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「アラジン」実写版とオリジナル版の感想。

アラジンを、実写版→オリジナル版の順で見たので、その感想を書きます。
どちらも見るのは初めてだったのでワクワクしながら見ていました。

実写版アラジンの感想

オリジナルは、昔歯医者の待合室で部分的に見たことがあったかな?くらい。

面白かった。

何よりもまず
「『願い事を増やす』という願い事はNG」と、ちゃんと明言されていることに驚いた。
これまでの人生で、3つの願い事をどう使うかという議論には何度も遭遇してきて、そのたびに誰かから、『願い事を増やす』とかいう、空気ぶち壊しな回答が出てきて、その是非を問うターンが発生していた。
だけど、そもそも願えない願いとしてちゃんと設定されていたのか。じゃあ数多く繰り返されてきたあの議論は何だったんだよ。(この禁則が、リメイクによる追加要素である可能性もあるけど)

冒頭、国王が食べさしの肉を虎に投げやるところで、この国王への心象は悪くなっているので、用意された座にただ座っている王様よりも、俺が1番になってやるんだ!というジャファーの方をずっと応援していた。
(城で贅を凝らした暮らしを送る王様と、街でドブネズミと呼ばれて生きるアラジンの対比を見て、こんな歪んだ国をどうにかする話なのかなと思っていたけど、別にそういう話ではなかった。)

ジャファーはまじでカッコよかった。「リンゴを盗めばコソ泥、国を盗めば支配者だ!」カッコいい〜。
アラジンより一枚上手なスリの技術とかもカッコいい。
それだけに終盤の詰めの甘さが残念だった、不確定要素である空飛ぶ絨毯は燃やしておくべきだったし、何よりもまずやるべきことは、最大の負け筋であるランプの魔神を無力化することだろう。彼は、最強の魔法使いにしてもらった後に、続け様にジーニーを人間に戻して解放してやるべきだった。
まあ、ジャファーがこの国だけで満足する男でない以上、目先の勝利よりも今後のことを考えて、願い事の権利をとっておきたかったというのも分かる。
だけど、自分より強い存在(ジーニー)が、誰の手にも渡り得るというリスクを軽視しすぎだろうとは思った。

ジャファーのキャラクター性が最もよく表れていたのは、最強の魔法使いになることよりも先に、国王になることを望んだ点だ。
彼にとっては国王になる事の方が優先順位が高く、次善策として最強の魔法使いになることを望んでいた。
これはジャファーが、実質的な力よりも、周囲からその力を承認されることに重きを置いていることを示している。
ジャファーが、自分のことを2番手と言った部下を許せなかったのはそういう理由だ。彼は根本の部分で他者に依存している。
だから終盤で唐突にジャスミンと結婚しようとしたのも、別にジャスミンのことが好きだったからとかでは無くて、ただアラジンよりも自分を上として承認させたかったからだ。
周囲に自分を認めさせたいというこの欲求は、アラジンにも共通している。というか、ジャファーはアラジンがいつかなり得る可能性の姿として設定されたキャラクターだろう。

ところで、主人公のアラジンのことはあんまり好きじゃなかった。というより、ジーニーがアラジンにあそこまで肩入れする意味が分からず、それがずっと不満だった。(この不満は「バーティミアス」が好きすぎるが故のものだという自覚はある)

ジーニーがアラジンのことを特別だと思ったのは、彼がジーニーを解放するつもりだったから。途中でその約束を破棄してるんだから、ジーニーはアラジンのことを裏切り者として憎んでいたって良いはずだ。なのに何故かその後もアラジンのことを気にかけている風だったのが気に食わない。

それにルールを軽視しすぎだろ、ってのも不満に思っていた。
特に、水中で溺れ、気を失ってしまったアラジンに、本人の了解なく願い事を使わせるシーン。
これをアリにしちゃったらもう何でもありじゃないか。主人が寝ている間に「ジーニーを解放する」って書類にサインさせちゃえば良いじゃん。
それに、引き裂かれた絨毯をついでみたいに直すのだってラインを超えてる。魔神って、自分では何一つ主体的に物事に関わることができない存在なんじゃないの?

ジャファーの願い事を、アラジンの有利に働くように解釈したりと、全体的ななあなあさ、というよりもやっぱり、アラジンとの意味不明な馴れ合い関係がかなり不快だった。
ジーニーがアラジンのことが嫌いになっても、それでもアラジンに協力せざるを得ないような話にして欲しかった。(その協力関係を取り持つ役を、ジャスミンとその侍女に担わせればいいのに)

映像はすごい楽しかった。特にジーニー周り。アラジンを操り人形みたいに踊らせるところが好き。

歌も良かった。特にジャスミンのソロ曲、特に二曲目。何あれ、良すぎて泣きそうになった。それだけに、もっともっとジャスミンを活躍させて欲しかった。
(ホールニューワールドは微妙だった。なんか王女を広い世界に連れ出してる風だけど、むしろ地図なんかで勉強していた分、ジャスミンの方が外の世界に詳しいだろ)

2が出るらしいので楽しみ。

オリジナルを見ての追記。

冒頭の、アラビアンナイトにのせて王国の様子を映すカットは、王国の広さや城と街の位置関係が分かって、良い追加要素だと思った。

ジャスミンもジャファーもオリジナルと違って、ちゃんと思想を持った人間になって、魅力が増してた。良いリメイク。

オリジナル版アラジンの感想

実写版が面白かったのでオリジナルも見てみた。
基本的に実写版の方が良かった。良いリメイクだったんだなと、振り返ってみて思った。

でも、ただ一点、ジーニーだけはアニメ版の方が圧倒的に良かった。こんな良いキャラだったんだ、という感じ。
グニグニしたアニメーションがジーニーにすごい合ってた。

「どうだった?」とかいう終わり方が好き。この終わり方も含めて、完全にジーニーの魅力一本でごり押しに来る映画だった。最高。ディズニーキャラの中で1番好きかも。
ジーニーが出ているシーンは100億点で、他は30点、そんな感じ。

ジーニー以外のシーンだと、ジャファーが王様の指輪を取っちゃうシーンの、国王にジャファーの影がかかる演出が好き。
国王は救いようがないほど終わってた。こいつが罰されずにハッピーエンドっぽくなってるのがマジで理解できない。

オウムがよく喋ってた。

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