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【書籍】橋本保雄氏に学ぶー人間性とプロフェッショナリズムの統合

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp226「7月9日:尊敬する人を持たない人は成長しない(橋本保雄 日本ホスピタリティ推進協会理事長・ホテルオークラ元副社長)」を取り上げたいと思います。

 橋本氏は、日本のプロゴルフ界における国際競争力の欠如を懸念しています。彼は、日本プロゴルフ協会の学術委員としての経験から、国際舞台での日本人選手のパフォーマンスを分析し、その原因の一つとして「尊敬する人を持たない」という心理的側面を指摘しています。この考えは、プロとしての成功だけでなく、人間としての成長にも深く関わっています。

 橋本氏は、スポーツの世界だけでなく、ビジネスや日常生活においても、尊敬や感謝の念が重要であると述べています。彼は、タイガー・ウッズのような世界的に成功したアスリートが持つ特質、特に人間性や感謝の心を例に挙げています。ウッズが日本でのトーナメントにおいて、忙しい中でも日本ゴルフの発展に貢献した中村寅吉に敬意を示したエピソードは、橋本氏にとって、プロフェッショナリズムと人間性の両方を兼ね備えた行動の素晴らしい例です。この行動は、単に技術的な能力だけではなく、人としての深い敬意と感謝を表現することの重要性を示しています。

 橋本氏は、プロフェッショナルスポーツ選手に限らず、すべての人に対して、尊敬と愛情の重要性を強調しています。人間は本質的に感情や感動を表現する能力を持っているが、これに気付かずに自己中心的に行動すると、さまざまな分野での成功が妨げられると彼は警告しています。成功した人物は、技術や知識だけでなく、人間としての魅力や品格を備えており、これが他人からの支持や尊敬を集める要因となっています。

それと、やはりプロとして大切なのは愛情だと思うんですね。人間は天から愛情や心の感動という素晴らしい機能を与えられているけれども、そのことに気づかないと、勝手流になってしまって、教育にしても仕事にしても失敗してしまうと思いますね。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p226より引用

 さらに橋本氏は、日々の小さな練習が、大きな成果につながると述べています。例えば、毎日鏡を見て自分の表情を意識することは、外見だけでなく、内面から溢れる「いい顔」を作る上で重要です。このような練習を通じて、人は自己改善を達成し、他人からの好感度を高めることができます。彼は、この練習を通じて、人間としての成長とプロフェッショナルとしての成功の両方を実現できると信じています。

人望だとか品格だとか言う前に、まずいい顔をしていますね。非常に平凡な言い方だけど、やっぱりいい顔をして好感度を発揮している人は、みんなに助けられます。もちろんいい顔というのは、外面的な格好のよさではなく、その人の内面がにじみ出ているような顔ですね。好感度を発揮していない人はダメです。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p226より引用

 最終的に、橋本氏のメッセージは、成功への道は単に技術や知識の習得にあるのではなく、人として成長し、尊敬や愛情を持つことの重要性にもあるということです。彼の考えは、スポーツ界に限らず、ビジネスや日常生活における人間関係においても非常に価値があります。尊敬する人を持つこと、感謝の心を忘れないこと、そして人間としての成長を目指すこと。これらは、プロフェッショナルとしてだけでなく、人生を豊かにするための重要な教訓です。

人事としてどう考えるか

 橋本氏の考えは、人間性の深い理解と尊敬、愛情、そしてプロフェッショナリズムの重要性に基づいています。これらの要素は、人事領域における業務と組織運営の核心に触れています。私の人事としての経験を踏まえ、ここでは橋本氏の洞察をさらに深掘りし、人事管理におけるそれぞれの要素の重要性と実践方法を詳細に展開していきます。

尊敬する人を持つことの意義

 橋本氏が指摘する「尊敬する人を持たない人は成長しない」という言葉は、人事管理において非常に重要な意味を持ちます。社員が業界のリーダーや組織内の模範となる人物を尊敬することで、彼らは自己成長のための目標と方向性を得ることができます。これは、モチベーションの向上だけでなく、キャリアパスの明確化にも寄与します。

 人事管理の実践においては、メンタリングプログラムやロールモデルを通じた学習機会の提供が重要です。経験豊富な先輩社員や外部の専門家をメンターとして招き、若手社員が彼らから学べる環境を整えることが、成長促進の鍵となります。

愛情の力

 橋本氏は、プロフェッショナルとしての愛情の重要性を強調しています。人事領域における愛情は、従業員が自分の仕事と組織に情熱を持つことを意味します。この愛情は、仕事の質の向上、チームワークの強化、そして最終的には組織の目標達成に不可欠な要素です。

 愛情を育むためには、組織文化が重要です。組織が社員の個人的な成長を支援し、彼らの成功を認め、称賛する文化を持っていることが重要です。また、社員が自分の仕事に意味と目的を見出せるようにするためのプロジェクトや役割の割り当ても、愛情を育むためには不可欠です。

人間性と好感度

 「いい顔」をすること、つまり人間性を発揮し、他人に対してポジティブな印象を与えることの重要性もあります。社内での人間関係の構築、チームワークの促進、さらには顧客との関係構築においても、この人間性がキーとなります。

 社員が互いに好感を持ち合い、助け合う文化を育むためには、コミュニケーションスキルの向上と自己認識の促進が必要です。例えば、コミュニケーション研修や自己啓発プログラムを通じて、社員が自分自身と他人に対してより良い理解を持つよう努めることができます。また、ポジティブなフィードバックの文化を促進することも、人間性を高め、組織内での好感度を向上させるために重要です。

組織としての取り組み

 これらの要素を組織内で育むためには、リーダーシップの役割が非常に重要です。リーダーたちは、尊敬、愛情、人間性といった価値を体現し、社員に対してこれらの価値を促進する環境を提供する責任があります。これには、定期的なコミュニケーション、公正な評価制度、個人の成長と組織の目標を結びつけるキャリア開発機会の提供などもあるでしょう。

 橋本氏の提言は、プロフェッショナルスポーツの世界だけでなく、ビジネスや人事管理の領域においても深い洞察を提供します。尊敬、愛情、人間性は、組織の成功において中心的な役割を果たします。これらの価値を組織文化に組み込むことで、組織は持続可能な成長と発展を達成することができるでしょう。人事担当者としては、これらの要素を社員と組織全体に浸透させるための戦略を継続的に開発し、実践することが求められます。

プロのゴルファーがキャリアと尊敬、感謝の重要性を反映している瞬間を優しく描いています。彼が練習に集中している前景と、彼の人生で尊敬する人々のシルエットが背景に描かれていることで、スキルだけでなく、キャラクター、感謝、そして彼をインスパイアする人々の重要性を象徴しています。この画像は、個人としてもプロフェッショナルとしても成長する旅の途中で得た洞察と実現を美しく表現しています。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。


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