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「戦争」とはなにか。について、くそまじめに、あらためて考えてみた。その2

生産の拡大と余剰が「対立」の源になった

 人類が初めにこのような農業を行う集団として定住し始めたのはこのように水が得られる川の畔であったと考えられます。大きな川はたくさんの支流を持ちますから、自ずと流域面積の広い川に人々は集まり定住するようになったと考えられます。
 すなわち、人類も含めてですが動物は自ずと「安定して食べるものがある」ところに生息するものなのです。人類の場合は「生産」によって食の安定を図ったわけなのです。

 当然のことではありますが、このように集団が協力して農業や牧畜を行うことはその発達によってその生産性が上がってきます。また、その中において協働や分業がおこなわれ、次第に規模が拡大していきます。

 穀類や家畜は備蓄が進んでいきますから、食糧に余剰が生まれ、食の安定に基づいて富の偏在や社会的分化が進むことになります。生産形態がダ拡大していくと、それに伴い集団が拡大します。すると、必然的に拡大した集団にはその核となる存在が必要になります。

 対立の構図はこのあたりから生じることになります。こういった農業集団はひとつの川を共有し、その川がもたらす肥沃な土地をおのおのが持ちます。当然ながらその立地の違いにより、また、その時々の気候条件において生産には差が生じ、備蓄にも格差が生まれます。
 生産時に大量に水を使う稲作などでは、上流と下流とで「水」を巡って、各集団におけるいさかいも生じてくるわけなのです。

 また、より強力な集団の核は、他の集団を統べてより大きな集団を作っていき、利害を互いに生じさせるようになります。そのひとつの解決手段に「暴力」が生まれたというわけです。

 たとえば大きな母集団がいくつかの「グループ」に分かれると、グループ同士で対立や抗争が生じる事例は、今でもよく見受けられます。生産を行う「人類」の母集団においてそれこそ「小集団」が生まれたわけです。
 そしてその小集団こそが、「国」であったり「部族」、「民族」と呼ばれるものです。

集団の形成から「共済」と「対立」の図式が生まれる

 このように「小集団」が成立すると、おのが集団の「安全」を何よりも第一に考えるわけです。まずは自分の「安全保障」がここで第一義として生じるのです。

 さて、自らのを守るためには何が必要か。すなわち、「共済」すなわちお互いをまもりあい、集団を脅かす脅威から、なんとしても自らの集団を守り、互いに協力して外からの脅威に対抗しなくてはならない。そういう発想になるわけです。

 また、「集団」は結束を第一に考えます。これは集団の安全保障を担保するには、もっとも有効な指標であると言えましょう。そこには「核」とそれに従う「従」。すなわち「支配」が生じます。
 それは「支配者」と「被支配者」との関係性に発展します。そしてその団結を固めようというベクトルを手っ取り早くするには、脅威に対する防衛の必要性です。

「集団の安全保障」という大義名分で他を攻撃する理由ができる

 すなわち、その集団にとって、結束を教護にするためには「共通の外敵」の存在が必要になるのです。
 そしてこれは、その集団が大きくなればなるほど、内に敵にと集団が複雑化し、そのうち「内部派閥」とよばれるものも生まれてきます。
 そして、それらの集団は必ず敵対する集団がおり、やがてその集団ごとに敵対や合従、同盟といった、様々なダイナミズムが生まれてきますが、これはすべて「集団」の安全保障のための「外敵」に他なりません。

 そうして集団の団結力は高まり、集合離散の末に「核」となる存在の権威は高まっていきます。そしてその権威が最大限に高まると、もはや外敵の存在すら必要としなくなります。

 例を挙げると、地中海世界を完全に支配下に置いた「ローマ帝国」によるパックス=ロマーナ(ローマの平和)が良い例でしょう。中心となる権威が絶対性を高めれば、もはや外敵を作る必要がなくなるからです。また、戦国時代の完全終結を実現した、豊臣秀吉の「惣無事」の指令や、徳川幕府による幕藩体制も基本は同じです。

理想は永遠ではないという現実

 ところが、そういう状態は恒久につづくのかと言えば、決してそうではないというのが歴史が物語っているとおりです。なぜならば、そういった「平和な公共空間」というものは、世界すべてに共通しているわけではないからです。また、哀しいかな神仏でもない限り、そう言った大所高所から俯瞰して考えることは不可能であるからです。

 また、18世紀から始まった「産業革命」による自由資本主義の経済は、世界に「欲の拡張」を促し、新たな「水争い」を生む結果になりました。その「水」にあたるのが「市場」でした。これは「帝国主義」という拡張主義を各国に蔓延させ、その結果が二度の世界大戦という悲惨な結果を生んだのです。
 
 第二次世界大戦を終結させたのは、アメリカとイギリスが「大西洋憲章」という新たな国際秩序の提唱に、ドイツ・日本・イタリア以外の各国が賛同して「連合軍」を組織し、この理念に抗う枢軸3国を打破し、今後はこの国際新秩序をもって「正義」と定義し、平和の維持を図ろうと結束したからなのです。この痕跡は「日本国憲法前文」にきっちり記されています。

 そして、終結後はその状態を維持するため、連合軍はそのまま国際連合という組織となりました。しかし、それも、決して恒久な平和を保障しているものではないことは、過去の米ソ対立、昨今の国際紛争の状況を見れば納得がいこうというものでございますね。

これから世界はどこに向かうのでしょうか・・。


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