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人間学の学び(『致知』および「木鶏クラブ」等)

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雑誌『致知』の読後感、木鶏(読書会)クラブ、関連書籍についてまとめています。
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#致知

人事と人間学ー『致知』からの学びがもたらす効果

 人間学を学ぶ雑誌『致知』。本当に素晴らしい雑誌です。また、読書会である「木鶏クラブ」にも参加し、学びを深めることができます。私も地元の木鶏クラブに参加し、多くの学びを得ています。  人間学は学校で教えてくれません。したがって、社会人になってから学ぶ方も多いです。人間学の学びがもたらす効果について、人事の立場から再度考察してみました。 自己啓発と内省の促進 職場でのリーダーシップ  自己啓発を通じて得られる自己理解は、リーダーとしての資質を高めることになるでしょう。リーダ

【書籍】旅路の仲間ー瞽女小林ハルの人生哲学

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp238「7月21日:よい人と歩けば祭り、悪い人と一緒は修行(小林ハル 越後瞽女・人間国宝)」を取り上げたいと思います。  小林氏は、生後3か月で失明しました。その後、5歳から瞽女(ごぜ)の修行を開始。数多くの苦難を経て晩年に「最後の長岡瞽女」、「最後の瞽女」として脚光を浴びた人物です。自らの経験を通して人生の深い教訓を伝えています。彼女は越後瞽女として、人間国宝に認定された一人で、視力を失

【書籍】孫子と歩む人生ー越智直正の自己啓発物語

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp235「7月18日:読書百遍意自ずから通ず(越智直正 タビオ社長)」を取り上げたいと思います。  越智氏の物語は、厳しい環境下での成長と自己啓発の旅を描いています。彼が若かりし頃に経験した丁稚としての生活は、労働が非常に厳しく、仕事場兼寝室である六畳間での生活は肉体的にも精神的にも大きな試練を与えました。朝七時から深夜までの絶え間ない労働、限られた空間での共同生活は、彼にとって厳しいもので

【書籍】青春の証ー北方謙三氏の若き日々ー男は十年

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp232「7月15日:男は十年だ(北方謙三 作家)」を取り上げたいと思います。  北方氏の言葉は、小説家としての彼の旅路と、その過程で得た洞察について深く語っています。彼は、小説を書くことにおける体験の価値が全体の約10%を占め、残りは願望や想像力が加わって作品が形成されると考えています。この見解は、創作の本質が単なる経験の蓄積ではなく、その経験に対する個人の反応と解釈によって大きく左右され

【書籍】レールを越えてー水中の視点から見た人生の多様性ー中村征夫氏

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp229「7月12日:人間の一生はレールが敷かれている(中村征夫 水中写真家)」を取り上げたいと思います。  中村氏は、人間と自然界の関係について語る中で、深い洞察と個人的な体験を交えて述べています。自然への介入が必ずしも正しい結果をもたらすとは限らないという教訓から始まります。若い頃、東京湾で卵を抱える母ガニを見つけ、より適した環境だと思われる真鶴海岸へ移動させたことから、この体験は後に彼

【書籍】橋本保雄氏に学ぶー人間性とプロフェッショナリズムの統合

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp226「7月9日:尊敬する人を持たない人は成長しない(橋本保雄 日本ホスピタリティ推進協会理事長・ホテルオークラ元副社長)」を取り上げたいと思います。  橋本氏は、日本のプロゴルフ界における国際競争力の欠如を懸念しています。彼は、日本プロゴルフ協会の学術委員としての経験から、国際舞台での日本人選手のパフォーマンスを分析し、その原因の一つとして「尊敬する人を持たない」という心理的側面を指摘し

【書籍】経営の神様が拝んだ背中:松下幸之助と高橋荒太郎の物語ー平田雅彦氏が見る

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp223「7月6日:松下幸之助が拝んだ人(平田雅彦 松下電器産業元副社長)」を取り上げたいと思います。  松下電器産業(現パナソニック)の歴史の中で、労使関係が大きな転機を迎えた昭和30年代初頭の出来事と、その中心人物であった高橋荒太郎氏に関する詳細なエピソードです。戦後の一時期、松下では大手企業に見られるような労使紛争が起きていませんでした。しかし、昭和30年代に入ると、他社での激しい労使

【書籍】新1万円札の肖像・渋沢栄一ー『致知』2022年3月号総リードを再読

 2024年7月3日、40年ぶりに1万円札の肖像が変わりました。明治から昭和にかけ、近代日本を支えた人物の一人である渋沢栄一です。  渋沢栄一は、致知2022年3月号(特集「渋沢栄一に学ぶ人間学」)においてまるごと取り上げられています。この機会に、全体を再度見直そうと思っていますが、まずは致知・藤尾秀昭氏による総リードを読み返して、自身の立場で改めて考えてみました。 幼少期と青年期:商才と学問の融合  渋沢栄一は1840年、武蔵国血洗島村(現在の埼玉県深谷市)の豊かな農

【書籍】『致知』2024年8月号(特集「さらに前進」)読後感

致知2024年8月号(特集「さらに前進」)における自身の読後感を紹介します。なお、すべてを網羅するものでなく、今後の読み返し状況によって、追記・変更する可能性があります。 君子、勇有りて義無ければ乱を為す。小人、勇有りて義無ければ盗を為す。JFEホールディングス名誉顧問 數土文夫さん p4  台湾の元総統・李登輝氏と実業家・許文龍氏が、日本統治時代の台湾を肯定的に評価していることを紹介しています。李登輝氏は、自ら出版した著書で日本の精神文化を称賛し、日本統治時代に触れてい

【書籍】自己の荷は自己でー東井義雄の生き様と哲学ー宇治田透玄さん

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp220「7月3日:自分の荷は自分で背負って(宇治田透玄 東井義雄記念館館長)」を取り上げたいと思います。  宇治田透玄氏の義父、東井義雄氏の深い信念と人生の哲学を紹介するものです。東井氏は「苦しみも悲しみも自分の荷は自分で背負う」という強い信条を持って生きた人物であり、この言葉は彼の生き様を象徴しています。自身の死を迎える際も、この哲学は変わりませんでしたが、息子が突然倒れ、二度と目覚めな

【書籍】障害を超えた絆ー浦田理恵さんと家族の旅路

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp215「6月30日:笑顔に咲いた天の花(浦田理恵 ゴールボール女子日本代表)」を取り上げたいと思います。  浦田理恵さんは、20歳の時に突然視力を失い始め、この出来事は彼女の人生に大きな影響を及ぼしました。彼女は、目指していた小学校教師という夢を叶えるための専門学校卒業を間近に控えていた時期に、左目が見えなくなり、すぐに右目も同じ運命をたどりました。この急速な変化により、彼女は自分がこれま

【書籍】不可能を可能にー鈴木敏文の経営革新物語

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp212「6月27日:不可能を可能に変える経営哲学 (鈴木敏文 セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)」を取り上げたいと思います。  鈴木氏の経歴は、単なるビジネスマンを超えた影響力を持つ人物です。彼の経営哲学「不可能を可能に変える」という信念は、アメリカから帰国した後に、アメリカの商業環境における大型店の普及とセブン-イレブンの成功を目の当たりにした体験から生まれました。日本でも同じモデ

【書籍】災害を乗り越える絆:丸善ジュンク堂書店の再出発物語ー工藤恭孝氏

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp209「6月24日:ジュンク堂書店・再出発の原点 (工藤恭孝 丸善ジュンク堂書店元会長)」を取り上げたいと思います。  工藤氏は、阪神・淡路大震災後の瓦礫と化した街で、自身の店舗を再開することに他ならぬ決意を抱いていました。この再開は、単に顧客のためだけではなく、企業の生存を確保するための必死の措置でした。再開の瞬間、工藤氏は、もしかしたら従業員を自宅待機にして休業手当のみで済ませられたか

【書籍】シンプルな生き方への哲学: 熊田千佳慕氏の人生と芸術

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp206「6月21日:私は虫であり、虫は私である(熊田千佳慕 生物画家」を取り上げたいと思います。  熊田氏は、虫の絵を描く際に、単なる観察にとどまらず、五感を駆使して虫の気持ちになることを心がけています。草むらに何時間も寝そべり、虫と同じ目線で世界を捉え、彼らの行動や感情を理解しようと努めるのです。  例えば、アリがせっせと巣穴に食料を運ぶ姿を見れば、その小さな体でどれほどの重労働をしてい