見出し画像

あなたの「強み」と「弱み」、それぞれ別に考えていませんか?

「自分の強みと弱みを分析し、理解する」
「強みを活かした経営」
「短所を長所に変える」
「長所を見つけ、更に伸ばしていく」

こんな言葉を、一度は耳にしたことがありませんか?
私は最近、こういった言葉にちょっとした引っかかりを感じることが増えてきました。
市場が成熟してサービスや人材が多様化してくると、自己分析・自己認識がはっきりしていて、強みをしっかりとアピールできる存在が価値を感じられやすい存在となります。
21世紀も20年を過ぎましたから、人も市場も成熟したなりの悩みが多く出てきます。そういった背景もあるのか、自己分析や診断ツールのようなサービスも増えてきたように感じます。

私もそういう分析・診断や占いの類が好きなタイプなので、自分の強みを活かし、弱みを克服するように行動してきたのですが、最近、どうもそういった行動に自分の中で限界を感じるようになってきたのです。

強みと弱みを分析するとはどういうことか?

そもそも、強みと弱みを分析するとはどういうことでしょうか?
色々な考え方があると思いますが、私は「自分(自社)の行動や特性を、ある一定の基準とロジックに沿って数値化し、比較すること」と定義しています。

分析力   :★★★★★(5)
ひらめき力 :★★★★☆(4)
体力    :★★☆☆☆(2)
ストレス耐性:★☆☆☆☆(1)

例えば、こんな感じです。
ゲームの能力値のように強みと弱みがはっきりし、わかりやすくて楽しいです。また、これをチームで共有すれば、成果にも繋がりやすいと思います。

この数字を仮に私とすると、私は分析力とひらめき力が高いが体力とストレス耐性が低いので、その強みを活かして、疲れたり精神的に参ったりしないようなアイデアを、しっかり分析をして考えれば、短所も補えるし長所も更に伸ばしていくことができる という考え方になります。

大前提として、ある一定の段階までは、こういった分析は自分にとってもチームにとっても成果を上げるために必要なことだと考えています。

強みと弱みの「ギャップ」は自然と大きくなっていく

「短所も補えるし長所も更に伸ばしていくことができる」というキーワードが出ました。これを続けていくとどうなるのでしょうか?
あくまで話を進めるためのイメージですが、こんな感じになっていくかと思います。

分析力   :★★★★★★★★(8)
ひらめき力 :★★★★★☆☆☆(5)
体力    :★★★☆☆☆☆☆(3)
ストレス耐性:★★☆☆☆☆☆☆(2)

長所は伸ばしやすいので、使えば使うほど伸びていきますし、短所は伸ばしにくいから短所なのですが、性格や思考特性に起因するものの場合、多少は伸びるかと思います。

この差が広がっていくと、長所と短所の間のギャップはどんどん大きくなっていきます。
例えば、果樹に良い肥料を与えたとき、元気な枝はどんどん好きに伸びていきますが、元気のない枝は成長のスピードが緩やかです。その樹木をそのまま育てていくと、どうなるでしょうか?

答えは、「歪な形の樹に育つ」のです。

最近は「長所を伸ばす」教育や指導が大事だとよく言われますが、強みだけが大きくなりすぎた歪な形の樹を見た人は、大きく育った場所よりもあまり育っていない場所に着目して、「あの部分は大きいけど、あの部分がねぇ…」と言いながら樹の大きさを短所に合わせて測るのではないでしょうか。

なので、人から評価される立ち位置にいる方は、ボトルネック(全体の生産量を決める点)である短所が評価を決めるポイントになるという考え方が大事になってきます。

既に長所を活かして活躍できている人や、あまり他人の目を気にしなくても大丈夫な場で活躍されている方は、あまりこの話は気にしなくてもいいと思います。

ただ、今の世の中で市場に身を晒すということは、常に何かと比較される社会の中で生きていくということでもありますので、そういった悩みを抱える方は少しだけこの話を気にしてみてください。

自然と大きくなった「ギャップ」はどうすればいいのか?

今回は性格や思考の部分で例えてみましたが、チームや会社であれば、短所が伸びるまでに長い時間がかかるという場合も多いかと思います。

そうすると、長所の部分を全力で活かしにくい状況で長い時間を過ごすことになりますので、精神的なストレスに繋がったり、場が荒れたりというようなことも考えられます。そんなとき、どうすれば良いのでしょうか?

そう考えたときに、答えのひとつになりそうな考え方があります。
「長所」と「短所」をそれぞれ別に考えることをやめれば良いのです。

例えば果樹の場合だと、「剪定」という作業があります。
これは、伸ばしたい枝を更に伸ばすために余計な部分をカットしたり、伸びすぎた枝をカットしたりする作業です。

ここまでの話では、自分の"あり方"や自分がイメージするゴール地点に対して「能力値をどう伸ばすか?」という内容ばかりに囚われていて、「伸びすぎた能力値をどう抑えるか?」という考え方が足りていなかったんですね。

私が学んでいるTOCと同じ考え方で、短所を無理に伸ばそうとするのではなく、短所のペースに合わせて長所を伸ばす・長所を使うペースをコントロールしてあげれば良いのです。

長所と短所を別に考えてそれぞれを解決しようとすることは、この場所・この部門だけを考える個別最適と同じ考え方です。

人間は、長所も短所も含めてひとりの人なので、自分の強みと弱みを切り分けて考えるのではなく、なりたい自分やありたい自分から逆算して、トータルに自分の強みと弱みを設計していけば良いのです。

もうひとつ私が学んでいるMG(マネジメントゲーム)という研修を例に出すと、強すぎる研究開発が市場にあるとき、その市場ではニーズ(サイコロの出目)に合わせて使える研究開発の量が決まります。

一点突破した天才が生きづらくなるのと同じように、強すぎる長所は逆に自分の足を引っ張ってしまう場合がありますので、分析ツールを使うときは、強みと弱みをそれぞれ伸ばそうとするのではなく、自分の強みと弱みをトータルで見た上で、必要に応じて強みを出す量を調整する技術を身に着けてみると少しだけ愉快に暮らしていくことができるかもしれません。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
少しでも、読んだ方の向上に繋がればいいなと思います。

また、今回の記事の作成にあたって大きな気づきをくれた勝矢和美さん(かずみん)の記事も、ぜひ読んでみてください。

↓前回の記事はこちら

↓いま運営している事業はこちら

★農機具の宅配レンタル事業
https://www.agriz.net/rental.html

★モノレールレンタル事業
https://company.fujiwara-nouki.com/service/rental/r-monorail

★通販サイト「アグリズ」の物流センター運営

★和歌山県田辺市でマネジメントゲーム研修を開催しています。TOC研修・マイツールの講師もやっておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?