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ITエンジニアの平均年収はいくら?〈勤続5~9年のケース〉

様々な企業がDXを推進し、テック系サービスの開発競争を繰り広げている中、ますます採用が難しくなっているのがITエンジニア。
優秀なエンジニアを確保しようと、年収条件をギリギリまで上げ獲得に躍起になっている会社は多くあります。

一方、ITエンジニアの世界では、転職しながらスキルアップするという考え方が強く、最近では数年での転職を想定している新入社員も少なくありません。

そのため、今回は勤続5~9年の日本のITエンジニアでどのくらいの年収になるのかを、厚労省よりリリースされている「令和3年賃金構造基本統計調査」から取り上げます。

対象技術者
・システムコンサルタント・設計者(集計対象1754人)
 システムコンサルタント、ITアーキテクト、PM、SEなど
・ソフトウェア作成者(集計対象9045人)
 PG、社内SE、ゲームプログラマー、CGプログラマーなど

年収は、あくまで転職を考える上での一つの指標(但し結構大きな)でしかありませんが、勤続5年以上でどのくらいの年収になりうるのか?を図る参考材料となれば幸いです。

なお、本統計調査は最新版ながら2021年のデータとなります(調査は2022年に実施)。
2023年2月現在とは少し傾向が変わっている可能性があります。一つの参考指標としてとらえていただければと思います。

① システムコンサルタント・設計者

集計対象:1754人
企業従業員数別平均年収(カッコは対象の技術者数)
・1000人~(981人) 674万7600円(月給38.53万円/賞与212.40万円)
・100~999人(621人) 684万9300円(月給37.73万円/賞与232.17万円)
・10~99人(151人)  484万8600円(月給34.5万円/賞与98.46万円)

1000人以上の会社(大手・準大手クラス)と100~999人の会社の差はほぼなく、100~999人の方が賞与の差で大手・準大手を上回っている

一方、100~999人と99人以下では、特に賞与の差が大きく、年収で200万円以上の開きがある。99人以下の中小零細企業と、それ以上では大きな格差がある実態がある。

また、SE以上の上流をみれる技術者のうち、99人以下の会社での在籍人数は全体の8.6%。規模が大きな会社ほど上流を見れる技術者が集まっている

開発案件の上流(プライム案件)は上流のSEがいる会社に集まり、その会社ほど収益が大きく、結果、エンジニアの年収も高くなる。
IT業界の下請けピラミッド構造がはっきりと存在していることを感じさせる。

② ソフトウェア作成者

集計対象:9045人
企業従業員数別平均年収(カッコは対象の技術者数)
・1000人~(1700人) 565万7500円(月給34.83万円/賞与147.79万円)
・100~999人(4905人) 458万4100円(月給28.92万円/賞与111.37万円)
・10~99人(2440人)  397万6300円(月給28.59万円/賞与54.55万円)

ソフトウェア作成者になると、1000人以上の会社と100~999人以下の会社とで100万円以上の年収差が出ている。

対象従業員は、100~999人が一番多く、次いで10~99人。
ソフトウェア作成者の人数は、社内SEも含めた数にはなるが、いわゆる実装業務は大手・準大手より小規模の会社がメインで担っている構図が見える。

同じ100~999人規模の会社であっても、システムコンサルタント・設計者と、ソフトウェア作成者では年収に200万円以上の差がある。
質の高いシステムは、質の高い実装、プログラミングなくして成り立たない事実がある一方、上流とそれ以外とで大きな差がある現実がある。

まとめ

【システムコンサルタント・設計者】【ソフトウェア作成者】に共通するのは、100人以上の会社と10~99人以下の会社では年収に大きな開きが出ている。

これは、一定規模の会社になるほど上流の案件に携われる、いわゆる「質の高い案件」が出来る機会が多くなる。
開発の対価も大きくなることで年収にも反映されることがうかがえる。

情報系技術者として年収を大きく上げていきたいのであれば、上流のスキルを身に付けることが大きなポイントになる。

特に、1000人以上と100~999人のシステムコンサルタント・設計者では待遇はほぼ差がなく、上流のスキルがあることで、大手企業でなくとも高い市場価値が備わることを表している。
キャリアアップを目指すのであれば、一定の実装経験を積んだのち、はやめに上流を経験することが大切であろう。

一方、仕事のやりがい、向き不向きの面で、PGのような実務を希望する技術者も多い。

前述したように、質の高いシステムは、質の高い実装がなければ成り立たない。ソフトウェア作成者はなくてはならない存在であり、腕のあるPG人材の需要は今後もなくならない。
実際、腕のあるPGの中には、独立して個人で仕事を獲得。仕事の依頼が常に無くならず長く活躍しているエンジニアもいる。

年収だけでなく、技術者としての働き甲斐、志向性も考慮して、今後の進路を検討することが良いでしょう。

最後までお読みいただき有難うございました。

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