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リーダーシップの基本:権限P、K、J、Cの理解ーL.E.T.から学ぶ

 リーダーには、大きく分けて4つの権限(権限P、K、J、C)があります。それぞれの特質を理解することが大切です。

権限P(Power:権力)

 アメとムチのように、報酬を与えたり罰を与えたりすることで、相手を強制的に従わせる権限です。リーダーは、昇進、昇給、ボーナス、好ましい部署への異動といった報酬を与えることで部下の意欲を高めたり、逆に降格、減給、解雇といった罰を与えることで部下の行動を抑制したりすることができます。しかし、権限Pは、部下の反発や抵抗を招き、人間関係を損なう可能性があります。

(会話例)

マネージャー: 「このプロジェクト、君に任せたのに、締め切りに間に合わないなんて、どういうことだ!もし、次も遅れたら、減給処分にするぞ!」

部下: 「申し訳ありません…。しかし、今回の遅れは、私のせいだけではありません。」

この例では、マネージャーは部下を叱責し、罰を与える可能性を示唆することで、部下にプレッシャーを与えています。しかし、部下は納得しておらず、不満や反発を感じています。

権限K(Knowledge:知識)

 知識、経験、専門知識、訓練に基づいて、相手を導く権限です。リーダーは、専門知識や経験に基づいて、部下にアドバイスや指導を行います。部下は、リーダーの知識や経験を信頼し、その指導を受け入れることで、成長することができます。

(会話例)

マネージャー: 「このプロジェクトの進め方について、少しアドバイスさせてください。以前、私が担当したプロジェクトと似ている点が多いので、過去の経験から、この方法が有効だと思うのですが、いかがでしょうか?」

部下: 「ありがとうございます。ぜひ参考にさせてください。」

この例では、マネージャーは自分の過去の経験に基づいて、部下にアドバイスをしています。部下は、マネージャーの知識や経験を信頼し、そのアドバイスを受け入れています。

権限J(Job Definition:職務定義)

 これは、与えられた職務や役割に基づいて、相手に行動を促す権限です。リーダーは、職務上の責任として、部下に指示や命令を出します。部下は、リーダーの指示に従うことで、組織全体の目標達成に貢献することができます。

(会話例)

マネージャー: 「来週の会議までに、この資料をまとめておいてください。」

部下: 「かしこまりました。会議までに仕上げておきます。」

この例では、マネージャーは職務上の責任として、部下に資料作成の指示を出しています。部下は、マネージャーの指示に従うことで、会議の準備を進めることができます。

権限C(Contract:契約)

 これは、契約や合意に基づいて、相手と協力して仕事を進めるための権限です。リーダーと部下は、契約や合意に基づいて、お互いの役割や責任を明確にし、協力して仕事を進めます。

マネージャー: 「今回のプロジェクトでは、納期を必ず守ることが重要です。そのためには、毎週進捗状況を確認し、問題があればすぐに報告してもらう必要がありますが、よろしいでしょうか?」

部下: 「わかりました。毎週進捗状況を報告します。」

この例では、マネージャーと部下は、プロジェクトの目標達成に向けて、お互いの役割と責任を確認し合意しています。



 権限K、権限J、権限Cは、人間関係に問題がないときには有効な手段ですが、対立が起きたときは、権限Pを使うことは逆効果になる可能性があります。権限Pは強制力であり、対立が起きた時にリーダーが使うと、部下の反発や抵抗を招き、人間関係を損なう可能性があるからです。

 対立が起きた時には、リーダーは権力者としての権限Pを脇に置き、対立を解くための民主的なプロセスを使うべきです。具体的には、L.E.T.でいう「メソッドⅢ」w用いて、リーダーと部下の双方が納得できる解決策を一緒に探すことが重要です。

 リーダーは、権限Pを使うことで、一時的に問題を解決できると思うかもしれません。しかし、権限Pは相手の反発を招き、人間関係を悪化させる可能性があります。
 一方、権限K、権限J、権限Cは、相手を納得させ、協力関係を築く上で有効な手段です。これらの権限を適切に使い分けることで、リーダーは部下との信頼関係を築き、組織全体の目標達成を促進することができます。

 権限P、K、J、Cについては、以下の書籍にも記載があります。


リーダーシップの4つの権限(Power、Knowledge、Job Definition、Contract)を描いたものです。それぞれの象限で異なるリーダーシップのシナリオが示されており、背景は柔らかなアートスタイルでリーダーシップのダイナミックな性質を表現しています。リーダーと部下の関係やアプローチが視覚的にわかりやすく描かれています。

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