という感じだったので、特別に感じたことはなかったですね。ただ最近になって、地蔵盆でもお寺さんにお参りに来てもらうだけになっていて、それはちょっと残念だなと思ってます。地域の関係が希薄になっていくような気がしてしまって。
ー地域独自の難しさな感じがしますね。
そうですね。近いものだと、コロナでお祭りがなくなっているのも難しい問題だと思います。もう2年もやってないので、準備とか思い出せるかなって(笑)
紙に残して引き継げるようなものでもないので、期間が空いてしまうとどんどん忘れていってしまうから、一度途切れてしまったら復活させるのは大変だと思います。
ー最後に、何かやりたい人に向けてメッセージをお願いします。
楽しそうと思うことは、自分で動いてみるべきだと思います。そしたらきっとその道が開けていくと思うんですよ。やらずに後悔するよりも、やって後悔する方がいいかなと。「義務じゃないので、合わないと思ったときに止めても良い」と気楽に考えるのが大切かなと思います。
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