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作品講評会について

鳥獣人間舎では定期的に京島にある古民家で「作品講評会」をやっています。近頃、参加を希望する人からの問い合わせが増えてきたので、ざっと説明をしておきたいと思います。

ここでいう「作品」を定義すると「文筆によって書かれたもの」になります。ジャンルは問いませんが、これまで提出された作品の八割くらいは小説で、残りは詩、短歌、戯曲、批評などとなっています。
また、技量も問いません。下手くそでも響くものはありますし、高度な技術で書かれていても何も響かないものもあると思うので。できるだけ形式に囚われず、自分にしか書けないものを自由に書いてもらってます。

だいたい年に3~4回の頻度でやってまして、2024年はこんな予定で考えてます(予定のみ随時更新していきます)。

原稿締め切り→講評会
5月30日(木)→6月15日(土)
11月上旬~中旬→11月下旬
※2024.6.10現在

流れとしては、締め切り日までに共有フォルダに作品をアップロードしていただいて、講評会当日までに感想や意見をまとめていただきます。締め切り日から講評会当日までの期間は、参加者の数によって変動しますが、おおむね2週間から4週間くらいをみています。
当日は、感想などをまとめた資料を配布する人もいれば、口頭だけで自分の意見を言う人もいます。ただ、口頭だけだと聞き漏らしたり、場の雰囲気にのまれて意図しない言葉を言ってしまったりすることもあるかと思います。また、文章だけだと解釈を限定してしまう作用があるので、それもまた不十分である場合があります。なので、できれば感想や意見など箇条書きにしたものを準備して(配布するしないは自由ですが)、口頭で補足していくというのがベストかなと思います。

あくまで作品をより良くするための、建設的な議論の場としています。ただし、人が集まると「正直な感想を言ったら嫌われてしまう」「ここで褒めておけば、自分も褒めてもらえるかもしれない」「自分が書いたものはもっとひどいから意見を言いずらい・・」などという心理が働きやすいものですが、できるだけ一読者として「読んだ時の」率直な感想を伝えるように心掛けてください。その上で、こうしたらよくなるのではないかという提案をするのも忘れずに。もちろん、素晴らしく非の打ちどころがないと感じる作品にはその旨を素直に伝えてあげてください。

講評会の時間は、参加人数にもよるのですが、5~6人集まるとたいてい丸1日かかってしまいます。1人10分で話しがまとまったとしても、1作品あたりだいたい1時間を要します。それ以外に、初めて参加する人のために自己紹介をしたり、合間に休憩を入れたり、雑談に花が咲いてしまったりで、なんだかんだ予定より時間がオーバーしてしまうことが多いです。おおよその見通しですが、参加者が3~4人の場合は午後から夕方くらいまで、5~7人の場合は午前からお昼休憩を挟んで夕方くらいまでとしています。

書くのも、読むのも、伝えるのもけっこうなエネルギーを費やしますので、できるだけ少人数にしたいと考えてます。もし今後参加者が増えてくるようであれば、1人の発言時間を短くするか、2グループに分けることもあるかもしれません。

今のところこんな動機で参加している人が多いです。
・創作活動に打ち込んでいる人たちと切磋琢磨したい。
・モチベーションの維持、ペースメーカーとして活用したい。
・新人文学賞に応募しているが、なかなか入選しない。その原因を自分なりに納得したい。
・SNSの世界では良いことしか言ってくれない(または、イイネしかしてくれない)ので、現実的な感想を知りたい。
などなど

せっかく人生の大切な時間を削って書いたものを発表し合う場なので、なるべく有意義な時間にしていきたいと考えています。こちらにある程度の方向性をまとめていますのでご一読ください。

実は、この方向性というのがとても大事な要素だと思ってまして、このあたりがずれていると互いに消耗するだけで終わってしまうことがあります。これは、経験上なのですが、(自分が)見て欲しい、褒めて欲しいという動機で書く人と、(自分以外の他者が)読みたいと思えるような作品を書こうとしている人とではだいぶ対応が違ってきます(褒めて欲しい人に、正直な感想を言うとたいてい気分を悪くされますから・・)

あと、作品の文字数に制限はありません。全て読むことを義務とはしていませんので、長すぎる(と感じさせる)ものは最後まで読まれない可能性があります。例えば、原稿用紙200枚の作品でも「ぐいぐい引き込まれてしまい一気に読めてしまった。もっと読みたかった」という感想もあれば、10枚程度の作品でも「最初の数ページで読むのをやめてしまった」という感想もあるかと思います。そうした現実的な読者の反応も含めて、作者は真摯に受け止めてください。読者を最後まで導くのも作者の技量の一つと考えています。

これもまた経験上なのですが、読者が蔑ろにされるような作品は、あまり良いフィードバックは得られないと思います。
例えば、
・推敲が不十分で読みにくい。
・自分のことばかり書いている。ブログ的なもの(普遍的な要素が少ない)
・自分の感情や主張ばかり並べられている。解説がくどい(見て欲しい、聞いて欲しい、分からせたいという欲求が強すぎる)
・現実逃避のために書かれたもの。日常の不満や愚痴のはけ口にされてしまっている(読者が)

それ以外にもさまざま要素があるかもしれませんが、基本的には読者に負担を強いるものはあまり歓迎されない気がします。SNSの世界に埋もれてしまった数多くの作品と同じく、それを読む読まないは読者の自由なので、作者が強要できるものでないと考えます。

なお、文芸誌「鳥獣人間」というものを発行しておりまして、ぐっとくる作品につきましては掲載を打診させていただくことがあるかもしれません。ただ、あまりにも傑作と思える作品に関してはもったいないので(新人文学賞に応募するなどして)世に出すことをお奨めしてます。

以上、ざっと「作品講評会」について箇条書きにしてみました。
参加・見学を希望する方はこちらまでご連絡ください。
hidenobu.oishi@gmail.com

お互いの相性もあると思うので、まずは少しお話(好きな作家や作品、参加動機など)を伺った上で、過去に講評されたいくつかの作品や資料に目を通していただくか見学いただくかしてから参加を検討してもらってます。たぶん、コミックやライトノベルなどより文学に関心ある人の方が溶け込みやすいかなと思います。

以下、参加を希望する人からの質問をまとめてあります。
よかったらあわせて参考にしてみてください。

追記
これまで作品講評会で出された指摘をこちらにまとめてます。
よかったら参考にしてみてください。