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L.E.T.の技術を1on1のミーティングで活かすー10の具体的技術

 L.E.T.(リーダー・エフェクティブネス・トレーニング)の技術を1on1のミーティングで活かす具体的な方法は以下のように実施できます。これにより、リーダーシップスキルを向上させ、部下との信頼関係を強化することができます。以下は各技術の詳細な説明と、それを実践するための具体的な手法について、10にまとめました。


1. 「行動の窓」の利用

 L.E.T.の「行動の窓」は、相手の行動を客観的に捉え、評価や判断を加えずに事実として記録するツールです。1on1で活用することで、上司と部下の間の誤解や感情的な反発を避け、問題を明確にすることができます。
 行動の窓を使って部下の具体的な行動や発言を分析し、その背景や影響を深く理解することで、より効果的なフィードバックやサポートが可能になります。
 リーダーの目の前に存在する行動を「受け入れ可能な行動」と「受け入れがたい行動」の二つの区分に分けて考えることを可能にします。私自身、その区分のどちらに分けるのか、ということが、この後のプロセスにおいて極めて重要であると思っています。

【具体的な実施方法の例】
 
ミーティングの最初に、最近の具体的な行動や出来事を「行動の窓」に沿って記録し、それに基づいて話し合いを進めます。この際、事実のみを取り上げ、感情や評価を排除して冷静に議論することが重要です。
 例えば、「先週のプロジェクト会議で、あなたがA社の提案に反対意見を述べたことについて話したいです。その際の具体的な発言を確認し、どういった意図があったのかを教えてください」というように、具体的な行動や発言を基にして話を進めることで、誤解を避けることができます。
 最終的にその行動が、「受け入れ可能な行動」と「受け入れがたい行動」のどちらになるのかを分けることができます。

2. アクティブ・リスニング(A/L)の実践

 アクティブ・リスニングは、相手が問題を持っている場合にその問題を理解し、相手にとって「安心・安全」な場を提供するための技術です。1on1では、部下の話をしっかりと聞き、相手の感情や考えを確認することが重要です。これにより、部下は自分の問題や感情を自由に話すことができ、解決策を見つけやすくなります。

【具体的な実施方法の例】
 部下が話している内容をそのまま受け止め、理解したことをフィードバックする
ことで、部下が自分の問題を自由に話せる環境を作ります。例えば、「あなたが述べた〇〇という点について、私はこう理解しましたが、合っていますか?」と確認します。これにより、部下は自分の意見が尊重されていると感じ、話しやすくなります。また、部下が感情的になっている場合には、「そのことについてあなたがどのように感じているか、もう少し詳しく教えてください」と促すことで、部下の感情を深く理解することができます。アクティブ・リスニングを通じて、部下が感じているストレスや不満を早期に把握し、適切なサポートを提供することが可能となります。

3. Iメッセージ(I-M)の使用

 Iメッセージは、自分の感情やニーズを伝える自己表現の方法です。これにより、相手を非難せずに自分の気持ちや考えを伝えることができます。Iメッセージを使うことで、部下に対する指示や要求がより明確かつ穏やかに伝わり、相互理解が深まります。

【具体的な実施方法の例】
 
「最近、プロジェクトの進捗が遅れていることで、私が感じているプレッシャーについて話したいです。」というように、具体的な影響と感情を伝えます。このように、Iメッセージを使うことで、部下が自分の行動がどのように影響を与えているかを理解しやすくなります。
 また、Iメッセージは、相手を非難するのではなく、自分の感情やニーズを伝えるため、部下に対する攻撃的な印象を与えません。例えば、「あなたが会議に遅れてくると、私たちのスケジュールが狂ってしまい、困っています。」と伝えることで、部下に対して具体的な改善点を示しつつ、自分の感情を理解してもらうことができます。

4. ギアシフトの活用

 対立や相手の反発に対しては、ギアシフトを使ってアクティブ・リスニングを行い、相手の感情を理解しながら対話を進めます。これにより、対立がエスカレートするのを防ぎ、建設的な対話を続けることができます。

【具体的な実施方法の例】
 
部下が反発や抵抗を示した場合、アクティブ・リスニングに切り替えて相手の感情をしっかりと受け止めます。
 例えば、「あなたがそのように感じるのは理解できます」と言って、相手の感情を認めることで、対話の雰囲気を改善します。さらに、ギアシフトを使うことで、対話を続けるための新たな視点を提供し、問題解決に向けた協力を促します。
 具体的には、「この問題について、あなたがどのように感じているかをもっと詳しく聞かせてください。その上で、解決策を一緒に考えてみましょう」というように、相手の感情を尊重しながら建設的な話し合いを進めます。また、ギアシフトを使うことで、対立が深まる前に早期に介入し、問題を解決するための協力を得ることができます。

5. メソッドⅢ(No-Lose対立解決法)の実践

 メソッドⅢは、双方のニーズを満たす解決策を共同で探す方法です。1on1では、部下と一緒に問題解決のためのアイデアをブレーンストーミングし、双方が納得できる解決策を見つけます。これにより、部下は自分の意見が尊重されると感じ、モチベーションが向上します。

【具体的な実施方法の例】
 
具体的な問題について部下と話し合い、双方のニーズを明確にしてから解決策を出し合い、評価し、最終的な行動計画を立てます。
 例えば、「お互いにとって最適な解決策を見つけるために、どんなアイデアがありますか?」と問いかけることで、建設的な話し合いを促します。さらに、メソッドⅢのプロセスを通じて、部下が自分の意見を自由に表現できる場を提供し、その意見を尊重することで、部下のモチベーションとエンゲージメントが向上します。
 例えば、「私たちが直面しているこの問題について、あなたの視点からどのような解決策が考えられるか、一緒に考えてみましょう」というように、対話を通じて解決策を模索します。また、メソッドⅢを使うことで、双方が納得できる解決策を見つけるための協力を促し、長期的な関係を強化します。

6. フィードバックと感謝のI-Mの使用

 定期的なフィードバックや感謝のIメッセージを通じて、部下との信頼関係を強化します。これにより、部下は自分の努力が認められていると感じ、さらに頑張ろうという意欲が湧きます。

【具体的な実施方法の例】
 
「最近のあなたの努力に感謝しています。特に、クライアントとの対応が素晴らしかったです。」といった具体的な行動への感謝を伝えます。これにより、部下は自分の行動が評価されていると感じ、モチベーションが向上します。
 また、フィードバックを提供する際には、具体的な例を挙げることで、部下がどの点で評価されているかを明確に伝えることが重要です。例えば、「先週のプレゼンテーションで、あなたの資料が非常にわかりやすく、クライアントからも高評価を受けました。特に、データのビジュアル化が効果的でした」と具体的なフィードバックを提供します。
 さらに、感謝のIメッセージを使うことで、部下が自分の貢献が認められていると感じ、仕事に対する意欲が高まります。

7. 持続的なスキルの練習と反省

 L.E.T.の技術を効果的に活用するためには、持続的な練習と反省が重要です。定期的にスキルの振り返りを行い、改善点を見つけていくことで、リーダーシップの質を高めることができます。

【具体的な実施方法の例】
 
定期的に1on1の後に振り返りの時間を設け、自分の対応がどのように効果を発揮したかを評価します。例えば、「今回の1on1でうまくいった点と改善が必要な点は何か?」を自己評価し、次回に活かします。
 さらに、部下からのフィードバックも積極的に取り入れ、改善点を見つけることが重要です。例えば、「今回のミーティングで、もっと話しやすくするために何ができたか?」と部下に問いかけることで、自分のスキルを客観的に見直すことができます。
 また、可能であれば、定期的にL.E.T.の技術についてのトレーニングやワークショップに参加し、スキルを磨き続けることも重要です。例えば、「来月のトレーニングで新しいコミュニケーション技術を学び、それを実践してみよう」といった目標を設定します。

8. コミュニケーションの透明性を高める

 L.E.T.の技術を使うことで、コミュニケーションの透明性を高めることができます。透明性の高いコミュニケーションは、部下との信頼関係を強化し、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

【具体的な実施方法の例】
 
定期的に1on1ミーティングを行い、部下とオープンな対話を促進します。例えば、「今週の業務について、何か気になる点や改善したい点があれば教えてください」と問いかけ、部下が自由に意見を述べられる環境を作ります。
 また、重要な情報や決定事項を部下と共有し、透明性を高めます。例えば、「今後のプロジェクト計画について、以下の点を共有します」といった形で、情報を積極的に提供します。
 さらに、部下からのフィードバックを受け入れ、必要に応じて対応策を講じることで、信頼関係を強化します。例えば、「あなたの意見を反映して、今後のミーティングの進行方法を見直します」といった対応を行います。

9. チームビルディングを促進する

 L.E.T.の技術を活用して、チームビルディングを促進し、部下同士の協力関係を強化します。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上し、組織の目標達成に寄与します。

【具体的な実施方法の例】
 
定期的にチームビルディングの活動を実施し、部下同士のコミュニケーションを促進します。例えば、「チーム全員でブレインストーミングセッションを行い、プロジェクトの新しいアイデアを出し合いましょう」といった形で、協力的な環境を作ります。
 また、部下同士の関係を深めるためのイベントやワークショップを開催し、チームの結束力を高めます。例えば、「チーム全員でスポーツ活動やリーダーシップ研修に参加しましょう」といった活動を計画します。
 さらに、チーム内の問題解決にL.E.T.の技術を活用し、部下同士が協力して解決策を見つけるプロセスを促進します。例えば、「チーム全員でこの問題に対する解決策を一緒に考えましょう」といった形で、協力的な問題解決を促します。

10. 継続的な学びと成長を支援する

 L.E.T.の技術を使って、部下の継続的な学びと成長を支援します。これにより、部下は自分のスキルを向上させ、キャリアを発展させることができます。

【具体的な実施方法の例】
 
部下の学びと成長を支援するために、定期的なトレーニングやワークショップを提供します。例えば、「今月のトレーニングでは、リーダーシップスキルを強化するためのセッションを行います」といった形で、部下のスキル向上をサポートします。
 また、個別のキャリアプランを作成し、部下が目標に向かって努力できるように支援します。例えば、「あなたのキャリア目標に合わせて、次のプロジェクトで新しい役割を任せてみます」といった形で、部下の成長をサポートします。
 さらに、定期的にフィードバックセッションを行い、部下が自分の進捗状況を確認し、必要な調整を行うことができるようにします。例えば、「この1on1では、あなたのキャリア目標に向けた進捗状況を確認し、次のステップを考えましょう」といった形で、継続的な成長を支援します。

まとめ

 以上のように、L.E.T.の技術を1on1のミーティングで活用することで、部下との信頼関係を強化し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。これらの技術を実践することで、リーダーとしてのスキルを高め、より効果的なリーダーシップを発揮することができます。
 また、L.E.T.の技術はリーダーシップの向上だけでなく、部下のエンゲージメントやモチベーションの向上にも寄与します。したがって、これらの技術を積極的に取り入れ、日常の業務に活用することが重要です。

モダンなオフィスでの1on1ミーティングの別のシーンを描いています。マネージャーがL.E.T.の技術を使って、客観的な行動記録、アクティブ・リスニング、Iメッセージの使用、共同での解決策模索などを実施している様子が表現されています。プロフェッショナルで協力的な雰囲気が強調されており、ホワイトボードやオフィスの植物、快適な座席などの要素が見られます。L.E.T.の技術が具体的にどのように1on1ミーティングで実践されるかを視覚的に示しており、効果的なコミュニケーションと信頼関係の構築の重要性が伝わってきます。


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