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まちとつながる、うつわは大きく

地域で活動されている方のご紹介を通じて、京都市東山区エリアで活動をされている方にお話を伺う企画「iINA」。活動に至ったきっかけや地域活動を通じての変化感など「いいな」と思えるストーリーをお聞きし、新しいことに踏み出したい人が、まちの「いいな」につながるアクションに踏み出すきっかけとなるような発信をしていきます。

ー今回取材させていただくのは、小原亜紗子さんにご紹介いただいた山内駿(やまうちしゅん)さん。陶芸家として活躍される山内さんは、『うつわ男子』というグループで、普段陶器に興味がない人が、陶器に関心を持てるような活動をされています。団体での活動や、地域との接点が生まれたきっかけについてお話を伺いました。

心を打たれた陶器との出会い

ー陶芸家になったきっかけを教えてください
高校卒業後、陶芸を学びに京都へ来ました。当時宮城県の高校に通っており、進路指導室にあったパンフレットを見て、陶芸の専門学校が京都にあることを知りました。「京都で陶芸を学べるってめちゃくちゃかっこいいな」と思い、ノリですぐに面接を受け、学ぶことになりました。

ー思い切った決断ですね!
父親も母親も陶器関係の仕事ではなかったので、逆に気軽だったのかも。入学当初は本気でその道に進むとは思ってなかったんですが、授業で紹介された天目茶碗に出会って考えが変わりました。陶器って古臭いイメージがあったんですが、その茶碗はメタリックで、当時の自分の好みにすごくハマっていました。自分みたいな18歳の心に響くってすごいなと感動したんです。

その後「こんな風に感動を与えられるものを作りたい」という気持ちが湧いてきて、周りが驚くくらい真面目に勉強しはじめました。卒業後は、東山区で活動されていた作家さんに3年間弟子入りすることになりました。

作家にスポットを当てた活動

ーうつわ男子を始めたきっかけを教えてください
リーマンショック後、京都の陶芸業界が沈んでいる時期があって、同年代の作家3人でよく集まっていました。「陶器に興味がない人にも、陶器を届けられないか」という話をしていたときに、地域の先生から展覧会のチャンスをいただいたので、それを機にうつわ男子の活動をスタートしました。2014年に発足して、メンバーは増えたり減ったりして、いまは10人くらいです。

ーどのような活動をされているんですか?
作家に焦点を当てた写真集を販売したり、バーをやったり、陶器を巡るオンラインツアーをしたり...ちょっと変わったことをやっています。展覧会では、作品を展示するだけでなく、作家の夢や野望などに関するQ&Aや集合写真パネルを壁に貼って、作家にスポットを当てる工夫をしています。

ー印象的だった展示はありますか?
昨年11月、京都女子大学華道部の学生さんたちとコラボした展覧会は特に濃かったですね。5年ほど前から清水寺さんと一緒に展示する機会をいただき毎年展示をさせていただいているのですが、「地域の方たちに貢献できること、一緒にできることはないかな?」という気持ちがあって。華道部の学生さんたちが、コロナで全然活動できない状況だったと聞いて、「清水寺で一緒にやりませんか?」とお声がけさせていただきました。

学生さんと交わる機会があまりないので、とても刺激的でした。展示が終わったあとに華道部の方から「企画した展覧会が、私たち華道部にとって希望でした」とお手紙をいただいて。その一言が物凄く嬉しかったですね。学生さんや地域の方々と、きちんと交われているんだなと実感が湧きました。

地域の人になる感覚

ー子ども向けにも制作されているとお聞きしました。
子どもが産まれたことがきっかけで、"子どもにかわいいと言われる作品"という新しいジャンルができました。ポップなデザインで作り、目に触れるところに置いて、興味をもたれるように試行錯誤しています。子どもって、気になるものは触りにくるけど、気にならないものは目線すら向けないので露骨に分かるんですよね。なので、触りに来てくれたら「よしっ」てなります。

その一貫で、近くに住んでいる子どもたちにも陶器に興味を持ってもらえたらなと思っています。それこそ、東山区まちじゅう図書館の図書箱をうちにも置かせてもらって、陶芸に関する本を置いたり、図書箱の上にかわいい陶器を並べたりしています。それだけでは興味を持ってもらえないと思いますが、絵本の隣に置いてあるのでスッと入ってきてくれる感じがしてます。

ちょうどいま「子どもたちに見せてあげたい」と思って、買ってすぐに図書箱に入れたアートブックがあって、「誰が借りるんだろう、何を感じるんだろう」とワクワクしています。

ー子どもの頃から陶芸に触れられるのは、とても素敵ですね!地域の子どもたちに意識を向けているのは、何か想いがあるのでしょうか。

過去に、家族ぐるみの付き合いがあった小学生の子が「元気してる?ちょっとつぼを作りたいんだけど」と、突然訪ねてきたことがありました。ちょうど仕事が空いていたので、「今から作ろうよ」と一緒に作ったんですが、その自然な感じがすごく良くて。地域の人っぽいなって感じたんですよね。

宮城から出てきたこともあって、地元の方と比べて住んでいる時間が少なく、ソワソワしていたのかもしれません。その体験があって、自分一人じゃないというか、地域にちょっとずつ根付いていってる感覚が持てて。

今後このまちで暮らしていくつもりなので、そういう緩やかなつながりを増やしていけたらと思っています。

ー最後に、地域とつながりたい方に向けてメッセージをお願いします。
色んな方とお話しするのがとても大事だと思います。業界のことは同業者と話すのが一番ですが、他ジャンルの方とは、自分だけではできないことが掛け算でできる良さがあると感じています。

なので、開いて待つのが良いと思います。声をかけてもらったらとりあえずやってみたり、興味がある人には自分から声をかけてみると良いと思います。失敗したら大人しくしておけば大丈夫なので。

Webサイト: https://utsuwadanshi.wordpress.com/
Facebook:https://www.facebook.com/utuwadansi/

インタビュー動画

インタビューの様子を撮影したので、ぜひご覧ください!

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