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ピンチをチャンスに変える演出力

オンラインを余儀なくされた会社合宿

4月9、10日、今年は熱海を予定していた会社合宿。
コロナの影響でキャンセルせざるを得ない状態であった。
これまで半期に1度1泊2日で行っていた合宿をどうにかしてリモートで実施しなければいけなかった。合宿の位置づけは、20人強のメンバーに丸々2日間も時間を割いてもらうので当然ハイプライオリティの行事である。

合宿の目的は、

・会社の経営や事業の戦略の話
・個人のVisionの探究
・社員同士の交流(ボンディング)

これらを自宅から業務を行っている中でどのように実現するか。
リモートHow toは様々な企業がリモートワークに入ってから良く発信するし、優れたアイデアもそちらにあると思うので、今回は触れないが、僕たちは最終的に3日間に細く分けてプラスして1.5時間のオンラインでの歓送迎会を組んだ。

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初めてのオンライン全社会議の様子 🖥

先ほども触れたが、合宿の重要な役割の一つにボンディングがある。3-4年前のNEWPEACE(=以下NP)では、スナックで飲みながら、めいいっぱい各々が大好きな曲を歌って騒ぐというのが恒例だった。お酒を飲まない人も多くなった今でこそ、スナックではなくなったが、要は、重たい話でカロリー高めの時間を過ごしたのち、解放感を一緒に味わい、公私にかかわらず、お互いを理解を深めて親密になる時間であった。

この体験をどうやってオンラインで実現するか。
Zoom飲みが流行ったが、単に20人弱をオンラインでつなぎ、各々が飲食をするだけで、同じような体験ができるとは、到底思えなかった。オンラインでもできるゲームのようなコンテンツを入れるのも、ちょっと違うなと悩んでいたのだが、そのヒントは、小池都知事の週末外出自粛要請直後に開かれた全社会議の時にあった。

全社会議前日、在宅勤務へ

NPでは、毎月末に、Vision Meetingなる全社会議、その後、お互いの労をねぎらうごはん会(Family Dinnerと呼ばれている)を実施している。3月末も、「ごはんとおとも」という、おにぎりとおばんざいのケータリングを依頼していた。

「ごはんとおとも」代表のえーちゃんこと橋本英治との出会いは、友人の会社の周年パーティーである。そこでおにぎりを握っていた彼の笑顔がとにかく良くて、話しているうちに意気投合。彼らの出るイベントに遊びに行くようになり、自然と仲良くなった。

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「ごはんとおとも」代表 えーちゃん 🍙

そんなえーちゃんが、3月に入って仕事が全部キャンセルになったらしい、という話を聞き、「それなら3月末のFamily Dinnerをお願いしよう!!」ということで、依頼していた。

が、そんな中の外出自粛要請(3月25日)。NPでも、翌26日に朝イチで緊急会議を開き、その日から在宅勤務が始まった。

(案件が飛んじゃったから、少しでも仕事になればと思ったのに、このままでは、うちも同じことをしてしまう。しかもドタキャン…)

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えーちゃんに電話をしたら、この状況では仕方ない、食べ物は自分たちで食べられるので大丈夫ですよ!と言ってくれたのだが、準備の状況を聞いたら、おばんざいは前日から仕込むので、ほぼできてしまっているといういう(当たり前だ)。損失になってしまうのは明らかだ。

僕も農家の孫である。食べ物を粗末にするなど言語道断。

困っている友人に、中途半端な善意で追い打ちをかけるようなことはしたくない。食材のロスも絶対に出したくない。できることを必死で考えて浮かんだのは、在宅勤務になったメンバーの自宅に、僕が食事を届けるという案であった。

全社ミーティング終了後20時から全員の家は物理的に無理だが、できる限りやるしかない。今発注している人数分は配りきることでその分のお金も払えるし、配送費用や車両代、ガソリン代、人件費も払う、安全対策も取るので、僕と一緒に配ってほしいとお願いしたら、えーちゃんも承諾してくれた。

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えーちゃんの協力してもらった some EATS 3/27 🚙

訪問先の住所をgoogleマップで作り、最適なルートを割り出して、slackで実況中継しながら、都内をドライブした。
えーちゃんに迷惑をかけたくないという思いだけでやったことであったが、様々な学びがあった。

・外出自粛環境下で美味しい食べ物は最強
・離れていても、みんなで同じ物を食べるという体験は一体感を生む
・配達の実況中継は盛り上がる
・家族の分も用意するとすごく喜ばれる

なにより、未曾有の状況に挑む前に、みんなの顔が見られた、僕を通じて仲間の状態を伝えられたこと、えーちゃん自身が楽しんでくれたことがよかった(行く先々で、お礼もたくさんもらった)。

ホンキのボンディング

話を戻すのだが、偶然生まれた一夜限りのsome EATSをベータ版として、4月のNEWPEACE CAMP後の歓送迎会は本気で行われた。料理を今回は誰にお願いしようか、と考えた時にすぐに頭に浮かんだのは、NEWPEACEから分社化した6curryでシェフをしてくれている、ケイゴさんであった。6curyも、ごはんとおとも同様、3月26日からEBISU/SHIBUYAの両KITCHENを休業にせざるを得なかった。(そんな6curryが6月24日に再開!

シェフとして関わってくれているケイゴさんも、店が営業していなかったら仕事ができない。

いつも笑顔が絶えず、みんなにやさしい挨拶を毎回してくれる、良きお兄さん。6curryのカレーを特別価格で食べられる福利厚生制度「6curryのやさしさ」の生みの親。毎日、お昼ごはんをお世話になっていた。そんなケイゴさんと、一緒にこの危機を乗り越えたい。

「ケイゴノホンキメシ」という企画名の通り、メンバー全員に加え、その家族やパートナー、同居人の分まで、合計36個の本気のお弁当を、2日がかりで作ってくれた。そして今回は、メンバー全員に配送すべく、コーポレートチームメンバーでもあるCOOのakioにもお願いして、僕とケイゴさん含めて3台で配送することにした。

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ケイゴノホンキメシ 4/17 💪

また、この会のコンテンツとしては、3月いっぱいで卒業したインターンのjin、3月頭からジョインしてくれたインターンのyukaの歓送迎会をNEWPEACE史上初、オンラインで開催した。

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jin最終出社日 3/31 、yuka インターンジョイン 🌸

実家と一人暮らしの住所を間違えるトラブルもあり、先にホンキメシをゲットしたメンバーが、宇宙船のランデブー中継かのごとく、お弁当の配達を見守ることになったのも、良い思い出になった。

全員分届けて、みんなの状態、全体の雰囲気がすごく良いなというのが、手に取るようにわかった。

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この日はみんなが温かい気持ちになれた一日だった 🤗

その日の夜、ケイゴさんからのみんなへメッセージがあった。

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ケイゴさんからのslackでのメッセージ 🙏

僕らは、美味しいご飯を食べさせてもらっただけ。めちゃくちゃ頑張って美味しいご飯を作ってもらって、配送まで手伝ってもらって、感謝するにはこっちなのに、「今回は、NPのやさしさ」、とても嬉しかった。

結果的に、平時の合宿のボンディングに負けないくらい、貴重で有意義な時間を過ごすとができた。

何人かとは話したのだが、会社の歴史に残る1日になったと思う。大げさかもしれないが、コロナと相まって、一生忘れないであろう思い出にもなった。
記念にこっそりケイゴさんの手書きメニューを額に入れてオフィスに飾ってある。

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額装してオフィススペースの壁に飾ってある

3ヶ月ぶりのオフライン全体会議

非常事態宣言も明け、明日(6月26日)は3ヶ月ぶりにオフラインの「Vision MTG」がある。今回の、「Family Dinner」も友人に頼った。大学時代の友人で、今は、ECケータリング事業のマンチーズケータリングを展開する株式会社nonpiのしゅーこと上形秀一郎。(大学時代バカなことばっかりやっていたのに、今や取締役副社長!)ケータリング事業の方には、これまたサークル友人のちょるくん(盧徹圭_ロチョルギュ)も一緒に働いている。非常事態宣言後、ビッフェスタイルから小分けパッケージを開発し、提供している。このチューニングを超速でやるのは、なかなか痺れる仕事だったらしい。

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3ヶ月ぶりのFamily Dinner powered by マンチーズケータリング

コロナ禍で、僕たちの働き方は一変した。一歩も外に出られない、というような極端な状況がまた訪れるかはわからない。some EATSもホンキメシも、1回こっきり、幻の企画になるかもしれない。ただ、これからは、オフィスの役割は確実に変わる。誰かとコミュニケーションが取れる場所、行くだけで気分が上がっちゃう場所、みたいな要素が必要になってくるだろう。
その一つのコンテンツに「食事」は必ず入ってくる。コーポレートスタッフとしての経験がまだ短い僕にとっても「美味しい食事最強説」は、鉄板の持論である。今回、緊急事態環境下で、僕たちが結びつきをを失わずに済んだのは、「食事」×「ストーリー」というコンテンツのおかげなのは間違いない。美味しいものを仲間と食べる、楽しい会話が弾む。これまでは考えられなかったようなことが、オフィスに行く理由になるかもしれない。

これから組織に求められるもの

リモートワークが浸透すると、メンバーのコミュニケーションが減り、チーム感や一体感などは薄まっていくと言われる。自分たちだけで解決しようとしたら、多少工夫しながらzoom飲みをするくらいのことはできる。だが、それがコロナ禍前の体験を超えることはないだろう。

合宿や全社会議での、貴重な機会を失ったNEWPEACEという会社と同じく、お世話になっている人が、仕事ができず困っている、昔からの友人が事業を存続させようとふんばっている、みんなと会えずに不安な状態でも責任を全うしているメンバーがいる。

大切にしたい人たちにとって良いことは何か。それを一番に考え、様々なピースをどのように組み合わせて、みんなの心を揺さぶるものを作り上げるか。NEWPEACEのメンバーだけでなく、えーちゃんやケイゴさん、しゅーやちょるくんのような人たちと、どうやって厳しい状況を乗り越え、新しい信頼関係を築き、未来を一緒に創っていくか。

前回のnoteで「働き方が変わるなら当然、コーポレートの役割も変わっていかなければならない。」と書いた。具体的な役割の一つに、イベント演出があると思う。節目のタイミングで、いかにストーリーを作れるか、それが、関わったみんなのストーリーとして拡がっていくか。

一生に一度のピンチの時には、一生に一度のストーリーが生まれる。ピンチはチャンス、である。

確かな目的があれば、往復2時間かけてお弁当ひとつ届けることが、立派に仕事になる。

「やりたいこと」は偶然だが、「やれること」は必然である。僕はその「やれること」をできる機会があることに感謝しながら

今日もおかげさまに生きていく。


▼NEWPEACE 

NEWPEACE note マガジン

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