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日本パーソナルトレーニングの歴史【流行とその理由に関する考察】

こんにちは。パーソナルトレーナーの岡崎秀哉です。

今や日本、特に都内ではブームと言っていいレベルで普及した「パーソナルトレーニング」というサービス。
かくいう僕もパーソナルトレーニングジムを経営している訳ですが、

「日本のパーソナルトレーニングの歴史」

「パーソナルトレーニングが流行っている理由」

ここについて触れている方は意外と少ないのではないでしょうか?
僕は、自分のやっている仕事の歴史とかに興味を持ってしまうので、つい調べたり、考えたりしてしまいます。
実は、筋肉芸人「なかやまきんにくん」がYoutubeにてパーソナルトレーニングブームについて語っているのですが、ちょっと足りない情報があるので、今回の記事にて補足します。

もちろん全ての情報が出回っている訳ではないので、僕の推測も含みますので、そこはご了承下さい。

また、これらについて僕が語る上で、経歴として

・パーソナルトレーナーとして活動(2012年-現在)
・RIZAP創業時に関わってきた(プログラム開発、トレーナー教育の仕事、2012年-2013年後半)
・FiNCのアーリーステージに関わってきた(アドバイザーの仕事、2013年-2015年)
・高級フィットネス、リッツカールトン東京でトレーナー活動(2014年)
・パーソナルジムの立ち上げ数社
・ヘルスケアアプリのお手伝い数社
・ベテラントレーナーさんとの交流

などが挙げられます。

さて、それでは、
どのようにして、日本ではパーソナルトレーニングが普及してきたのか?
解説していきたいと思います。

追記:日本のフィットネス業界の歴史について語った動画はコチラ👇

恐らくですが、バブル期にいわゆる総合型のフィットネスクラブがかなり増えたので、1990年くらいは日本国内にジムがかなり増えていたはずです。(コナミ、ティップネス、セントラル、ルネサンス、メガロスなどの大手)

そのフィットネスクラブの中で一部パーソナルトレーニングが行われていたと聞いているので、「日本のパーソナルトレーニングのスタートはいつ?」と言われたら、1990年くらい、という事だと思います。
また、フィットネスクラブ以外でも、高級ホテルや会員制ジムではパーソナルトレーニングが行われていたと思います。
当時は、フィットネスクラブでは、社員の一部が資格を取得し、パーソナルトレーニングを行い、1時間1500-2000円だったと聞いたことがあります。
今考えると激安ですが、当時はパーソナルトレーニングも普及していないし、社員が行う感じだったので、既存会員の満足度を高める付帯サービスという位置付けだったと推測されます。
ただし、高級ホテルや会員制ジムでは、高単価のサービスが行われていたと考えられます。(僕もリッツカールトンでトレーナーをしていましたが、15,000円-20,000/時くらいの料金でした)
1990年代は、まだパーソナルトレーニングは一般的なものではなく、認知度もかなり低い状態だったと思います。一部のアスリート、富裕層が受けている状態です。

その後、バブルが崩壊(1991年-1993年)し、90年代の日本は不況でしたから、フィットネス業界も停滞したのではないかと思います。
2000年のネットバブルにより、様々な情報が海外から入ってくるようになり、ジムも多様化しました。
ヨガやピラティス、ランニングブームもこの辺りからです。
この辺りが、日本のパーソナルトレーニングの本格スタートなのではないでしょうか?

日本のパーソナルトレーニングの歴史を、目立つジムを絡めて紹介していきます。ざっくりこんな流れです。

2001年 → トータルワークアウト
2006年 → Shapes
2007年 → 吉川メソッド
2012年 → RIZAP
2012年 → 24/7workout

トータルワークアウトの始まり

2001年、アメリカで活動していたケビン山崎氏が日本に1号店を設立。
「著名アスリート、芸能人が通うジム」「パーソナルトレーナーをつけるジム」というイメージが強く発信されていました。

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ケビン山崎氏。この見た目もキャラクター化しています。カリスマトレーナーの走りといって良いでしょう。清原和博選手、斎藤佑樹選手、中田翔選手など著名スポーツ選手、芸能人などのトレーニングを担当。
2010年にフィットネス業界で就職活動をしていた僕にとって、パーソナルトレーニングといえば、トータルワークアウト、というイメージでした。

Shapesの始まり

1990年代からトレーナーとして活動していた尾関紀篤(おぜきとしあき)氏が創業者。Shapesのスタートは2006年渋谷からでした。2008年からフランチャイズ展開により店舗を拡大していきました。
2015年に、創業者である尾関氏とフランチャイズ展開を進める会社とでトラブルになり、裁判に発展。結果双方は分裂し、尾関氏は「Shapes」の名で自身でジムを経営し、フランチャイズ展開していたジムは「リボーンマイセルフ」と名前を変えています。

吉川メソッドの始まり

吉川氏はもともとグラフィックデザインの仕事をしており、知人がダイエットジムで痩せたのをみて、自身で開業を決意。2007年に名古屋のマンション一室でスタートしたとされる。
その後、2009年にTVで取り上げられた(初恋タロー、チュートリアル徳井、など著名人のダイエット企画で話題に)のをキッカケに一気に知名度を上げ、MAX1000名の予約待ちがあったそうです。

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恐らく話題になったキッカケは初恋タローのダイエット企画。これを機に、様々な芸能人が様々なジムでダイエット企画をする番組が増えました。

RIZAPの始まり

RIZAPはもともと「健康コーポレーション」という上場している通販会社です。2012年のRIZAP開始時点で売上150億円程ある会社でした。
代表の瀬戸社長が、吉川メソッドのジムに通い(恐らく2010年)、サービスとして魅力的だと感じ、自身でも短期ダイエットジムサービスを展開しようと2012年にスタートしました。2011年に中野のマンションで社員がモニターとなり、テストトレーニングをスタートし、2012年原宿1号店をオープン。

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初期の広告がこちら。実はモニターになっているのはRIZAPの前身「健康コーポレーション」の通販事業の社員さん達。まさに会社を挙げた新規事業であった。
その後、ターゲット客層に合わせて、様々な芸能人を起用したビフォーアフターの広告が話題に。

24/7workoutの始まり

実は24/7workoutも元々ネット広告、通販会社です。つまり、RIZAP社とバックボーンはかなり似ています。僕のイメージでは、よりマーケティングに特化した会社だと認識しています。RIZAP社の半年後くらいにスタートしています。RIZAP社のジムがある駅に、少しRIZAP社より値段を落として、どんどん出店していたイメージです。
こちらはビジネスモデルとしては、RIZAP社と類似していますが、広告に芸能人などは使っておらず、Webマーケ、Web広告に力を入れているイメージです。

こんな感じで、次々と2000年代から2010年代にかけて、パーソナルトレーニングジムができてきた訳です。RIZAP社が目立っているので、一般の方からすると、「パーソナルトレーニングはRIZAPが始めたもの」と思っている方もいらっしゃるのですが、こんな歴史がある訳なのです。

○ なぜ流行ったのか?

さて、パーソナルトレーニングって、なぜ日本でこんなに流行ったのでしょうか?
世界的にみても、パーソナルトレーニングがここまで伸びているのは日本だけと言って良いと思います。(海外にも、もちろんサービスは存在し、一定のニーズはありますが、今伸びているという訳ではないです)

1.マーケティング
2.SNS
3.日本人特有の運動への意識

僕はこの3点が、日本でパーソナルトレーニングが流行った理由だと考えています。

1.マーケティング

パーソナルトレーニングが流行りだしたのは、吉川メソッド、RIZAP時代の2010年代前半からです。5年前くらいですね。
2010年頃までは、総合型フィットネスクラブが主流でした。
これらのジムの集客手法は主に、チラシ(ポスティング、手配り)、広告(駅、電車、看板など)です。
つまり、フィットネス業界ではメディアマーケティングがあまり行われていませんでした。ところが、RIZAPなどネット系に強い企業が参入した事で、アフィリエイト、PPC広告、LP、コンテンツマーケティング、リスティング広告などと言った、Webマーケティングで集客する手法が広がりました。
これが一気に認知を広げ、集客に繋がったと考えています。(広告表現の自由度もあると思います)
Webマーケティング×成果追求型、短期集中型、高額商品などの相性が良かったという事だと思います。

2.SNS

フィットネスに最も影響を与えたSNSはインスタグラムでしょう。
2014年に日本語版がリリースされ、これがボディメイク、フィットネスと相性が良く、一気にフィットネスアイコンとなる人が増えました。一般の方でトレーニングをしている方でもかなりフォロワーがいる方がいます。
これもボディメイクブームを支えていると思います。

3.日本人特有の運動への意識

これは僕の独自理論なのですが、日本人の運動への意識はかなり特殊だと思うのです。
ポイントは「学校教育」です。
体育の授業、部活動といったものにより、
「運動はみんなでやるもの」
「決められたものを行うもの」
「下手でも苦手でもやるもの」
「キツイもの」

と言ったイメージが無意識に定着しており、大人になってから、
「自分で1人でジムに入会して、頑張って続けて成果出してね!」
と言われても、成果の出し方も習っていないし、1人でのやり方も習っていない訳です。
運動が大好きで、得意な人くらいしか、1人では継続しづらい状況なのではないでしょうか?
そこに、パーソナルトレーニングがフィットしているのんじゃないかと。
良い意味で、強制的に、日時が予約され、人(トレーナー)が待っており、やり方を教えてくれる。
自分1人で続けること、自分で正しく行うこと、自分でモチベーションを維持すること、と比べたら、楽だと考える人も多いのではないでしょうか。

といった部分が、僕が考えるパーソナルトレーニングが日本で流行った理由です。

さて、今度は「パーソナルトレーナー」という視点で、歴史を見てみたいと思います。
各資格団体のスタートは以下の通りです。
やはり、日本におけるパーソナルトレーニング、パーソナルトレーナーのスタートは1990年くらいである事がわかります。
パーソナルトレーナー向けの資格団体のスタートも1990年くらいです。

1991年 → NSCAジャパン
1994年 → 日体協(現日本スポーツ協会)AT
2004年 → NSPA
2006年 → JATI
2007年 → NESTAジャパン

まとめ

2019年現在を基準にすると、日本のパーソナルトレーニングの歴史は30年弱、パーソナルトレーニングジムが増えだしたのは15年前から、流行りだしたのは、5年くらい前から、という感じが妥当な答えなのかなと思います。
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