【小説】 回る世界と舞台装置としての私
私はモブだ。この世界において、特筆すべき点のない有象無象の人間の一人でしかない。
人生という物語においては誰しもが主人公であるという論調を見かけることがあるが、私はそうは思わない。
この世界は壮大な群像劇であり、一部の名前を持ったキャラクターと大多数のモブで構成されていると考えているからだ。
人気があるキャラクターならば各個人にフォーカスしたスピンオフが制作されるかもしれない。しかし、極々平凡なモブに過ぎない私には縁のない話だ。
私は悲しくなるほど凡庸だ。運動や勉強や