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パーソナルトレーニングにおける事故(筋トレトラブル?)が増えていることについて

こんにちは。
東京、埼玉、岐阜でパーソナルトレーニングジム「Sharez」を運営している岡崎秀哉(@hide_sharez)です。

先日、パーソナルトレーニング業界にこんなニュースが流れてきました。
「筋トレ個別指導で重傷事故相次ぐ、専門知識ないトレーナーも…相談者の9割女性」と言ったものです。
ニュース記事はこちら↓↓

昨今、トレーニング中の事故についてはチラホラ記事などで見かける機会が増えてきました。
しかし、今回は単発のニュースではなく、消費者庁への相談件数が増えたことで、消費者安全調査委員会(消費者事故調)が実態調査に乗り出すということで、これまでとはスケールが違う話です。


1.報道リアリティショーAbema Primeに出演

この件について、AbemTVでも取り上げていただき、僕も番組でコメンテーターとして発言させていただきました。

Abema Prime

安藤美姫さんや元SKE柴田阿弥さん、平石アナウンサーにやや圧倒されていますが。。。
番組の動画はこちら↓↓
https://youtu.be/SFAN78tnzs4

動画の話と重複する部分もありますが、この件について、改めて個人的な見解をまとめてみようと思います。

2.なぜこのような事故が増えているのか?

まず増えているよう要因として、そもそも、パーソナルジム、パーソナルトレーナー、それを受けるお客様が非常に増えている状況なので、事故の確率がゼロでない以上、相談件数が増えていることはイメージできるということです。
これはパーソナルトレーニングだけに限らず、同カテゴリーのフィットネスクラブ、高齢者向けジム、無人の24時間ジムなどでも事故は少なからず起きています。
取り上げられている事故は目立つ例だとは思いますが、こういった事故が起きる要因として考えているのは、1つは「人的な問題」、もう1つは「環境の問題」、最後に「サービスの問題」だと考えています。

2-1.人的な問題

人的な問題については、多くの方が指摘されている通り、資格がなくても、トレーナーと名乗れば仕事ができてしまい、知識や経験が不足しているパーソナルトレーナーが存在していると言うことです。
適正な目標設定、正しい身体評価、動作評価、ウォーミングアップ、動作修正、可動範囲、トレーニング強度、トレーニングボリュームで行っていればケガの確率はかなり低いと思います。
一人一人お客様の身体や日々のコンディションは異なるので、それらの知識が不足していればケガのリスクが高まります。
とはいえ、事例として紹介されている、骨折や過度な食事制限などはなかなか想像し難いレベルなのでよっぽどだとは思いますが・・・

2-2.環境の問題

環境の問題としては、マンツーマン、あるいは個室で行われることが多く、指導者もお客様も事故のリスクについて気づきづらかったり、外から見てそれを指摘する人がいないと言うことです。
僕自身も完全個室のジムをお手伝いしていた時代がありますが、個室の中で想像していなかったトレーニングのトラブルが起きていた記憶があります。
また、昨今はレンタルジムも増えているので、個人のパーソナルトレーナーとお客様とのセッションも個室で行われるケースが多い状況です。
ちなみに、ここまでパーソナルトレーニングが流行る2010年代以前はフィットネスクラブでのパーソナルトレーニングの方が主流であり、多くの人がいる中でパーソナルトレーニングを行うケースが多かったです。

2-3.サービスの問題

サービス的な問題というのは、短期集中型であったり、2ヶ月○十万円などの高額なパッケージの場合、トレーナーもお客様も成果を出すことに意識が向きすぎてしまい、安全面や健康面への配慮が欠けてしまう可能性があると言うことです。
実際に僕も指導する中で極端な食事になってしまうお客様がいらっしゃり、それによる健康面のリスクを伝えたり、体脂肪を燃焼していくためのメカニズムを改めて説明することで軌道修正したことがあります。

こういった理由から、パーソナルトレーニングにおける事故や健康被害が起きる可能性は考えられますが、これらはあくまで相談件数が増えているということであり、母数であるパーソナルジム、パーソナルトレーナーが増えている中で、割合として増えているのかは謎です。

3.パーソナルトレーニングにおける事故を減らすには?

上記で示したように、事故の割合が増えているかは謎ですが、事故が起こらないにこしたことはないので、防ぐにはどうしたら良いかを検討していきます。さらに、相談するに至った背景を想像したり、事前説明がなかったみたいな相談内容もあるので、「もし事故が起きた場合、どうするか?」についての対策も甘い可能性があります。

3-1.トレーナー・ジム側が事故を減らすためにできること

事故を減らすには、トレーナー・ジム側の対策はもちろん、トレーナーを選ぶお客様も気をつける必要があると思っています。
第一にこういったニュースを見て、改めてトレーナー・ジム側が自分たちの安全管理について見直すことです。指導の中で危険なシーンはないか、マシンのメンテナンスはしっかり行えているか、他社はどうしているのかを調べたりし、見直し、改善が必要な部分については対策をとるということです。自分は事故を起こしていないから良いではなく、今後も起こさないために、より安心してトレーニングを受けていただくためにできることはないか?とアクションする必要があります。
また、トレーナー・ジム側の対策として、パーソナルトレーニングジムを開業するにあたって、最低基準となる指標を設けるのはいかがでしょうか?
器具の配置であったり、お客様の導線であったり、床の構造であったり、安全な環境が保たれているかをチェックし、開業の認可を出すといったイメージです。そしてそれらに更新制度を設けるイメージです。
これは大きな規模のフィットネスクラブのカテゴリーでいうと、FIA(日本フィットネス産業協会)と言うものがあり、基準を満たしたジムを加盟ジムとして認定し、安全や品質の担保を行なっています。
FIAへの加盟の基準は、例えば

・AEDの設置及び想定される対応者(スタッフ)の訓練
・24時間ジム等、無人施設に於いては十分な監視システムや緊急対応フローの徹底
・適切な会則の元に、遵法的な運営がなされている
・入退会、休会等に関する規約の明確な提示
・不当景品類及び不当表示防止法に準拠した広報・広告などの販促活動の実施

FIA(日本フィットネス産業協会)https://fia.or.jp/

といったものです。
これは主に、フィットネスクラブや24時間ジムに合わせた内容になっているので、これのパーソナルトレーニングジム版を作る、というイメージです。
しかし、これではレンタルジムなどで活動するトレーナーはどうなるの?であったり、自宅出張の場合はどうなるの?といった例外が出てきます。
また、パーソナルトレーニングと一言にいっても、これだけ母数が増えるとニーズも多様化しており、ダイエット、ボディメイク、姿勢改善、肩こりや腰痛の改善、スポーツのパフォーマンス向上など、様々な種類が存在していますし、それぞれに応じてジム内にある器具や行われるトレーニング、手技などサービス内容も異なります。
ですので、それらを網羅する基準を作るというのは難しい気もします。

そういった意味では、やはり、まずはそれぞれのジムやトレーナーが、自分たちの安全管理やお客様への健康への配慮という点を見直し、さらにそれらに意識を高めて活動していくことが早急に求められると思います。
具体的には、上記で示したように

・適正な目標設定がなされているか?
・既往歴はあるか?それに対してのリスク管理はできているか?
・お客様の体調や心理状態の確認はできているか?
・正しい身体評価や動作評価がなされているか?
・それらに応じた適切なウォーミングアップが行われているか?
・正しい動作修正が行われているか?
・安全に配慮した可動範囲で行われているか?
・トレーニング強度は適切か?
・過剰なトレーニングボリュームではないか?
・生理学や栄養学を踏まえ、無理のない食事アドバイスか?
・お客様の食事への取り組みは過剰ではないか?

などのソフト面と、

・トレーニング器具の使い方は正しいか?
・トレーニング器具は故障などないか?
・セーフティバーやクリップはしっかりつけているか?
・ベルトやパワーグリップなどは正しく装着されているか?
・動線やマシンの間隔は安全か?
・室内の温度や湿度は適切か?

といったハード面の配慮が必要です。
これらを確認できていれば、事故のリスクはかなり下げられると考えているので、これらを頭に入れてサービス提供できるよう、弊社Sharezとしては

・初期研修を入念に行う(1ヶ月-1ヶ月半、多分他社より長いと思います)
・デビュー前に一般の方をお呼びしてのセッションシミュレーション(トレーナー同士の練習だけでなく、一般の方をお呼びしてセッションのデモを行います)
・毎月のスキルチェック(僕が実際のセッションを見学しフィードバックや必要に応じて追加研修を行う)
・毎月の1on1ミーティング(お客様の状況の確認や、トレーナーが不安視している点を伺い必要に応じて追加研修を行う)
・個室ではないので、危険に対して周りが気づくこともでき、周りに相談もできる

といった対策をとっています。
また、短期集中型のジムではないので、自分のライフスタイルや適正な目標に向けて長期的に取り組む方が多く、短期間にハードに取り組むお客様が少ないというのもある気がします。

3-2.万が一事故が起きた場合の対応

次に万が一事故が起こった場合の対応についてです。
お客様が相談に行くにあたって、事故が起きた場合の対応が悪く相談に至っているケースもあると思いますし、事故が起きる確率をゼロにはできないので、それに対しての対策は必ず必要です。
入会時にお客様が安心して入会できるように「万が一の際にはどのような対応をするか」を説明したり、入会規約に明示する必要があると思います。
また、アクションとしては、応急処置のスキルを身につける、AEDの使用方法を把握する、設置場所を把握する、近くの病院を把握する、などの対応が必要になると考えられます。
弊社Sharezとしては、

・ジム周辺の近隣のAED設置場所の確認
・救急箱の設置
・施設賠償責任保険への加入
・サービス内容や入会規約の説明の徹底

といった対策を準備しています。
正直、応急処置を各トレーナーができるように研修を受けてもらう、などの部分は甘いところがあると思うので、今後の課題です。
その他、フリーランスのトレーナーの場合は、賠償保険などに個人で加入しないと万が一の際に保証されません。しかし、僕が知る限りおそらくフリーランストレーナーの保険加入率は低いと考えられます。

3-3.お客様側が事故を減らすためにできること

お客様側の意識を変えることでもこういった事故を未然に防ぐことができると考えています。
ジムやトレーナーを選ぶ際に、金額が安い、家から近い、などだけで選ぶのではなく、サイトの情報をしっかり見て疑問点を事前に確認したり、いくつかのジムやトレーナーに体験やカウンセリングに行って頂き、比較検討した上で選んでいただきたいです。
「ジムやトレーナーの良し悪しなんてわからない!」と思う方もいると思いますが、3人のトレーナーのトレーニングを受ければ三者三様ですし、それぞれ良し悪しや優先順位はつくのではないかと思います。
また、同じ質問を3人にしたときに、回答はそれぞれ微妙に違うと思います。一番自分の中で信頼できる、納得感のある回答をしてくれたトレーナーやジムにする、であるとか。
また、基本的に消化していないトレーニング料金は返金してもらえますし(消化の期限や規約によってはできない場合もあり)、疑問に思ったことは開始後でも素直に質問してみることをオススメします。

パーソナルトレーニングが安全に健全に広がっていくよう、まずは自分たちが改めてお客様の安全や健康に改めて配慮するとともに、今後もこういった啓蒙を発信していきます!

この件について疑問、質問などございましたらお気軽にご連絡ください!


ありがとうございます!サポートして頂いた金額は、さらなるレベルアップに使わせて頂き、良いものをアウトプットする事で還元していきたいと思います♪