ONE Championshipの判定基準について詳しく知ろう。

スター選手を次々と獲得し、勢いを増すONE Championship(以下ONE)ですが、判定基準が他の格闘技団体、プロモーションと違う部分がある。

内藤のび太、ビビアーノ・フェルナンデスのタイトルマッチであれ?と思う判定が続いた。見ている側(観客、視聴者)が思っている判定結果と違う判定結果になったことが何度もあったので、このコラムでONEの判定について確認してみようと思う。

ONEは日本語ページはあるものの、英語版に比べると情報量が少ないので英語版を基に書いていきます。

ONE Championship公式ルール

判定基準に入る前にONEのルールを知っておく必要がある。

ONEでは、契約体重を守るための水抜き行為をルール上で禁止しています。

ONE Championship’s weight classes are unlike any other martial arts organization in the world. ONE leads the global martial arts industry by banning weight-cutting by dehydration, choosing instead to implement a revolutionary system that ensures athletes are fully hydrated, fit, and healthy ahead of their bouts.

水抜きによるウェイトコントロールにはいくつかの問題点がある。

まず水抜き行為での極度の減量で脱水症状を起こす可能性がある。(死亡例もある)

次に水抜き行為で一時的に体重を減らし、試合当日に大幅に増量する選手がいること。

これら問題点があるため水抜き行為を禁止しており、ONE Championshipでは階級の設定体重が他の団体、プロモーションとは違う。

那須川天心や堀口恭司の階級で見てみると、ONE Championshipのフライ級は56.8-61.2kg、バンタム級で61.3-65.8kg。RIZINバンタム級が-61kgなので、体重に差があることが分かる。

基本的にONE 一階級上の階級に区分され、ONE Championshipのフライ級に出る日本人選手だと、日本のストロー級で砂辺、越智がここに区分される。

体重についてのポリシー

Athletes must submit their current walking weight and daily training weight regularly. Athletes will input and track their daily weight online via a dedicated web portal.

選手は、現在の歩行体重?および日常体重を定期的に専用ウェブポータルを介してオンラインで1日の体重を記録する。

Athletes will be assigned to their weight class based on collated data and random weight checks. Athletes are not allowed to drop a weight class less than eight weeks out from an event.

選手は、照合されたデータとランダムな体重チェックに基づいて階級が設定される。 試合から8週間未満で階級を落とすことは許されない。

During fight week, weights are checked daily. Urine specific gravity will also be checked the day after arrival and three hours prior to the event. Athletes must be within their weight class and pass specific gravity hydration tests all week and up to three hours before the event. If an athlete falls outside the weight, or fails a test, they are disqualified from the event. Doctors may request additional testing at their discretion.

試合がある週は、毎日チェック体重のチェックが行われる。 尿の比重は、到着後3時間前にもチェックされます。 選手は規定体重内をキープしながら、試合のある週、および3時間前の比重水分テストも通過する必要がある。 体重が規定外に落ちた場合、またはテストに失敗した場合、失格となる。医師は、自らの裁量で追加の検査を要求することが出来る。

Catchweight bouts are allowed. However, the athlete with the higher weight will not be heavier than 105% of the lighter opponent’s weight.

キャッチウェートの試合は許可されている。 しかし、体重が重い選手が、体重の軽い選手の体重より105%以上重い場合は成立しない。

ONE will conduct random weight checks on athletes at its discretion.

ONE運営がランダムに体重のチェックする権利を持っている。

Athletes may petition to change weight classes outside of the eight-week competition zone and must be within their new desired weight at that time. In addition, athletes must pass a specific gravity urine test when their weight is within the limits of the newly petitioned weight class. ONE doctors can request additional testing to determine the amount of weight drop allowed over a specific time.

選手は、8週間の試合区域外で階級変更申請が出来る。ただし、その時点で新たな階級の規定体重内でなければならない。さらに、規定体重の上限にある場合は、比重尿検査に合格する必要がある。医師は、特定の時間(試合前)に許容される体重減少量を決定するために追加の検査を要求することがでる。

The usage of IVs for the purpose of rehydration will not be allowed.

水分補給の目的でIVsの使用は禁止。※IVsが何を指しているのかよくわからないので、そのまま。分かる方がいたらコメントください。

ONE MMAでの試合ルール

Global Martial Arts Ruleを採用している。

北米MMAで採用されている肘ありのユニファイドルールに加え、4点ポジション(グランド状態)での頭部への膝蹴りが認められている。

RIZINではOKのサッカーボールキックは禁止。

※踏みつけについては不明です。

試合は5分3ラウンド、タイトルマッチは5分5ラウンドで行われる。このあたりはユニファイドルールと同じ。

UFCが採用しているオクタゴンではなく、ベラトールMMAと同じ円形のケージもしくは、リングを使用して行われる。

判定の基準

ジャッジは各ラウンドごとに採点をするのではなく、3Rないし5Rの試合全体を通して採点し判定する。

判定の基準は評価高い順に

1.ニアノックアウト(ダウンをとるような効果的な打撃)もしくはニアサブミッション(関節技、絞め技が決まりかける)

2.ダメージ(内的、蓄積、表面的)

3.打撃のコンビネーション、ケージ内での動き(グランドコンロール、ポジショニング)

4.テイクダウン数、テイクダウン阻止回数

5.攻勢

以上が確認できる範囲でのONEのMMAルールと判定基準だ。

ONE Championshipの判定を理解する

見ている側が、え?となる部分があるのが、ラウンドごとの評価ではないところだろう。MMAを多く見ている人ほど、ユニファイドルールに慣れているからだろう。

ユニファイドルール試合では、ラウンドごとの採点になり、5Rのタイトルマッチであれば、5R中3Rで判定をとっていれば判定勝ちになる。2Rは相手に圧されていても問題ない。

しかしONEの場合は、トールで判定が行われる。例えば、寝技のうまい選手と打撃の上手い選手がタイトルマッチを行った場合。※細かい手数は省く

寝技がうまい選手が、1、2、3ラウンドはテイクダウンをとったり、グランドコンロールで試合を制していたが、打撃のうまい選手が4、5ラウンドで打撃の手数や、クリーンヒットによるフラッシュダウンがあった。

この場合の採点は、

寝技のうまい選手が評価されるところは、3のケージ内での動き(グランドコンロール、ポジショニング)と4のテイクダウン数

一方で打撃のうまい選手が評価されるのは、1のニアノックアウトと3の打撃のコンビネーション、そして、2のダメージ(内的、蓄積、表面的)

3ラウンドでグランドコンロールしていても、2ラウンドの手数やフラッシュダウンでダメージ量が最終的に評価される。これがONEの判定基準だ。

ビビアーノ・フェルナンデスが「2ラウンドは完全にとっていた」みたいなコメントを先日のタイトルマッチの直後にコメントしていたが、これもユニファイドルールに慣れていたためだろう。

確かにテイクダウン数やサブミッションのニアフィニッシュはビビアーノ・フェルナンデスの方があったが、打撃のダメージを多く取られ、最終ラウンドにフラッシュダウンしてしまっているのが響いたといえる。

逆に考えると5ラウンド中4ラウンドでグランドコンロールされていても、最終ラウンドで肘による出血、フラッシュダウンなど攻勢をかけられれば採点基準が上になって勝てる可能性があるということも言える。

このあたりがONEの判定を聞いて「え?」と思ってしまう部分かもしれないが、このコラムを書いていてそういう基準だったのか。と私の中では納得がいった。

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