【小説】 ゴート×ゴースト 第一話
私には夢があった。
それは役者として食べていくことで、自分にはそうなれるだけの才能があると思い込んでいた。
よくよく考えてみれば思い込みも甚だしく、何者にもなれていない現状こそが私の限界を物語っている。
才能または運、はたまたその両者を持ち合わせた仲間達は眩しく輝いている。
高校時代に演劇部で共に切磋琢磨した仲間も、大学の演劇サークルで私を慕ってくれていた後輩も、卒業後に所属していた劇団の先輩も、みんな遠くへ行ってしまった。
スマートフォンやテレビや街頭のディスプレ