【小説】 あちらのお客様からです
「あー、飲まないとやってられない」
私は人気のなくなったオフィスで独り言ちた。
とっくの昔に日は沈み、同僚達は一人また一人と夜の闇に溶けていった。
終わりの見えないタスクを前にした私はどこまで進めるべきかと頭を悩ませる。
少しでも進めておくべきなのかもしれないが、既にモチベーションは消え失せてしまっていた。
明日の自分に引き継ごう。明日の自分からは怒られるに違いないけど。
切り上げると決めてからは早かった。これまでの鈍重な私は何処へ消えてしまったのかという軽やかな動