細田版「時をかける少女」の主人公役、仲里依紗が、その後実写版でも主役を演じているという情報に接して、1983年版の原田知世主演の角川映画を見た30数年前の記憶が蘇ってきた。
たぶん、併映の「探偵物語」を期待して見に行ったのだと思うが、原田知世のまっすぐな素人っぽさが印象的だったのと、ラストでの上原謙と入江たか子のお二人のにじみ出るような表情が圧倒的にエモーショナルでむしろこのシーンに心を奪われてしまった。
Wikipediaを検索してみると、大林監督が本当に愛情込めて大切に撮ったんだなと思わせるインタビュー記事の抜粋を見つけた。
角川春樹もベタぼれである。
一方、原田知世は自分の初の主演映画を複雑な思いで受け止めていたようだ。
ここまで読んで、ついに懐かしさがこみ上げてきてAmazonで324円でレンタルしてみてしまいました(^o^)
ああ〜、大林映画だぁ〜。昭和の尾道、竹原の風景が、ほんとに生活感をもって刻み込まれている映像。まだバブル前の日本の地方都市って、こんな感じだったんだなあと。
そして大林監督がほんとうに原田知世という「原石」を大切に扱っているのが映像から伝わってくる。本作を撮った当時の大林監督の年齢をこちらもとうに超えてしまったので、昭和映画の質感を大切に抑えながらフィルムを構築されたことが伝わってくる。そして後半の特殊効果の嵐!当時まだデジタル加工やVFXなんてなかったと思うのだけど、大林監督にとっては得意な分野だったのだろう、本当に今見てもこの特殊効果の奔流はどこか懐かしさを感じさせるものの説得力のある名場面だ。
あとは、相手役の高柳良一氏は「棒読みで良い」と指示されたとのこと。ヒロインの素人っぽさを際立たせないため?でも、ラストで ”未来に一緒に連れて行ってほしい” と涙を流す原田知世にあの時代の元祖オタク(まだオタクという言葉は一般的ではなかった)たちは心を奪われてしまったのだ。
40年近く経って見返してみて、本当に角川と大林の「脚長ならぬ胴長おじさん」二人が原田知世にプレゼントした愛の結実なんだなあと実感。
そして最後に入江たか子さんの絶妙な表情にまたも心を奪われる。大林監督は同じ尾道が登場した小津安二郎監督の「東京物語」をリスペクトしたのだろうか。若い役者たちの体当たりの演技とのバランスをとるような、大ベテランならではの味わい深いシーンだった。
ということでYoutubeで映画のエンディングそのもの見つけました。
こちらはユーミンの音声PR用で35秒のみ。さすがの余裕たっぷりの歌声。
こちらは2017年の原田知世35周年ライブから、アダルトな彼女も良いね。