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【MTB】今よりもっと上手くなるには【Podcast和訳】

みんな大好きスキルHOWTO回。タイトルは直球「How to be a better rider」。
ウィスラーでプロライダーからキッズまで幅広くコーチングをしているBlueprint Athrete Development 創設者/オーナー/ヘッドコーチのJoel Harwoodさんをゲストに迎えた回を紹介します。

基本の重要性、特にメンタル/フィジカルパフォーマンスとポジションがメイントピック。一介のマウンテンバイク乗りにも役にたつ情報がいっぱいで、ここで紹介されている「ノーモアバックペイン体操」は私も継続的にやっています(エクササイズ最後の決め台詞から私が勝手に命名)。

歳を重ねるごとにヒップヒンジの重要性が身に染みる。そしてこのエクササイズはかなり効く。あとデスクワークでバキバキになったお尻やハムにも即効きます。その名の通り腰痛予防の体操なんで、自転車に限らず日々の健康にもおすすめです。該当箇所を最初に抜粋しておきます。

もちろん全文和訳も掲載してます。誰も知らなかった真実!みたいな面白さは正直ないけど、教わる側、教える側両方にとって大事で普遍的なことがコンパクトに分かりやすくまとまっている神回だと思います。ぜひ。


「まず第一に、僕の哲学としては、僕はバイカーをコーチングしているわけじゃなく、バイクに乗るアスリートをコーチングしているんだ。だから、優れたアスリートであることが最も重要な資産だと思うんだ。例えば、5歳から毎年100日間パークで乗っている子供たちに会うことがあるけど、それはすごいことだよね。彼らは8歳ですでにクラブアップルヒットを攻略できる。でも、もし彼らが(ボールを)投げたりキャッチしたりできなくて、手と目の協調性がないなら、結局それが後々彼らを失敗に導いてしまうんだ。だから、優れたスペシャリストである前に、まずは優れたジェネラリストでなければならない。これが一貫したメッセージだよ。そして、このスポーツに特化したものかもしれないけど、実際にはアスリート全般に共通するエクササイズがあるとしたら、それはヒップヒンジだね。」

「それは何?」

「名前の通りさ。腰で曲げて、スクワットする代わりにお尻とハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)を使って体重を支えるんだ。多くのバイクライダーはスクワットした姿勢になって、最終的には大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)や股関節屈筋に頼ることになるんだ。腰が本当に痛くなるんだよね。でもヒップヒンジは、少し背の高い姿勢で、まさにドアの蝶番のように腰を曲げるんだ。誰でもYouTubeでドクター エリック・グッドマンを検索してみて。『ファウンデーション・トレーニング』と呼ばれる動画があって、それは10分から12分くらいの短い動画なんだけど、素晴らしい動画だ。これを練習すれば、誰でもより優れたジェネラリストになれると思うよ。」


※以下内容はThe Pinkbike Podcastによるものであり、執筆者(はゆ)はいかなる権利も保有しません。

提供元: The Pinkbike Podcast: Episode 152 - How To Be a Better Rider w/ Coach Joel Harwood、2022年11月19日

https://www.pinkbike.com/news/the-pinkbike-podcast-episode-152-how-to-be-a-better-rider-w-coach-joel-harwood.html




みなさん、こんにちは。またピンクバイクポッドキャストに戻ってきました。私はマイク・レヴィです。今日のゲストは、スコーミッシュにあるBlueprint Athlete Developmentの創設者であり、オーナーであり、ヘッドコーチでもあるジョエル・ハーウッドさんです。ジョエルは、数多くのすごい人たちと一緒に仕事をしてきましたが、今日はそんな人たちの話をしつつ、普通の人たちも含めて、どうやって彼らをより良いライダーやレーサー、アスリートにしてきたかを話していきます。彼のアプローチは、バイクのテクニックやジムでのトレーニング、持久力トレーニングだけでなく、怪我の予防や栄養管理、スポーツ心理学にも力を入れています。そして、正直に言うと、僕にもその辺りの情報が必要です。


ジョエルさんの経歴

まずはジョエル、やっと来てくれて嬉しいよ!ピンカーたちも、コーチングやトレーニングのエピソードを待ち望んでいたと思うから、今回はみんなにとって何かしら得るものがあるんじゃないかな。君はもうしばらくこの仕事をやっているけど、今は新しいジムにいるね。まずはコーチングの話に入る前に、どうやってこの業界に入ったのか教えてくれる?

ジムに入るまでの話かな?うん、まあ、Blueprintの強みはコミュニティを作ることだと思うんだ。そのコミュニティは、アスリートたちだけじゃなくて、コーチたちのコミュニティでもあるんだよね。長年にわたって、いろんな同僚たちと一緒に仕事をしてきたけど、そういう人たちをアスリートたちに紹介したりすることも多かったんだ。で、最終的にBlueprintの進化として、そういった人たちを招いて一緒に仕事ができる場所を作ろうと思った。それがこの施設を作るきっかけだ。アスリートたちがストレングスコーチやスキルコーチ、理学療法士、マッサージセラピストと一緒に、一つの場所でトレーニングできる機会を作りたかったんだ。そうしてから8ヶ月くらい経ったけど、ここに座って話しているのがその結果なんだよ。

それで、コーチングに至るまでの話を聞かせてくれる?君はもうこの仕事をやっているけど、その前は別のことをしていたんじゃない?

まず最初に言うと、僕は子供の頃からいろんなスポーツに触れてきて、チームスポーツやライディング、レースが大好きだったんだ。大学でもスポーツを続けて、本当に素晴らしい経験をしたよ。だから、若い頃からホッケーキャンプでコーチをしたり、何らかの形でずっとスポーツに関わってきたんだ。そして、学部を卒業したときに、学費を稼ぐためにウィスラーバイクパークでコーチをする機会があったんだ。本当はラグビー選手になるためにトレーニングするつもりだったんだけど、代わりにトレイルでマウンテンバイクに乗って、筋肉をつけるどころか痩せてしまったんだ。だからラグビーの道は断たれたんだけど、学部を終えた後は学校の教師になって、ここスコーミッシュでアウトドア教育プログラムを担当していたんだ。それと並行してコーチングを副業としてやっていて、だんだんコーチングが本業になって、教師が副業になっていったんだ。そして最終的には、教師を辞めてフルタイムでコーチングに専念することに決めたんだ。

そうだよね。コーチングもある意味では教育みたいなもので、君が教えている人たちを教育しているんだよね。だから、教育者としての役割は君の人生の中でずっと向いていたのかもしれないね。

うん、まさにそうだよね。いろんな素晴らしいコーチがいると思うけど、僕がコーチとして持っている一番の強みは、技術的な知識だけじゃなくて、もちろんそれもあるけど、人と接して、関係を築く能力だと思うんだ。ただの科学の知識を持っているだけで、それをうまく伝えられないコーチじゃ意味がないからね。だから、優れた教師であることが、良いコーチであるための一番重要な部分かもしれないと思うんだ。僕はまだ教師だと思っているけど、ただ見方がちょっと違うだけなんだよね。

そうだよね。君が教えている生徒やクライアントとの関係が、時間が経つにつれてメンターのような関係にもなっていくんじゃないかな?

うん、そうだね。僕が関わっている多くの人たちとは、彼らがまだ12歳くらいだった頃に出会っているんだ。その頃、僕は夏の仕事としてコーチングをしていて、彼らと一緒にいたんだ。たとえば、ルーカス・クルーズやセス・シャーロックみたいな子たちがそうで、彼らがまだ24インチのバイクに乗っていた頃から知っているんだよ。

その頃、セスより速かった?

1週間くらいはね(笑)でも今は、ルーカスがジムに来るけど、彼はもう立派な体つきになっているんだ。今でも彼らをコーチしているけど、僕たちの関係がとても良くて、それが彼らが成功したときにさらに満足感を与えてくれるんだよね。彼らが12歳の頃に持っていたアスリートとしての興味が、今では情熱やキャリアに変わっているのを見るのは本当に素晴らしいことだし、その夢をサポートできることに感謝している。

君はYouTubeのコーチング動画を見てきた素人ってわけじゃない。僕が調べたところによると、ちゃんとした教育も受けている。君はあんまり自慢したくないかもしれないけど、リスナーのためにどんなバックグラウンドがあるか教えてくれる?

そうだね、さっき言ったように、僕はウィスラーバイクパークでコーチを始めたんだけど、その頃はコーチングというもの自体があまり知られていなかったんだ。それでも素晴らしいメンターがいて、トム・ラドキーやマイク・ジョンストンといった、当時のコーチング界では先を行く存在だった人たちがいた。彼らがスキルの面で僕を指導してくれたんだ。でも、僕の学部の学位はエクササイズ生理学とキネシオロジー(運動学)で、科学的な背景があるんだ。そしてアウトドア教育者として働いていたときに教育学士も取得した。その後、スポーツ心理学についての修士論文も書いたんだ。テーマは『グリット』で、グリット(やり抜く力)をどのようにアスリートや生徒に教えるか、そしてそれを話すことでどう教えるかという内容だったんだ。それがスポーツ心理学の一部なんだよね。そして、何も言わずに彼らの日常生活にそれを取り入れる方法も学んだんだ。そうやっていろんな要素が幸運にも結びついて、僕にとってコーチとして素晴らしい背景を提供してくれたんだ。それに、毎日新しいことを学んでいるし、まだまだ好奇心旺盛で、周りの人や教えている人たちからも学んでいる。そうだね、僕はまだまだ学生のような気持ちで、新しいことを学ぶことにワクワクしているんだ。


成功者のメンタルについて

ちょっとグリット(やり抜く力)の話に戻ろうか。どうやって人にもっとグリットを身につけさせるんだろう?どうやってもっとグリットを持たせるんだろう?

そうだね、これは本当に難しい問題なんだ。僕が影響を受けたのは、アメリカの科学者であるアンジェラ・リー・ダックワースの研究なんだ。彼女のTEDトークを昔見て、すごく感銘を受けたんだよ。彼女の考えにすごく共感できたんだ。そして、僕が言ったように、スポーツ心理学っていうのは物理学のような白黒はっきりとした科学じゃない。重力の法則みたいに、こうだと決まっているわけじゃないんだ。スポーツ心理学はすごく個人的で、人それぞれ異なる。でも、成功している人たち、アスリートとして成功した人や、学問で成功した人、親として成功した人、ビジネスオーナーとして成功した人たちに共通しているのは、みんな粘り強さと情熱を持っているということだ。ダックワース博士が定義したグリットは、長期目標に対する情熱と粘り強さなんだよ。それが彼女のグリットの定義だったんだ。そこから僕はさらに一歩進んで、それをどうやって人に教えられるかを考えた。どうやってスポーツを通じてそれを教えられるか?アウトドア教育を通じてそれを教えられるか?それとも、そういう話をしないで文化の中に組み込んでいけるのか?

そして、ブループリントでは主に、その長期目標への情熱と粘り強さをグループの文化として築こうとしているんだ。トレーニングの仕方、僕が人々に話す方法、シーズンの計画の立て方などを通じて。うん、これは本当に複雑な問題で、白黒はっきりした答えはないと思うけど、僕の経験から言うと、その情熱と粘り強さを持っている人たちが成功している傾向がある。そして、それをみんなに教えることができれば、みんなが良い方向に進むと思う。バイクレーサーとしても、ただの人間としてもね。

そうだよね、本当に意思が強くないといけない。君は本当に意思の強い人たちとたくさん仕事をしてきたんでしょうね。そして、おそらくもう少しカジュアルな人たちとも仕事をしてきたんじゃないかな。プロのアスリートと普通の人たち、どっちとも一緒に活動してるよね?

うん、そうだね。正直言って、僕は誰とでも一緒に働くのが楽しいんだ。僕は主にハイレベルなアスリートと一緒に仕事をしていることで知られているかもしれないけど、ウィリーやスキッドを一日中やっている10歳の子供たちと一緒にライドするのも同じくらい楽しいんだ。そして、マスターズアスリートとも一緒に仕事をしているんだ。彼らは成長した大人だけど、ただバイクに乗ることをもっと楽しみたいだけなんだよね。そして、僕は39歳で、結婚して子供もいるけど、それでも何かを改善したいという気持ちは変わらないんだ。たとえプロとしてお金を稼いでいるわけじゃなくても、友達とライドに行くときには、自分がしっかりとしたバイクハンドラーだと感じたい。毎日、20代に比べて自分がどれだけ遅くて太っているかを思い知らされているから、実際のところ、自分の立ち位置がよくわかってるよ。


練習時のマインド

それは本当だね。君は本当に幅広い人たちと一緒に仕事をしているね。精神面で何か共通の間違いがあると思う?ちょっとそのことについて話したいんだ。

うん、精神面での共通の間違いとしては、特にこの2022年現在、僕たちの集中力がすごく短くなっていることだと思うんだよね。そして、多くの場合、人々はすべてを一度に学びたがるんだ。僕がみんなに伝えようとしているメッセージは、魔法の薬も、すぐに解決できる方法もないってことなんだ。だから、誰かが僕をスキルのコーチとして雇った場合、最初の日には何も教えないかもしれないんだよ。そして、多くの場合、彼らがすでに物事を考えすぎていて、先走ってしまっているから、それをシンプルにすることが必要なんだ。彼らはすぐに結果を求めたがるけど、最初の10回のセッションで僕たちが話すのは、体のポジションについてだけかもしれない。僕にとって、それはサイクリングの基本的なスキルだ。

それがすべての人にとってベストな方法ではないかもしれないけど、僕の経験では、あまりに多くのことを一度にやろうとすると、物事が複雑になりすぎて、何が良くて何が悪いのかを分離できなくなってしまう。そして、ちょっとオタクっぽくなっちゃうけど、僕の科学のバックグラウンドから言うと、良い科学実験には一つの独立変数しかないんだ。第二の独立変数を導入すると、その実験はもはや有効ではない。

だから、ちょっとオタクっぽく考えて、もし誰かをコーチングするなら、一つのことを一つのセッションでやって、それを一度に積み上げていく。そして、サイクリングに完璧な技術はないし、心構えにも完璧なものはないんだ。でも、ちょっとした実験をする意欲と、最も重要なのは忍耐力だと思う。結果は一夜にして得られるものではなくて、本当に長い時間がかかるんだ。特に、長年のサイクリングや習慣が積み重なっているとね。

僕は30年間間違ったやり方でこのスポーツをやってきたよ、ジョエル(笑)

僕もだよ。コーチとしての一番厄介な部分は、なぜ自分が下手なのか正確にわかっていることだ(笑)

その通りだね。新しいアスリートが来た時、むしろ彼らをスローダウンさせる必要がある場合もあるんじゃない?

うん、全くその通り。スキルの向上には、一度後退することが必要だとよく言ってる。何か新しいことを試してもらう時、長年の習慣を壊すことになるから、それが普通のことにはならないし、だからこそ居心地が悪く感じることが多いんだ。そうだね、例えば僕がプロのアスリートをコーチングする時、彼らは信じられないほど上手いんだけど、ブルーのトレイルやグラベルロードで練習するんだ。

去年だったかな。山の中から出てきた時に、君を見かけたよ。住宅街の平坦な舗装道路で、小さなコーンを設置して何人かと練習してたよね。すごく楽しそうだった。確かグラベルバイクに乗ってたかも。それで、『レヴィ、こっちに来て、一緒にこのコーンで練習しよう!!!』って言ってたね。コーンのことについて教えてくれないか?あのコーンは何をするためのものだったの?

僕がよく使う表現は、『学びを最大化するためには、地形を最小化する必要がある』というものだよ。もし君を少しでも難しいトレイルに連れて行ったら、もう不安で、すでに居心地が悪くて何かを試す気になれないんだ。そして、コーンの価値は、またしても変数を制御することにある。だから、グラベルロードや、それ以上にシンプルなアスファルトの道路に君を置くことで、完璧なトラクションが得られるし、安全だからリスク管理もできる。それに、少し居心地が悪くて新しい技術を試しても安全だと感じられるんだ。だから、アスファルトの道路から始めて、そこで何の変数もなく、ブレーキもトラクションの問題も急な斜面もない状態で技術に集中すれば、そのセッションからもっと多くを学べることが多い。もしグリーントレイルに連れて行ったとしても、それはまだ難しすぎるかもしれないから。

それは誰かを抑えつけるためじゃなくて、そうやって進めることで、アスリートたちはもっと成功を収めていることがわかった。舗装道路から始めて、次はグラベル、次は草地、それからグリーントレイル、そしてブルートレイルへと進んでいく。最終的にブラックトレイルやダブルブラックトレイルにたどり着くころには、もう技術のコーチングはほとんどしていない。そこで行うのは、これまでに練習した技術の応用に過ぎないんだ。

そうだね。まるで10年間何も持ち上げていなかったのに、デッドリフトをしようとするようなものだよね。いきなり400ポンドを持ち上げようとするかもしれないけど、実際には、まずはウェイトなしでフォームに集中して、そこから始めるべきなんだね。

その通りだね。まさにそれだよ。さっきも言ったように、時にはライディングをシンプルにして、頭の中を整理し、一度に一つのことに集中できるようにするんだ。


How to動画を見るより大事なこと

さて、君が人々と一緒に出かけてこのコーン練習をする時、よくあるミスは何だろう?最初に頻繁に修正しなければならないことは何かある?

そうだね、僕にとって、全てのスポーツでの基本スキルはボディポジション、またはアスレティックポジションだよね。バスケットボールだと、ボールを持っているときのトリプルスレッドスタンスのようなものだよ。それをある程度マスターしていなければ、ドリブルもパスもシュートもできないんだ。マウンテンバイクでは、体のポジションがすごく重要なんだ。そしてみんな、学びたがっていて、上達したいって思ってる。でも、僕の経験では、その基本的なスキルや、体のポジションがどうあるべきか、何を目的としているのか、そしてその理由を理解していないと、バイクを傾けるのが非常に難しくなる。ジャンプやパンプといった技術もずっと難しくなる。

特に情報化時代では、Pinkbikeでベン・カトロのような信頼できる人たちが作った無数のチュートリアルを見つけられる。あれは素晴らしいチュートリアルだよ。でも、僕がもしビデオを作ったら、きっととても退屈なビデオになると思う。なぜなら、ただの体のポジションに関するビデオだから、そんなにエキサイティングではない。でも、僕の経験上、エリートアスリートでも普通のサイクリストでも、ミスを犯すときは、体のポジションが崩れる。だからそこから始めるんだ。誰にでもできる一番簡単なアドバイスは、あごの位置に注意して、あごをステムの上にキープすること。それがどれほど単純に聞こえるかはわかるけど、実際には本当に難しいんだ。

じゃあ、そのセッションがどんな感じになるか話してみよう。たとえば、コーンが地面に置かれていて、君がそれを通り抜けているのを見たとする。そして僕は君がもっと上手にコーナリングできるようになってほしいと思うんだ。その時、僕はどう説明するか。

僕が何かをコーチする時、僕はコーチする相手に、何をしているのか、なぜそれをしているのか、そしてどうやってそれをしているのかを理解してもらいたいんだ。ただ僕の指示に従うだけじゃなくて、何を目指しているのか、なぜその目標に向かっているのか、そしてどうやって達成するのかを理解してもらうことが大事なんだ。PMBI(プロマウンテンバイクインストラクター協会)も似たようなモデルを使っていると思う。彼らはインストラクターに何を、なぜ、どうやって教えるかを指導していて、それはすごく理にかなっていると思う。だから、体のポジションや体型、サイクリングの種目に関係なく、適用できる普遍的なポイントがある。僕が話していた顎をステムの上に置くという例はその一例だ。

もちろん、何にでも変数はある。だから、僕は自分のやり方だけが正しいとは言わない。でも、僕はよく人々のライディングをシンプルにすることに時間を使っている。彼らにあまり考えずに済むような基本的なスキルを教えることが大切なんだ。ライディングを整理して、良いポジションを保つことが重要だよ。もしワールドカップのダウンヒルを見て、ミナーやアイルズ、ロイック・ブルーニのような選手たちを見ると、彼らは実際にはトラック上でそれほどエキサイティングに見えないんだ。なぜなら、彼らのポジションや意思決定があまりにも優れていて、非常に速く走っているけど、それが目立たないから。実際には、レースで限界に挑んでいる80位くらいの選手たちの方が見ていて楽しいんだ。

そうなんだよね。トップレーサーたちが下り坂を猛スピードで駆け抜けているのを見ると、彼らの体やライディングスタイルは『速い』『せかせか』ではなく『静か』だと表現することができる。

まさに。たしかに彼らは全ての凹凸、根っこ、岩やあらゆるものでパンプするのに忙しい。けど速く走るには効率的であることが何より必要なんだ。だからライディングをシンプルにして、いくつかの基本的なことに集中する必要があるんだ。もし君が6年間かけて設計されたカーボンホイールをつけた1万ドルのバイクに乗っているなら、そのバイクに任せればいいんだよ、わかるよね?

いやいや、新しいバイクは必要だよ。アップグレードの時だ、ジョエル(笑)

そうだね、マーケティング会社のみんなには申し訳ないけどね。そうだ、でも怖くなると僕はどうするかというと、ステムの上に顎を置くことなんて考えないで、むしろ後ろに体を引いてしまう。

それが君が言っていた習慣なんだ。それは直感に反するから怖いんだ。でも、だからこそ理論的な説明とコーチングでそのテクニックを信頼できるようにしないといけないんだ。


基礎の固め方

僕にとっての理論は、顎をステムの上に置き、ローテーターカフではなく胸と背中でハンドルを押したり引いたりできるということだ。大抵の場合、僕を含めて怖くなると、体のポジションが崩れて少し後ろに座りがちなんだ。でも、後ろに座ると、ハンドルバーに圧力をかけることができなくなるんだ。圧力がなければ、どうやってブレーキをかけたりコーナリングしたりするんだろう?本当に、それをうまくできないよね。だからこそ、アスファルトの道でその技術を信頼することを学ぶことが、トレイルに出る前に本当に価値があるんだ。

例えば、君を簡単なブラックトレイルに連れて行って、『マイク、ステムの真上に顎を置いて、この崖の上のスラブを越えよう』って言ったら、君はきっと『いやいや、そんなの無理だ』って思うよね。でも、君を小学校の芝生の斜面に連れて行って、それで遊びながら、『マイク、ステムの真上に顎を置いたらフロントホイールのグリップがどれだけ増えるか、または顎をステムの後ろに置いたらどうなるか』って教えれば、安心してその芝生の斜面で練習できるだろうし、その技術に対する信頼を築き始めることができるんだ。だからこそ、僕の中では、教えるために地形を簡略化することがすごく大事だ。

そうだね。僕がよくやってしまうことは、その方向性に沿っているんだけど、地形を減らす代わりに、自分のスピードを落とす必要もあるってことなんだ。だからといって、普段僕が速いってわけじゃないけどね。むしろ、速く走っているときは、物事があまりに速く迫ってきて、うまく処理できない。スピードを落とすと、時にはよりうまく走れるようになるよね?

完全にそうだね。僕がアスリートのためにトレーニングプランを作成するときに、3時間のライドとか、そんな感じで距離を稼ぐためのライドを提案することがよくあるんだけど、そのライドで『すべての下り坂では、70%の強度で降りてほしい。ただし、メカニクスやブレーキング、意思決定は完璧にしてほしい』って伝えることがあるよ。

それは、特にプロのアスリートにとって難しいことだよね。彼らは本当に上手くて、常に全力で走ることに慣れているから、それを伝えるのは難しいだろうね。

そうだよね、彼らは常に全力で走りたがるからね。でも、僕が長年やってきたことで、アスリートたちはそれを受け入れてくれているんだ。僕と一緒にトレーニングしてきた人たちは、年々の改善を実感していると思うんだ。それに、もし常に全力で走っていたら、年に2回くらい鎖骨が治るのを待つことになるだろうしね。

そうなんだよ、それがマウンテンバイクの現実なんだよ。まるで僕に直接話しかけているみたいだ(笑)

いや、僕が話しているのは、スコーミッシュに住む40歳の男性たち全般のことさ(笑)つまり、常に全力で走り続けるのは、時限爆弾を抱えてるようなもんなんだよ。プロのアスリートにとって、普通のライディングスピードが30キロで、それが33キロになった瞬間にミスを犯す、その代償は大きい。だからこそ、アスファルトの道路やパンプトラック、ブルートレイルでのトレーニングが重要なんだ。そこでこそ、より多くの指導や学びが得られるだけでなく、リスクも管理できるんだよ。

なぜなら、ブラックトレイルやダブルブラックトレイルにレベルアップすると、もう技術的な問題ではなくなるからなんだ。そこで必要なのはスキルの応用で、もう持っているもので走るしかない状況になる。そこで練習できるのは、ブレーキのタイミングや量を考えることくらいで、新しいブレーキ技術を試すにはあまりにも危険な場面が多いんだよ。だからこそ、最初にスピードを落とすことがとても重要なんだ。

持っているもので走る、まさに僕が乗っているときの感覚だ(笑)

僕のライディングの物語でもあるよ(笑)もっとわきまえるべきだって言われるけど、まさにその通りだ。

でもそれがアスリートの衝動を象徴していると思うんだよね。知っておくべきことが分かっていても、それでもスピードを出してしまう。

その通り。何かに意識的に取り組んで上達しようとするとき、その『意図的』って言葉が本当に大事なんだよね。もしサイクリストとして上達しようとすることに意識を持たなければ、その成長は起こらない。

例えば、マスターズアスリートやアマチュアアスリートが僕に相談に来るときに、もし彼らが『一回だけセッションをやりたい』と言ったら、僕はそれを提供しない。なぜなら、意図的でない限り、反復なしには進歩はないし、彼らにとって有益ではないものを提供したくないんだ。でも、例えば6回のセッションにコミットしてくれるなら、6週連続で週1回のセッションを行うとしたら、彼らが僕との練習やその間の練習に意図的に取り組めば、本当に変革が起こることがある。

実際に、あるマスターズアスリートのグループを指導した時のことなんだけど、最初のセッションでは駐車場から一歩も出なかったんだ。彼らはロードの選手だったから、僕は『リスクを管理しないといけない』と思って最初のセッションではダートには触れなかったんだよ。でも、その次の夏の終わりには、彼らはウィスラーのDark Crystalを初見にもかかわらず僕を先導して走れたんだ。

そしてセクションをリピートしたかっていうとそんなことはなかった。でも彼らはシングルトラックを走ることに恐怖を感じていた人たちで、怪我を心配していたし、正直なところ、トレイルから生還することに必死で、トレイルを本当に楽しんでいたわけではなかったんだ。それが、夏の間ウィスラーでコンドミニアムを借りて、僕が指導している選手からダウンヒルバイクを購入して、バイクパークを走り続けるようになるなんて、本当に素晴らしいと思うんだ。僕はプロアスリートを指導することに大きな満足感を感じるけど、50歳の人がサイクリングに対して恐怖を感じていた状態から、ダウンヒルバイクを買って、夏の間ずっとバイクパークで走るようになるのを見るのは本当に気持ちがいいよ。

僕はこのスポーツが大好きで、このスポーツが成長していくのを見たいと思っている。10歳の子供がスキッドやウィリーをやりたがってもいいんだ。僕も心の中では10歳の子供なんだから。そして、正直なところ、その50歳の人たちも心の中では10歳なんだ。みんな同じ理由でバイクに乗ってるんだよね。


習慣づけ

意図的であることについてよく話しているけど、それと共に、適切な環境にいると意図的であることがより簡単になると思うんだ。その環境をどうやって作り出してる? それはバイクやジムで過ごす1時間や2時間、3時間のことじゃなくて、君の生活全体のことで。

そうだね、それは結構深い質問だと思う。まるでウサギの穴に飛び込むようなものだね。でも、変化はシンプルだと思うんだ。例えば、私たちがライドを終えるとき、駐車場までの30秒間、下り坂を惰性で走ることがある。その30秒間、ただ何もしないで、ライドが終わったことを楽しむこともできるけれど、少しだけ意図的にやってみるのもいいんじゃないかと思うんだ。『この30秒間で、ステムの上に顎を置くポジションを練習しながら、グラベルロードでターンをしてみよう』ってね。無駄にしがちな30秒間の道路区間を、100回のターン練習に変えることができるんだ。もしそれを週に4回ライドするたびにやったら、1週間で400回の追加ターンになるよね。それを1年間続けたらどうだろう。ここで頭の中で計算するつもりはないけど、それは文字通り何千回ものターン練習になるんだ。コーチを雇わずに、外に出て練習しなくても、意図的に練習するだけでこんなに違いが出るんだよ。

もちろん、ある時点でフィードバックは必要だと思う。でも、私は自分のビジネスを潰そうとしているわけじゃないけどね。でも、ちょっとした変化なんだ。例えば、トレイルに向かう道中や帰り道でも、バランスの練習としてすべての縁石を乗り越えてみるとかね。みんながそれをやれば、1年でバランスが劇的に変わるよ。なぜなら、『バランスを良くしたい』と思って、ライド中に意図的に練習することが大切だから。ほら、ライドの行き帰りに縁石を通り過ぎるとき、毎回縁石を乗り越える練習をするんだ。自動的にできるようになるまでやる。そして自動的にできるようになれば、その改善が見えてくる。コーチを雇う必要もないし、新しい12,000ドルのバイクを買う必要もないんだ。買うべきだけどね(笑)

僕にはカーボンホイールが必要だな(笑)

カーボンホイールなら縁石によく張り付くね(笑)でも、自転車が上手くなるために人生を犠牲にする必要はないんだ。ちょっとだけ意図的に、ライドの中で1%の向上を見つけることが大切なんだ。さっきも言ったように、縁石を乗り越えるのは誰でも、どこでも、いつでもできることだ。トレイルヘッドへの帰り道でも、車までの道でも、追加の100回のターン練習ができる。もしそれを1年間一貫してやれば、保証したいわけじゃないけど、ほぼ確実にバランスも良くなるし、ボディポジションもかなり改善されるよ。

そうだね。最近やらなくなったけど、昔はよくやっていたことがあるんだ。友達と一緒に自転車に乗って、ただ遊びまわること。

全くその通りだよ。昔はウィリー競争やホイールピボットなど、いろいろな遊びをしてたけど、今は大人になったからそういうことはしないんだ。私たちは少しずつその遊び心を失っていく。そして、その遊びや実験が、特に若いアスリートにとっては、上達するためのトリックみたいなものなんだよ。誰もが3時間もコーンドリルをやる気にはならないけど、ふざけながらバランスを学ぶことはできる。ウィリーができたら、トレイルをウィリーで走るわけじゃないけど、そのバランス感覚はトレイルの至る所で使われるんだ。だからウィリーをすることは、バランスを常に練習するための間接的な方法なんだ。

それに、ペダルのケイデンスを練習するのにも役立つ。ブレーキの調整も練習できるしね。でも、10歳の子供にそんなこと言わなくても、『ウィリーやろうぜ』って言えばいいんだ。10歳の子供たちはそれだけでやる気満々になる。その子供がブレーキング、ペダリング、姿勢、バランスを上達させているのを見ながら、俺は何も言わなくて済む。ただ、ウィリーをやってランダムなおじさんと一緒に楽しんでいるだけなんだ。

そして、それがプロのアスリートであれ、10歳の子供であれ、50歳の大人であれ、遊び心を取り入れることが、その1%の成長をもたらす違いになるんだ。そして、その1%の成長は時間とともに積み重なっていくんだよ。そう、遊びは大切な部分なんだ。トレイルを攻めるのはもちろん楽しいし、それが自転車に乗る楽しさでもあるけど、そこに行くまでに何百万もの縁石を通り過ぎるわけだから、両方楽しめばいいんじゃないかな。


実践方法

そうだね。それはみんなにとって良いアドバイスになると思うよ。普通の人たちにとって、献身や遊び以外に、何か自転車が上手くなるためのアドバイスはある?

そうだね。俺がコーチングするときに最初に教えるのは、視野だ。だから、例えば技術的にはそこまで上手じゃないけど、先を見て能動的に走れる素晴らしいレーサーをたくさんコーチしてきたよ。彼らは反応的に走るんじゃなくて、予測しながら走ることができるから、うまく走れるんだ。

俺はどちらかというと受動的だな。

もし自分の前輪だけを見ていたら、それが何に当たるかに反応するだけになっちゃう。でも、特にコーナーのとき、少し先を見ることができれば、何が起こるかを予測する力がつく。

そして、またもしかしたら悪い例えかもしれないけど、ウェイン・グレツキーが偉大なホッケー選手だったのは、必ずしも彼が肉体的に優れていたからではないんだ。彼が優れていたのは、何が起こるかを予測できて、先を読んで適切な位置にいたことなんだ。そして、パックが彼のところに来て、彼はそれを使って素晴らしいプレーをしたり、優れた判断をしたりした。

だから、マウンテンバイクやどんな自転車でも、目線を上げていれば、より良い判断ができる。たとえ最高のポジションで走っていても、木が見えなければ、そのまま木に突っ込んでしまうだけだ。だから、また言うけど、シンプルなことを大切にすることが大事だ。よく、コーチングする人たちが、Pinkbikeのチュートリアルをすべて見ているのが分かることがあるんだ。それが彼らのライディングに現れていて、僕はこう言わなければならないん。『あのCathroのビデオは素晴らしいけど』とね。彼はすごく信頼がおけるけど、でも彼も君たちが良いポジションでいる前提で話している。もしそうでなければ、悪い習慣の上にさらに悪い習慣を積み重ねるだけなんだよ。だから、目線を上げて、顎を引く、これは一番シンプルな練習法なんだ。

僕もライディング中に、そういうことや、腰の向きについて考えることがあるけど、だいたいバイクに乗って17秒ぐらいで、興奮して全部忘れてちゃう。どうやって一貫性を保って良いフォームを続けられるんだろう?

いい質問だね。僕が一緒にトレーニングをしている人全員に提案しているのは、みんな仕事帰りや仕事前、週末のいつものコースがあると思うけど、そこにぴったり合う少し簡単なトレイルを選んでみることなんだ。例えば、僕が住んでいるスコーミッシュでは、『ローラーコースター』が一番簡単な例なんだ。ローラーコースターの途中でカットインすることもできるし、ローラーコースターのラップを本当に5分で終わらせることもできて、ライディング時間を5分しか失わない。僕にとって、ローラーコースターは簡単に走れるけど、うまく走るのは本当に難しいんだ。だから、良いマウンテンバイカーとして、自分にこう言うんだ。『今日はローラーコースターのこの1ラップをやるぞ。目線を上げて、顎を引いて走ろう』ってね。それをウォームアップとしてやって、後は技術のことを考えずに走り続けるんだ。そして、また言うけど、縁石に乗るように、小さくて低リスクな改善方法があるんだ。誰もが3時間も技術練習をしたいわけじゃないけど、意識的に中級トレイルをもう1周するのは、簡単なことだよね。だって、どうせ自転車に乗っているんだから。

ローラーコースターのいくつかのフラットコーナーは本当に素晴らしいよ。僕も大好きだ。

そうだね、それは違った種類の満足感だし、僕のライディングや成長するための考えとしては、もし君がトレイルから生還したいだけなら、それはあまり意味がないと思う。インスタグラムで『こんなトレイルを走った』とか、『クラブアップルヒットをクリアした』とか投稿している人をよく見るけど、僕はこう思うんだ。『それはすごいことだ。でも、君はクラブアップルヒットを本当に走り切ったわけじゃない。実際にやり遂げたのは、トレイルビルダーたちとダウンヒルバイクの方だ。彼らが素晴らしい仕事をしてくれたから、それに感謝すべきだ。そして、君はそれに挑戦する勇気を持った。それは素晴らしいことだ。クラブアップルヒットは大きくて怖いトレイルだ。その一方で、君は中級のトレイルをほぼ完璧に走れるかい?』とね。僕はこう考える。難しいトレイルを下手に走るよりも、簡単なトレイルを上手く走る方が価値があるんじゃないかと。


メンタル・コントロール

『違うよ、ジョエル』と言おう。ちょっとその一貫性について話し続けたい。これを自分自身のセルフコーチングにしたくて。僕も一貫性に苦労しているんだ。そして他の多くの人も同じように感じているんじゃないかと思う。人生は忙しいからね。上がったり下がったり、旅行したり、家にいたり、天気が悪くなったり。僕も特にいろんなバイクに乗ることが多いから、特定のフィットネスレベルやスキルを維持するのが難しいと感じることがある。自信が下がることもあるんだ。自信について話そう。どうやってライダーに自信をつけさせるんだい?

そう、それも難しい話だね。実際のところ、僕はよくライダーにこう言うんだ。『自信は感情だ』とね。感情は常にコントロールできるものじゃないんだ。えば、もし君が初めてワールドカップのダウンヒルレースのスタート地点に立っている時に、僕が『ヘイ、マイク、自信を持て』と言ったとしても、君は『オーケー、コーチ』と返すだろうけど、心の中では『黙れよ、緊張してるんだから』と思うだろうね。それに、緊張しているのは当然なんだ。だから僕が勧めるのは、感情ではなく、コントロールできる行動を練習することなんだ。

例えば、君が初めてワールドカップのダウンヒルレースに挑むとして、来年のためにジャージを用意しておこう。君がレースに出場するんだ。例えばスノーシュー、あそこはすごくグリップが効くんだ。うん、すごくグリップが効くよね。でももし君がスキルを練習して、自分の技術に自信があって、ジムでのトレーニングもして、『スキルを練習したし、ジムにも行ったし、今朝は良い朝食も食べたし、ジョエルがバイクの整備もしてくれたから、バイクの状態も万全だ』と思えるなら、そのレースのスタート地点で少し緊張していても、『でも、レースに向けてできる限りの準備をしてきた』と感じられる。僕はそこに自信が生まれると思っているんだ。だって、毎朝起きて『今日はモチベーションを持とう』なんて思わないからね。例えば、毎朝自分の帳簿をつけるモチベーションはないけど、それをやることは僕が自分の仕事で成功するために必要なことだからね。

だから、僕が実践するのはコンピテンス(能力)だ。君が朝に帳簿をつけるように、それは自分でコントロールできることなんだ。動機づけを持って目覚めるかどうかは選べないかもしれないし、最初の大きなチャレンジングなセクションに入るときに自信があるかどうかも選べない。でも、自分をその場所まで導いてくれた有能な行動を振り返ることはできる。例えば、『ブレーキのかけ方を知っている』『ラインを把握している』『どこで全力を尽くすかもわかっている』と確認できれば、後はその有能な行動をこの地形に適用するだけなんだ。少なくとも、緊張はするけれど、何をどうするかはわかっている状態になるんだよね。

君がこれまでに準備してきたことを思い出すべきだと。君は必要なことをしてきたんだから。

さっき言ったように、もし誰かが『自信を持て』と囁いても、君はレッドブルランページの頂上にいる人は緊張していると思うよ。でも、ドロップインする前に、彼らが同じようなチェックリストを使っていることを願うね。彼らの心の中には入れないけれど、僕がレーサーたちと話した経験では、彼らが自信を感じるとき、それはコンピテントな行動に関する会話から来ているんだと思うんだ。


プロはどうしてる?

面白いね。君はとても速い人たちと一緒に働いてきた。はたから見ると、彼らはすごく速くて、すごく上手に見える。でも実際にはどうなの?君はその裏側を見ているんだろう?

そうだね、まさにその通りだ。彼らはあのレベルの見た目になるために、努力をしているんだ。彼らはあれを簡単に見せるために努力している。僕たちがトレーニングに出かけるとき、僕は意図的に彼らを挑戦的な状況に置くんだ。それが必ずしも危険な地形という意味ではなく、1%の向上を目指して、小さな修正を探しながら練習しているんだ。練習中、進歩する前に後退することもよくあるんだ。例えば、ジャクソン・ゴールドストーンのボディポジションを見てみると、彼はかなり直立している。それには多くの利点があるんだけど、彼が昨冬僕たちと過ごしたとき、その姿勢について話し合った。彼が苦労していたのは、フラットコーナーのテクニックだった。そこで僕たちは『ジャクソン、そのボディポジションを少し変えて、フラットターンで前輪の感触をもっと感じるようにしてみたらどうだろう』と提案したんだ。それは実験的なことで、ジャクソンにとっては普段の姿勢ではなかったんだけどね。

ジャクソンの写真とキャスパー・ウーリーの写真を並べると、二人の姿勢はとても違うんだ。それでも彼らは同じレベルで走っていて、お互いから学ぶことができる。キャスパーはもっと直立することでエネルギーを節約できるかもしれないし、ジャクソンは股関節をもっと曲げて前輪のグリップを得ることができるかもしれない。だから、僕が言ったように、彼らは僕を簡単に追い越すことができるけれど、彼らは常に改善のために意図的に取り組んでいて、自分の改善点については決して批判的ではないけれど、常に次のステップを考え、『どうやって改善できるか』『どんな新しいツールをツールボックスに追加できるか』を考えているんだ。そして、ただツールを増やすだけでなく、そのツールをどこで、いつ、どうやって、なぜ使うかという知識も持っている。だから、彼らはそれを簡単そうに見せているけれど、インスタグラムに投稿していないときには、彼らは頭を垂れて一生懸命練習しているんだ。そういったことはSNSではあまり見ないけれど、エリートレベルで走っている人たちは、彼らがそう走るべきだと感じるほどの努力をしているんだ。

ジャクソンが君に『フラットコーナーの練習が必要だ』なんて言ってくる姿を想像できないな。僕の中では、他の多くの人たちも同じだと思うけれど、ただコーナーを走破しているように見える。でも、フィットネスと同じで、それも時間をかけて取り組むものなんだね。そして、技術が強くなる。

その通りだよね。僕がアスリートと話すとき、たとえば、君自身を比喩的にテーブルだと想像してみてくれ。良いテーブルであるためには、テーブルの脚が4本しっかりしていなければならない。だから僕はいつも、例えばこういうふうに言うんだ。1本目のテーブルの脚はスキルと戦術、つまりスポーツに特化したスキルと戦術だよね。2本目の脚はフィットネスだ。そして3本目の脚はアスリートとしての能力や強さだ。そして4本目の脚はメンタルパフォーマンスだ。だから自分を比喩的なテーブルとして考えたとき、もし鉄でできた脚が3本あって、1本がストローでできているなら、そのテーブルはあまり重さに耐えられない。

テーブルに脚が1本しかないものってなんて言うんだっけ?僕にはそれしかないんだ、ジョエル。

その脚が12,000ドルのバイクだね(笑)

そうだよ!カーボンホイールがついてる(笑)

才能は買えるってね(笑)


フィジカルについて

本当にそうだね。じゃあ、バイク以外のトレーニングについて話そう。聞いている人たちには、もちろん、1,000回のデッドリフトをやるように言うつもりはないけど、バイクが上手くなりたいと思っている人たちに、バイク以外でできるトレーニング、例えば体重を使ったトレーニングやコアトレーニング、ウェイトトレーニングなんかを紹介してくれる?

そうだね、まず第一に、僕の哲学としては、僕はバイカーをコーチングしているわけじゃなく、バイクに乗るアスリートをコーチングしているんだ。だから、優れたアスリートであることが最も重要な資産だと思うんだ。例えば、5歳から毎年100日間パークで乗っている子供たちに会うことがあるけど、それはすごいことだよね。彼らは8歳ですでにクラブアップルヒットを攻略できる。でも、もし彼らが投げたりキャッチしたりできなくて、手と目の協調性を持っていないなら、結局それが後々彼らを失敗に導いてしまうんだ。だから、優れたスペシャリストである前に、まずは優れたジェネラリストでなければならないんだ。これが一貫したメッセージだよ。そして、スポーツに特化したものかもしれないけど、実際にはアスリート全般に共通するエクササイズがあるとしたら、それはヒップヒンジだね。

それは何?

名前の通りだよ。腰で曲げて、スクワットする代わりにお尻とハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)を使って体重を支えるんだ。多くのバイクライダーはスクワットした姿勢になって、最終的には大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)や股関節屈筋に頼ることになるんだ。腰が本当に痛くなるんだよね。でもヒップヒンジは、少し背の高い姿勢で、まさにドアのヒンジ(蝶番)のように腰を曲げるんだ。誰でもYouTubeでDr. エリック・グッドマンを検索してみて。『ファウンデーション・トレーニング』と呼ばれる動画があって、それは10分から12分くらいの短い動画なんだけど、素晴らしい動画だよ。それを練習すれば、誰でもより優れたジェネラリストになれると思うよ。バイクコーチとして考えると、『良い体のポジションを取るためにもヒップヒンジをやってほしい』と思うんだ。だから、これは一石二鳥なんだ。運動能力が向上するだけでなく、体のポジションも良くなるんだ。そうだね、今これでDr. エリック・グッドマンに訴えられるか、それとも花束をもらうことになるかはわからないけど、とにかくその動画はYouTubeにあって無料なんだ。そして、どんなアスリートでもそれを習得することをお勧めするよ。マウンテンバイカーには特に利点があって、これがバイクに乗る時の立ち方の基本になるからね。

そうだね、あなたの話を聞いていると、あなたがアスリートであること、つまり全体的に強くなることについて多く語っているのがわかるよ。僕も30年近くサイクリストをやってきたけど、自転車が唯一やってきたことなんだ。そのせいで長い目で見たら自分にダメージを与えているように感じる。体はボロボロだし、いつも痛いんだ。ストレッチもするけど、あまり効果がないんだよね。もし過去に戻れるなら、他のスポーツや他のトレーニングをやっていただろう。インターバルなんて気にしないよ。バイク以外のトレーニングをやらなきゃいけなかったんだ。

本当にそうだね。インターバルの話に戻るけど、僕がコーチしているグループ、エンデューロの選手たちは、去年のツイードレースの前に、伝統的なインターバルトレーニングを本当にやったかどうかはわからないんだ。僕は彼らを優れたジェネラリストにしたいと思っていたし、もちろんその決断にはいろいろな要素が絡んでいたけどね。でも、僕のように39歳になったら、ジムがバイクで成功するための鍵になるんだ。そして、おそらくもっと重要なのは、僕が何かをするときにパフォーマンスを発揮するためじゃないってことなんだ。もし僕がビールリーグやここスコーミッシュのホッケーリーグで優勝して、家に帰って『ハニー、僕たちが男子ホッケーリーグのチャンピオンだよ。僕たちが一番だ』って言っても彼女は僕を見て、こう言うだろう。『1時間後に子供たちを迎えに行くんだから、車に乗って子供たちを迎えに行ってよ。誰も気にしてないわ。誰もアリーナにはいなかったんだから』とね。だから、僕にとっては耐久性が一番重要なんだ。そして、優れたアスリートであることが耐久性を高めるんだよ。

若い人でも年配の人でも、特に何年も同じことを続けてきた人にとっては、まずジェネラリストであることを実践しなかったら、今のように頻繁にバイクコーチングをすることはできなかっただろうね。僕はきっと壊れていただろうし、膝が悪くなったり、腰痛になったりしていたかもしれない。バイク以外での一貫した取り組みが、バイク上での耐久性と一貫性を保つのに役立っているんだ。それが、週に15時間もの大きなコミットメントである必要はないよ。それは、あなたの生活に合うものでいいんだ。もし15時間のトレーニング時間がないのなら、バイクに乗るのも15時間は無理だろうからね。すべてが反映されるべきなんだ。でも、また1%の小さな向上について話しているんだ。そのビデオ、もう一度言わないよ、訴えられるからね。でもその基礎トレーニングのビデオは10分しかかからないんだ。もし毎朝仕事に行く前にそれをやれば、1日10分だよ。1か月後には背中の調子が良くなると思うよ。これは特に君に言っているんだけどね。

僕はそのビデオをやる必要があるよ(笑)

そして、その後にまたポッドキャストをやって、『Dr. グッドマンに対する正式な謝罪』と言うことになるだろうね。彼がPinkbikeやBlueprintを訴えることになるだろうけど、Blueprintには何もないからね、僕を訴えてもバイクを何台か手に入れるだけだよ(笑)

僕が読んだ一つの方法は、私たちはサイクリストで、多くの人がギアに夢中になっているというものだよね。ギアがこのスポーツのクールな部分なんだ。機材スポーツだからね。僕がベストな状態だったときには、自分の体を一つの機材として考えるようにしていたんだ。バイクが上手くなるためだけでなく、自分の体が機材であり、それを向上させなければならないと考えることが、僕にとっては良いモチベーションになったんだよね。

うん、そうだね。そして、また他のコーチを宣伝しているかもしれないけど、僕はおそらくこう言うだろうね。Pinkbikeには申し訳ないけど、もし君が新しいホイールセットに2,000ドルを投資する代わりに、コーチを雇って君をより良いアスリートにするか、技術を教えてもらうことに投資したら、そのカーボンホイールを買うよりも、より良いアスリートになる方が良い投資だと僕は言うだろうね。そして、誰もが両方欲しいと思っているんだ。でも結局のところ、僕にとっては、もしシマノのデオール仕様でエントリーレベルのフォックスサスペンションとアルミフレームを備えたマウンテンバイクを買ったとしても、そのバイクの限界になるのは僕自身なんだ。バイクが原因で僕が進歩できないわけじゃないんだ。バイクができないことは何もなく、僕がアスリートとしてバイクの進化を妨げているんだ。そして、『カーボンホイールを付けた12,000ドルの高性能ピボットバイクはどんな感じか』と言われたら、『ああ、もう、今度は僕が本当にバイクの足を引っ張っているんだ』ってなるよね。


身体の状態に耳を澄ます

それはさておき、もう少し話を戻して、少しだけゆっくり走ることについて話したいんだ。数年前、僕はかなり悪いシーズンを過ごしていて、その後ステージレースを控えていたんだ。で、コーチじゃないけど、経験豊富な友人に、『どうにかして人生を立て直すのを助けてくれ』って頼んだんだよ。自分がクズじゃないって感じになりたかったんだ。それから2ヶ月、いや3ヶ月だったかもしれないけど、人生で最悪な状態から最高の状態に変わったんだ。君が言ったように、焦点を合わせて、意図的に取り組んで、専念したことも大きかったけど、実はその大部分はライドを減らして、ゆっくり走ることだったんだよ。

うん、まったくだね。

つまり、スキル的にゆっくりという意味だけじゃなくて、本当に文字通り、今ではジョエル、僕は負荷をかけずに1時間くらい走って、それから家に帰るんだ。そしたら素晴らしいことに、気分がすごく良いんだよ。

例えば、ペース配分の例として、僕がコーチしているグループはいつも僕をからかうんだ。『お父さんスピードだね』って。それはだいたい10段階中7くらいのペースで、息切れして、汗をかいて、子供を迎えに行くまでに90分しかないから、その90分間は全力で走って、時間を最大限に活用しようとするんだ。でも、それがフィットネスを向上させる最良の方法ではないんだよ。僕たちはほとんどの時間を、鼻呼吸で息ができるペースでトレーニングするんだ。僕は多くのアスリートに、ワット数や心拍数の代わりに、鼻呼吸で走るように求めているんだ。

それは本当に良いアドバイスだね。『会話できるペース』よりも良い方法だよ。
鼻呼吸、すごく分かりやすいよ。

だから僕は人々に、ライド中は鼻呼吸をするように求めているんだ。それに、僕がコーチする際には、いろいろな要素を重ねて指導しているんだ。鼻呼吸でライドすることで、一つ目の利点は、適切なペースを維持できることだ。無駄に力を使わないようにするためなんだ。それから、二つ目の利点として、そのライド全体で呼吸器のトレーニングもできるんだ。横隔膜も少し鍛えられるかもしれないし、肋間筋、肋骨周りの筋肉も少し鍛えられるかもしれない。呼吸のメカニクスをもう少し効率的に使えるようになるんだ。そして、ライドに複数の要素を重ねていく感じだね。でも、速く走るなら全力で、ゆっくり走るなら鼻呼吸なんだ。もちろん、それはもっと複雑な話なんだけどね。でも、速く走るなら全力で、ゆっくり走るなら鼻呼吸。僕自身もライドで心がけているのは、できるだけ速く走ってもいいけど、ライドの大部分は鼻呼吸をすることなんだよ。

うん。それでは栄養について少し話そうか。ジョエル、朝食には何を食べたんだい?

今朝はシナモンレーズンベーグルにクリームチーズを塗って食べたよ。シナモンレーズンベーグルにクリームチーズを塗るのはちょっと変かもしれないけど、まあそういうこともあるよね。それからスムージーを作ったんだ。スムージーには冷凍のカボチャ、冷凍のケール、バナナ2本、隣人が木から落ちたリンゴを持ってきてくれたのでそれを2個、それからプロテインパウダーを少しとアーモンドミルクを入れたよ。他に何が入ってたかな?ああ、それから多分かなりの量のピーナッツバターも入れたんだよ。

僕はハロウィンのお菓子を朝食に食べたんだ。今あまり気分が良くないよ。

そりゃそうだろうね(笑)気分が良いかどうかはわからないけど、深いところではたぶんそっちの方が良い選択だと思うよ。でも正直言って、ここ1ヶ月、いや正確にはここ2週間、子供たちのハロウィンのお菓子をこっそり食べているんだ。だから栄養っていうのは、もちろんエンジンをうまく動かすためには良い燃料が必要だというのは簡単な比喩だけど、大事なのはプロアスリートでも人間的な部分を意識する必要があるってことだと思うんだ。適度に食べることが大切で、時にはその適度さ自体も適度に保つことが大事だと思うんだ。だから、もしハロウィンでミニキャンディバーをいくつか食べるなら、それで自分を責めることはできないよ。プロアスリートがヨーロッパに行ったときには、オーストリアではパンとチーズが食べ物になるかもしれないし、それが完璧な栄養じゃないかもしれないし、空港の食べ物になるかもしれない。

でももちろん、栄養学はそれ自体が一つの職業であり、専門家がその分野で生計を立てているよね。僕も栄養学に少し詳しいけど、アスリートとはよく栄養やレース中の燃料補給、サプリメントの話をすることがあるんだ。そしてそれはまた、ものすごく深い話になることもある。でも一般的には、『もし本当にパフォーマンスを向上させるものがあるなら、それはたぶん禁止されている』。

僕のお気に入りのサプリメントはテストステロンだよ。

でも本当に合法で信頼できるパフォーマンス向上薬はカフェインだけなんだ。そうだね、カフェインは合法的な薬物として受け入れられていて、アスリートやプロスポーツでも合法だよね。誰もそれを止めることはできない。でも、基本的なことを超えて、良い栄養というのは、議論の余地はあるけれど、科学オタクとしては研究に基づいて考えるよね。でも魔法のような薬はないんだよ。

僕がすぐに学んだことの一つは、体重を減らしてフィットネスを向上させようとしたときに、少ない食事とハードなトレーニングが答えではなかったことだよ。それが答えじゃないんだ。

そうだね、僕もそうは思わない。ハードなトレーニングをして食事を減らすという考え方は、瞬間的な満足を求める道だと思うんだ。そしてもちろん、できるだけ早く結果を出したいと思うのは普通のことだよね。だから、カロリー制限と運動量を増やすことは間違いではない。でも、僕個人としてはダイエットやカロリー制限の文化はあまり好きじゃないんだ。アスリートにとっては長期的に見て健康的ではないと思う。それはボディイメージにとっても健康的ではないと思うんだ。確かに、体重に対するパワーの比率は特定の競技では非常に重要だけど、カロリー制限が鍵ではないと思う。良い、安定した栄養が鍵なんだ。そしてそれは個々人によってすごく変わることも認識しなければならないんだ。本当に栄養にこだわりたいなら、自然療法士に行ってホルモンのパネルや腸内分析を受けるべきだよ。何を吸収して何を吸収しないのか、アレルギーや感受性を理解することが大切だ。それは一生続くことかもしれないよね。

もちろん、基本的なことはあるよね。精製された砂糖を避けるとか、少なくとも制限することは簡単なことだよね。でも、カーニボアダイエット、パレオダイエット、アトキンスダイエット、カロリー制限、こういったものはアスリートにはあまり勧めないんだ。僕は栄養士ではないから、本格的なアドバイスは控えたいけど、僕が指導している分野では、世界クラスの基本を大事にしていて、栄養もその一部だと思うんだ。栄養に関する世界クラスの基本は、結構シンプルだと思うよ。

例えば、水を十分に飲んでいるか?というのは、誰にでも簡単に聞ける質問だよね。僕の場合、パフォーマンスのためのトレーニングをしているわけではないけど、1日の水分摂取量のほとんどはコーヒーからなんだ。それはパフォーマンスを目指すなら、長期的には良くないよね。

でも、カフェインが入っているじゃないか、ジョエル。

まあ、それが言い訳になるんだ。だって、ほとんどが水だからね。でも、現実的には、もし僕がトレーニングに本気だったら、BCバイクレースをもう一度やるとしたら、コーヒーを絶対にやめることはないけど、水分摂取量は確実に増やすだろうね。そして、慢性的に脱水状態のアスリートや、アスリートだけでなく、常に脱水状態の人々にとっては、水分摂取を増やすだけで、大きな変化をもたらすかもしれない。

僕も家でコンピュータの前に座って何か書いている時に、ふと時計を見ると午後4時で、『今日、水を一杯でも飲んだかな?』って思うことがあるんだ。

その通りだね。僕も同じようなことをしてしまうよ。だから、今話していることはマージナルゲインについてだ。その少しずつの改善が積み重なっていくんだ、特にそれを続けることができれば。そして、僕たち二人とも、『昼食前に1リットル、昼食後に1リットル、そして夕方に1リットルの水を飲む』って決めて、1か月間それを実験してみたら、たぶん10歳、いや、15歳は若返って見えるかもしれないよ。

僕のルールは、モンスター(エナジードリンク)を飲む前に、必ず2本の水を飲むことだよ。だから、もし1日にモンスターを3本飲むとしたら、それに加えて6本の水を飲むことになる。結構いい感じだろ?

悪くないね。そして、モンスターもほとんど水だから、実際には1日に12本の水を飲んでいるようなものだよね。まあ、カフェインでその水分をすべて排出してしまうことを無視すれば、だけどね。でも、論理は理解できるし、それには賛成だよ。

他に何か特に話したいことはある?

いや、特にはないよ。ただ、外に出ておしゃべりするのは楽しいと思うんだ。僕の意見では、サイクリングやスポーツは楽しむためのものだと思うんだ。情熱を追求することで学べる貴重な人生の教訓はたくさんあるけれど、一番大事な教訓は、僕にとって運動が薬であるということだと思う。それが僕がサイクリングをする理由だし、ホッケーをしたり、ダートバイクに乗ったりする理由でもあるんだ。だから、アマチュアでもエリートでも、サイクリングやトレーニングを仕事としてではなく、薬として考える必要があると思うんだ。

そういう心構えがあれば、もっと遠くまで行けるだろうし、最近聞いたフレーズなんだけど、『もし歩くことが本当に楽しいなら、より多くの目的地にたどり着くことができる。でも、目的地だけを目指していると、あまり遠くまで歩かないかもしれない』という言葉がある。アスリートとしても同じことだ。エリートであれアマチュアであれ、10歳であれ30歳であれ、それは関係ありません。それは同じマインドセットです。バイクに乗る目的が少しでも明確になることで、乗っている時の満足感が増すんだ。最終的には、それが私にとっての楽しみなんだ。

あなたが言っていた運動が薬であるという話が好きです。なぜなら、私にとってもそうですが、大多数の人にとって、どんな種類のライディングをしているにせよ、一番気分が良い時っていつだと思う?それは、ライドが終わった直後。

全くその通りで、僕はまるで子犬みたいだよ。もし僕をを外に連れて行って走らせてくれないと、ソファを噛んだり、床におしっこをするだろう。悪い例えかもしれないけど、私にとっての現実は、運動が私の薬であるということだよ。家にいる時、私の頭は常に動いてる。常に何かを考えてる。仕事のことを考えていたり、家族のことを考えていたり。それらは全て良いことだけど、頭が一番クリアになるのは運動している時なんだ。必ずしもサイクリングである必要はないけど、先ほど言ったように、私がコーチしているアスリートたちも、トレーニングしている時が一番幸せなんだ。ハードワークだけど、それでも彼らは幸せで笑顔だ。それが本当の価値だと思うよ。

コーチングの世界でも、たとえここでなくても、異なる意見があるのではないでしょうか。

全くその通り。例えば、私は『顎を引いて、肘を上げろ』と言う。そして、例えばベノワ・コランジュを思い浮かべてみて。ワールドカップダウンヒルを観ると、ベノワ・コランジュは肘を下げて、少しかがんでいるよね。

彼は20フィートの身長がありますからね。

そう、その通りです。でも、ジー・アサートンもそう。そして、彼らは成功している。だから、誰も反論できないよね?

さて、皆さん、今回の『The Pinkbike Podcast』はここまでです。Blueprint Athlete Developmentのジョエル・ハーウッドとのエピソードでした。皆さんが何か一つでも学べたなら嬉しいです。次回もお楽しみに。